国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月更新の最新データによると、ジンバブエのラズベリー生産量は1991年に100トンで始まり、その後、幾度かの変動を経て、2000年代前半から徐々に安定化しました。2012年以降はほぼ一貫して90トン台後半を維持しており、2023年の生産量は98トンとなっています。これらの推移データは、農業政策の成果や気候・経済状況の影響を反映したものと考えられます。
ジンバブエのラズベリー生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 98 |
0.34% ↑
|
2022年 | 98 |
0.21% ↑
|
2021年 | 98 |
0.22% ↑
|
2020年 | 98 |
0.16% ↑
|
2019年 | 97 |
0.09% ↑
|
2018年 | 97 |
0.09% ↑
|
2017年 | 97 |
0.15% ↑
|
2016年 | 97 |
0.63% ↑
|
2015年 | 96 |
-1.25% ↓
|
2014年 | 98 |
-2.34% ↓
|
2013年 | 100 | - |
2012年 | 100 |
4.96% ↑
|
2011年 | 95 |
0.39% ↑
|
2010年 | 95 |
0.5% ↑
|
2009年 | 94 |
0.59% ↑
|
2008年 | 94 |
0.55% ↑
|
2007年 | 93 |
1.12% ↑
|
2006年 | 92 |
0.36% ↑
|
2005年 | 92 |
0.74% ↑
|
2004年 | 91 |
0.1% ↑
|
2003年 | 91 |
0.3% ↑
|
2002年 | 91 |
0.36% ↑
|
2001年 | 91 |
13.3% ↑
|
2000年 | 80 |
-20% ↓
|
1999年 | 100 |
25% ↑
|
1998年 | 80 |
-12.18% ↓
|
1997年 | 91 |
-8.9% ↓
|
1996年 | 100 |
25% ↑
|
1995年 | 80 |
-11.6% ↓
|
1994年 | 91 |
0.01% ↑
|
1993年 | 90 |
0.01% ↑
|
1992年 | 90 |
-9.52% ↓
|
1991年 | 100 | - |
ジンバブエのラズベリー生産量は過去数十年にわたり、一定の変動を伴いながらも、ある程度安定した推移を示しています。1991年には100トンの生産を記録しましたが、その後1995年から2000年頃まで、80トン台にまで減少することがありました。この減少要因は、当時ジンバブエが経験していた経済不安定、土地改革に関連する農業の混乱、ならびに気候変動による降水量や気温変動が影響した可能性が高いです。
2000年代以降では、ラズベリー生産量はゆるやかに回復し、安定的な基盤が構築されたように見受けられます。2012年以降ではほぼ一貫して90トン以上を維持し、近年の2023年には98トンを記録しました。この現状は、農家が新しい灌漑設備や栽培技術を導入した結果、一定の強固な農業基盤が築かれた結果と推測されます。国際通貨基金(IMF)や地域の農業支援団体の協力も、この安定性の一助となっている可能性があります。
一方で、この生産量は他の大規模なラズベリー生産国と比較すると非常に控えめな規模です。例えば、主要生産国であるアメリカやチリでは、ラズベリー生産量が数万トンを超える場合が多く、日本やイギリスでもトン数単位で高水準の生産が見られる状況です。この違いには、ジンバブエ自身の農業基盤の制約、輸出市場の拡大が進んでいない点、加えて特定の地政学的課題が含まれると考えられます。
特に地域ごとの課題として挙げられるのは、気候変動の影響です。ジンバブエ南部アフリカ地域は、気温上昇と極端な天候パターンが増加しており、これが農業生産に与えるリスクは無視できません。そのため、今後の持続可能な生産を維持し、さらに拡大を図るためには、気候適応型農業技術の導入がカギとなります。例えば、耐乾性ラズベリー品種の育成、人工灌漑システムのさらなる導入、肥料の効率的使用を含む新しい農法が必要とされています。
また、ラズベリーのような高付加価値作物は、有機農法や持続可能な農業モデルを活用し、国際市場への参入機会を広げる潜在能力を秘めています。EU諸国やアジアの市場に目を向けた品質の高い製品戦略を打ち出すことで、経済規模を拡大するチャンスです。これを達成するために、農家への教育支援や輸出インフラ整備、関税優遇協定などの統合的な政策が求められます。
さらに、近年の世界的な疫病である新型コロナウイルスの流行も、ジンバブエの農業セクター全体に少なからず影響を与えました。物流の停滞や資材輸入の遅れは、生産過程での効率性低下を引き起こしましたが、その影響は比較的短期的であり、現在では収束に向かっていると考えられます。
結論として、ジンバブエのラズベリー生産量は現状では安定的に推移しているものの、さらなる拡大を模索するための多面的な取り組みが必要と言えます。政府や国際機関が果たす役割は大きく、気候変動への対応政策や輸出市場拡大への計画を進めることは、国内農業への投資を促進する有効な手段となり得ます。食料安全保障や経済活性化の観点からも、ラズベリーを含む園芸農業の発展は今後ますます重視されるべき課題として注目されています。