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ジンバブエの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ジンバブエの牛乳生産量は長期的な観点で上下を繰り返しながら推移してきました。1961年に260,000トンで始まり、1970年代には400,000トンを超え、1998年には559,000トンと一時的に最高値を記録しました。その後は低迷と回復を繰り返しながら、2023年には442,396トンに達しています。このデータからは、ジンバブエの牛乳生産が長期間にわたり不安定な要素を持つ一方、近年いくらかの改善傾向も見られることが示されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 442,396
4.43% ↑
2022年 423,632
1.24% ↑
2021年 418,457
2.35% ↑
2020年 408,847
2.09% ↑
2019年 400,476
-3.63% ↓
2018年 415,569
-0.08% ↓
2017年 415,888
-2.52% ↓
2016年 426,646
0.76% ↑
2015年 423,413
0.81% ↑
2014年 420,000
2.44% ↑
2013年 410,000 -
2012年 410,000
2.5% ↑
2011年 400,000
1.11% ↑
2010年 395,600
1.61% ↑
2009年 389,320
0.2% ↑
2008年 388,550
0.19% ↑
2007年 387,800
-0.82% ↓
2006年 391,000
1.22% ↑
2005年 386,300
-4.62% ↓
2004年 405,000
-1.28% ↓
2003年 410,250
1.15% ↑
2002年 405,600
-18.39% ↓
2001年 497,000
3.8% ↑
2000年 478,800
1.92% ↑
1999年 469,800
-15.96% ↓
1998年 559,000
33.25% ↑
1997年 419,500
-0.36% ↓
1996年 421,000
20.29% ↑
1995年 350,000
-10.26% ↓
1994年 390,000
0.53% ↑
1993年 387,932
-9.78% ↓
1992年 430,000
7.5% ↑
1991年 400,000
-14.89% ↓
1990年 470,000
4.44% ↑
1989年 450,000
2.27% ↑
1988年 440,000
-2.22% ↓
1987年 450,000
4.65% ↑
1986年 430,000
2.38% ↑
1985年 420,000 -
1984年 420,000
-2.33% ↓
1983年 430,000
2.38% ↑
1982年 420,000
2.44% ↑
1981年 410,000
-4.65% ↓
1980年 430,000
-4.44% ↓
1979年 450,000
2.27% ↑
1978年 440,000
-4.35% ↓
1977年 460,000
4.55% ↑
1976年 440,000
7.32% ↑
1975年 410,000
5.13% ↑
1974年 390,000
-1.27% ↓
1973年 395,000
6.76% ↑
1972年 370,000
5.71% ↑
1971年 350,000
20.69% ↑
1970年 290,000
-3.33% ↓
1969年 300,000
7.14% ↑
1968年 280,000
7.69% ↑
1967年 260,000 -
1966年 260,000
1.17% ↑
1965年 257,000
0.78% ↑
1964年 255,000
-3.77% ↓
1963年 265,000
0.76% ↑
1962年 263,000
1.15% ↑
1961年 260,000 -

ジンバブエの牛乳生産量の推移を分析すると、同国の畜産業が長年にわたりさまざまな要因で影響を受けてきたことが分かります。生産量は1961年の260,000トンから緩やかな増加を見せ、1970年代には年次で400,000トン超を安定的に記録しました。しかし、1980年代以降からはやや減少傾向が目立ち、特に1990年代後半から2000年代初頭には大きな変動が見られます。1998年の559,000トンというピークの後、経済の不安定化や農業政策の混乱が影響し、2000年代には明らかに減少が進みました。この時期の最低値は2005年の386,300トンです。

近年では、2011年以降牛乳生産量に一定の回復傾向が見られ、2023年には442,396トンと10年でおよそ40,000トン増加しました。しかし、これは以前のピーク水準には未達であり、生産の持続可能性にはまだ課題が残っています。

牛乳生産の変動は、ジンバブエ固有の地政学的背景や経済状況と密接に関連しています。1990年代後半から2000年代初期にかけて、土地改革政策と経済不安定化が農業全般に大きな打撃を与えました。特に白人農場主から土地が再分配された際、畜産業に必要な技術や知識のミス・マネジメントが懸念され、結果として生産効率が大きく下がりました。気候変動もまた、頻発する干ばつや水資源不足を通じて直接的に生産量に影響を及ぼしており、これらの環境要因も解決を要する喫緊の課題です。

さらに、地域衝突や政治的な緊張、疫病のリスクも畜産業には響いています。例えば、2020年から世界中に広がった新型コロナウイルス感染症の流行は、ジンバブエの牛乳供給チェーンに余計な圧力を加え、輸送や市場アクセスに影響を及ぼしました。こうした状況から、国内の経済および政治の安定化が必要不可欠であると言えます。

現在の生産回復傾向を支えるための具体的な対策として、人材育成と技術支援が挙げられます。すなわち、農村地域へのインフラ投資や農業従事者の教育を強化し、効率的な牛乳生産方法への移行を促進することが重要です。また、農協の設立や国際的な技術協力プログラムを活用して、小規模農家を集約し、生産の規模拡大を図ることも効果的でしょう。

加えて、気候変動への対応策にも注力すべきです。具体的には、干ばつに耐性のある牧草の導入や、雨水の効率的な利用に向けた貯水設備の整備が求められます。地域間協力の枠組みを活用し、近隣諸国と気候変動対策のノウハウを共有することも有益です。

国際社会においては、ジンバブエへの技術的および財政的な支援が重要です。FAOや国際農業基金と協力し、持続可能な開発目標(SDGs)の一環として同国の畜産業を振興するためのサポートを増やすべきです。食品安全基準の向上も忘れてはならず、これにより牛乳生産の品質が保証され、市場での競争力も向上します。

これらの取り組みを通じて、ジンバブエの牛乳生産は量的にも質的にも安定性を確保することが期待されます。同国における生産回復は、世界的な食料安全保障にも貢献する可能性があり、したがって、国内外での一貫した努力が求められます。