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ジンバブエの鶏卵生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ジンバブエの鶏卵生産量は、1961年の6,500トンから2023年の32,277トンへと大きな増加を遂げています。特に2003年から2008年の間で着実に増加し、最高値を記録していました。一方で、2015年には急激な減少(16,033トン)を見せ、その後回復傾向を見せつつも波を打つような推移を辿っています。2023年には再び顕著な増加を示し、近年では最も高い数値となりました。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 32,277
45.63% ↑
2022年 22,164
2.95% ↑
2021年 21,529
-3.89% ↓
2020年 22,400
-8.5% ↓
2019年 24,480 -
2018年 24,480
2% ↑
2017年 24,000
-7.82% ↓
2016年 26,036
62.39% ↑
2015年 16,033
-50.38% ↓
2014年 32,314
8.58% ↑
2013年 29,760 -
2012年 29,760 -
2011年 29,760 -
2010年 29,760 -
2009年 29,760
1.64% ↑
2008年 29,280
6.09% ↑
2007年 27,600
2.68% ↑
2006年 26,880
3.7% ↑
2005年 25,920
2.86% ↑
2004年 25,200
7.01% ↑
2003年 23,550
7.05% ↑
2002年 22,000 -
2001年 22,000 -
2000年 22,000
9.45% ↑
1999年 20,100
8.06% ↑
1998年 18,600
3.33% ↑
1997年 18,000
-7.69% ↓
1996年 19,500 -
1995年 19,500
8.33% ↑
1994年 18,000
7.14% ↑
1993年 16,800
-3.45% ↓
1992年 17,400
3.57% ↑
1991年 16,800
7.69% ↑
1990年 15,600
10.64% ↑
1989年 14,100
9.3% ↑
1988年 12,900
22.86% ↑
1987年 10,500
9.38% ↑
1986年 9,600
6.67% ↑
1985年 9,000
-10% ↓
1984年 10,000
-7.41% ↓
1983年 10,800
2.86% ↑
1982年 10,500 -
1981年 10,500
2.94% ↑
1980年 10,200
-2.86% ↓
1979年 10,500
-2.78% ↓
1978年 10,800
6.4% ↑
1977年 10,150
6.62% ↑
1976年 9,520
6.25% ↑
1975年 8,960
5.04% ↑
1974年 8,530
5.31% ↑
1973年 8,100
1.25% ↑
1972年 8,000
2.56% ↑
1971年 7,800
4% ↑
1970年 7,500
2.74% ↑
1969年 7,300
1.39% ↑
1968年 7,200
1.41% ↑
1967年 7,100
1.43% ↑
1966年 7,000
1.45% ↑
1965年 6,900
1.47% ↑
1964年 6,800
1.49% ↑
1963年 6,700
1.52% ↑
1962年 6,600
1.54% ↑
1961年 6,500 -

ジンバブエの鶏卵生産量の推移から見えるのは、長期的な増加トレンドの中でいくつかの明確な変動があるという点です。1961年から約50年間は、年間数百トン程度の持続的な増加を見せていました。しかし、時折急激な増減が見られ、それには国内の経済環境、政治的安定性、そして気象条件の影響があると考えられます。

例えば、1990年代後半から2000年代初頭にかけて(約18,000トンから22,000トン)、ジンバブエでは鶏卵生産量に一貫した成長が見られました。この時期は、農業の成長と持続可能な家禽生産の推進が行われていたと推測されます。しかし2000年前後の土地政策改革(いわゆる「ファーストトラック土地改革」)によって農業生産性全般が低下し、家禽産業もその影響を受けた可能性があります。

特に目をひくのは、2015年に記録された16,033トンという急激な減少です。これは国内の景気後退や気候変動の影響、さらには鶏卵関連設備の整備不足が重なった可能性があります。他にも、飼料となる穀物や原材料の価格上昇も関与していると考えられます。その後、2016年から2023年にかけては一定の回復と成長が見られ、2023年には32,277トンという近年の最高値を記録しました。

周辺諸国との比較を行うと、同じアフリカ南部に位置する南アフリカが年間100,000トン以上の生産を担っているのに対して、ジンバブエの生産量は依然として中規模の水準にとどまっています。他のアフリカ諸国やアジア地域(例:インド、中国など)とも比較すると、ジンバブエの生産規模は国内市場消費を主に想定していると考えられます。一方で、国際的な鶏卵輸出市場への参入はまだ弱い状況にあります。

2023年の回復基調に見られる理由としては、政府の農業投資拡大や若干の政治的安定化による経済の回復が考えられます。また、食料安全保障の需要が高まる中で、鶏卵の地元生産が優先的に奨励されたことも挙げられます。それでも、ジンバブエの家禽産業はいくつかの課題に直面しています。例えば、気候変動への脆弱性、輸送インフラの未整備、そして外国からの技術移転の遅れが主な問題です。

政策的な提言としては、まず第一に、気候変動への適応能力を高めるために、持続可能な家禽飼育技術やエネルギー効率の高い設備導入を推進すべきです。また、域内外の貿易ネットワークを強化し、鶏卵の輸出産業を育てるための協定締結や物流基盤整備を検討することが重要です。さらに、適切な価格支持政策により、飼料コストの高騰による影響を緩和する取り組みも有用でしょう。

以上の対策が進めば、ジンバブエの鶏卵生産は更なる成長を遂げ、国内市場の安定に加えて国際市場でも競争力を高める可能性があります。一方で、予測される地政学的リスクや地域的な資源争奪問題が再び国内経済に影響を及ぼす可能性もあるため、継続的なリスク管理と柔軟な政策対応が求められます。この分野において、国際機関との連携強化が鍵を握ると言えるでしょう。