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ジンバブエの豚飼育数推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新したデータによれば、ジンバブエにおける豚の飼育数は1961年から緩やかに増加傾向を示していましたが、1980年以降には増減を繰り返し、不安定な推移となっています。近年では2020年に一時的な増加を見せたものの、2022年には237,493頭に減少しています。このように飼育数の推移からは、経済状況、自然災害、疫病、政策変更といった多様な要因が影響を及ぼしていると考えられます。

年度 飼育数(頭)
2022年 237,493
2021年 259,245
2020年 270,338
2019年 182,896
2018年 266,677
2017年 242,020
2016年 425,540
2015年 345,249
2014年 238,145
2013年 415,000
2012年 400,000
2011年 396,277
2010年 391,174
2009年 350,000
2008年 200,000
2007年 180,000
2006年 218,000
2005年 168,000
2004年 203,000
2003年 216,000
2002年 282,000
2001年 360,000
2000年 300,000
1999年 278,811
1998年 270,000
1997年 260,000
1996年 265,650
1995年 277,000
1994年 246,173
1993年 209,644
1992年 285,000
1991年 280,000
1990年 303,000
1989年 304,000
1988年 238,000
1987年 216,000
1986年 219,000
1985年 171,000
1984年 178,000
1983年 183,000
1982年 183,000
1981年 183,000
1980年 132,000
1979年 150,000
1978年 209,000
1977年 226,000
1976年 201,000
1975年 209,000
1974年 192,000
1973年 201,000
1972年 180,000
1971年 188,000
1970年 201,000
1969年 186,635
1968年 173,800
1967年 144,260
1966年 139,950
1965年 137,500
1964年 132,000
1963年 127,200
1962年 112,420
1961年 112,000

ジンバブエの豚飼育数の推移について、1961年からの長期的なデータをもとに分析すると、いくつかの重要な傾向を読み取ることができます。まず、1960年代から1970年代中頃にわたっては横ばいかつゆるやかな増加が続いており、1977年には226,000頭のピークを記録しました。しかし、この後の1978年以降では急激な減少が見られ、特に独立直前の1979年には150,000頭にまで落ち込みました。この背景には、独立闘争に伴う社会不安や農業インフラの乱れが影響したと考えられます。

1980年代に入ると飼育数は一時的に回復し、1990年には304,000頭を記録しました。しかし1990年代から2022年までのデータを詳しく見ると、経済状況や政策変更、さらには干ばつや動物疫病などの影響を受け、飼育数は大幅に上下を繰り返していることがわかります。例えば、2003年から2005年にかけて飼育数が216,000頭から168,000頭へ減少していますが、これはこの時期に国内で深刻な経済危機が発生していたことが原因と見られます。一方で2009年から2012年にかけて再び急激に増加し、2013年にはピークの415,000頭に到達しました。この変動には、農業や畜産業への支援政策が一定の効果を上げた可能性が考えられます。

近年の動向としては、2017年から2022年にかけて飼育数が再び大幅な減少を示しています。特に2019年の182,896頭は深刻な干ばつによる影響が取り沙汰されており、水や飼料の供給不足が農家を苦境に追い込んだと分析されています。また、2020年以降は新型コロナウイルス感染症の世界的な影響も無視できません。これにより市場へのアクセスが制限され、エサの輸送や供給コストの増大などが畜産業の発展に影響を与えたと見られます。

このような不安定な飼育数の推移は、特に小規模農家にとって大きな課題をもたらしています。ジンバブエでは家畜の飼育は重要な生計手段のひとつであり、養豚業が失速すると農村部の貧困問題がさらに深刻化する可能性があります。その一方で他国の例を参考にした対策も期待されます。例えば、中国やインドでは技術的な革新や養豚施設の近代化を進めることで、飼育数や生産性の向上に成功しています。地域間での技術協力や国際支援を活用し、農家への融資制度を拡充することも、現地での持続可能な発展を支える重要な取り組みとなるでしょう。

さらに地政学的観点からは、地域の気候変動や食料安全保障といった長期的なリスクも考慮する必要があります。干ばつや洪水といった災害に備え、家畜用飼料の備蓄システムや効率的な水利用技術の構築が求められています。また、家畜の疫病対策として動物用ワクチンの普及や定期的な検疫の実施も急務です。これらの取り組みを通じて、ジンバブエの養豚業が再び安定し、農村コミュニティの生活向上に寄与することが期待されます。

結論として、ジンバブエの豚飼育数推移は多くの要因によって影響を受けており、これを安定的に増加させるためには包括的な政策と地域特化型の対策が必要です。国際的な協力と現地レベルでの支援を組み合わせ、持続可能な発展を目指す道を共に探るべきです。