ジンバブエのサトウキビ生産量推移（1961年～2023年）

出典： Food and Agriculture Organization「国際連合食糧農業機関」

FAO（国際連合食糧農業機関）の最新データによると、ジンバブエのサトウキビ生産量は2023年に過去最高の5,670,266トンを記録しました。この生産量は、近年の停滞した水準（3,000,000トン台）から大幅な改善を見せています。一方、過去には天候不順や経済的な困難が影響し、生産量が激しく変動する時期がありました。

年度	生産量(トン)	増減率
2023年	5,670,266	64.22% ↑
2022年	3,452,873	0.08% ↑
2021年	3,450,000	-2.65% ↓
2020年	3,543,771	-0.51% ↓
2019年	3,562,000	-0.59% ↓
2018年	3,582,994	15.54% ↑
2017年	3,101,000	-10.97% ↓
2016年	3,483,000	4.03% ↑
2015年	3,348,000	-13.17% ↓
2014年	3,856,000	-2.63% ↓
2013年	3,960,000	0.79% ↑
2012年	3,929,056	28.48% ↑
2011年	3,058,000	13.6% ↑
2010年	2,692,000	15.13% ↑
2009年	2,338,300	-9.45% ↓
2008年	2,582,200	-10.87% ↓
2007年	2,897,149	-21.31% ↓
2006年	3,681,784	4.29% ↑
2005年	3,530,210	-14.34% ↓
2004年	4,121,000	-9.09% ↓
2003年	4,533,000	23.6% ↑
2002年	3,667,463	-20.79% ↓
2001年	4,630,000	9.52% ↑
2000年	4,227,500	-9.22% ↓
1999年	4,657,000	-3.2% ↓
1998年	4,811,000	3.44% ↑
1997年	4,651,000	29.19% ↑
1996年	3,600,000	-4.59% ↓
1995年	3,773,000	10.33% ↑
1994年	3,419,748	535.64% ↑
1993年	538,000	-58.68% ↓
1992年	1,302,094	-59.77% ↓
1991年	3,236,412	4.64% ↑
1990年	3,092,890	-15.74% ↓
1989年	3,670,522	14.75% ↑
1988年	3,198,787	-4.19% ↓
1987年	3,338,741	-19.26% ↓
1986年	4,135,000	18.82% ↑
1985年	3,480,000	0.61% ↑
1984年	3,459,000	0.61% ↑
1983年	3,438,000	-4.15% ↓
1982年	3,587,000	1.01% ↑
1981年	3,551,000	40.47% ↑
1980年	2,528,000	-1.06% ↓
1979年	2,555,000	-3.04% ↓
1978年	2,635,000	-14.64% ↓
1977年	3,087,000	46.16% ↑
1976年	2,112,000	-19.63% ↓
1975年	2,628,000	13.57% ↑
1974年	2,314,000	28.13% ↑
1973年	1,806,000	0.61% ↑
1972年	1,795,000	10.46% ↑
1971年	1,625,000	-7.67% ↓
1970年	1,760,000	5.71% ↑
1969年	1,665,000	22.16% ↑
1968年	1,363,000	-4.15% ↓
1967年	1,422,000	-25.16% ↓
1966年	1,900,000	24.56% ↑
1965年	1,525,423	17.46% ↑
1964年	1,298,628	58.3% ↑
1963年	820,363	35.44% ↑
1962年	605,724	80.61% ↑
1961年	335,384	-

ジンバブエにおけるサトウキビ生産は、農業政策や気候変動、地域経済の影響を強く受けてきました。1961年から1966年にかけては、生産量が大きく増加しており、当時の近代的な農法の導入や農地拡大がその背景にあります。しかし、その後は政策の不安定性や干ばつなどの外的要因によって変動する傾向が見られます。1992年と1993年には1,000,000トンを下回る危機的状況も発生しており、これには深刻な干ばつや経済的混乱が影響しました。

特に注目すべきは2000年以降の生産動向です。この時期、土地改革政策の混乱やインフラの破壊が相次いだことで、安定的な生産が困難になりました。一方、2010年以降には徐々に改善の兆しが見られ、2023年には大幅な生産量の向上が報告されています。この急激な増加には、気象条件の回復や農業関連の国際支援の強化、新たな持続可能な農業技術の導入が関与しています。

ただし、長期的に見ると課題も多い状況です。まず、気候変動がもたらす不安定な降雨パターンが、サトウキビ生産に直接的な影響を与えています。たとえば、2015年や2017年に見られる低迷は、干ばつによる水資源不足が一因です。また、土地の過剰な利用や劣化、インフラの老朽化も持続可能な生産の妨げとなっています。

さらに、経済的背景も無視できません。ジンバブエは過去に高いインフレ率や外貨不足といった経済課題に直面しており、農業の機械化や灌漑設備の整備には継続的な資金が必要です。このような背景から、国際機関や近隣諸国との協力パートナーシップが不可欠となるでしょう。

将来的には、気候変動への適応策として、耐乾性品種の育成や灌漑技術の効率向上が重要です。さらに、若年層を含む労働力の確保や農業における技術教育の充実も求められます。その一方で、ジンバブエは他国の成功例から学ぶことも可能です。例えば、インドでは灌漑設備と農業共同体を通じてサトウキビの高効率生産を実現しており、このようなアプローチはジンバブエでも応用の余地があります。

2023年の成果は、ジンバブエのサトウキビ農業における新たな可能性を示していますが、これを維持するためには、持続的な政策支援や国際的な協力が不可欠です。また、気候変動のリスクを軽減しつつ経済的安定を図るため、国際市場へのアクセス拡大や輸出促進を含む多角的な取り組みが求められるでしょう。