Skip to main content

ジンバブエのコーヒー豆生産量推移(1961年~2023年)

食糧農業機関(FAO)の最新データによると、ジンバブエのコーヒー豆生産量は1966年の52トンから1989年の14,601トンまで急激に増加後、1990年代の不安定期を経て、2000年代には大幅に減少しました。その後、2010年以降は年間500~700トン台で推移しており、2022年には661トンと停滞的な状況が続いています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 699
5.69% ↑
2022年 661
1.28% ↑
2021年 653
-1.15% ↓
2020年 660
-1.47% ↓
2019年 670
6.78% ↑
2018年 628
-8.13% ↓
2017年 683
-2.38% ↓
2016年 700
40% ↑
2015年 500
-41.18% ↓
2014年 850
8.57% ↑
2013年 783
44.98% ↑
2012年 540 -
2011年 540
-10% ↓
2010年 600
-52.38% ↓
2009年 1,260
-12.5% ↓
2008年 1,440
-22.58% ↓
2007年 1,860
-31.11% ↓
2006年 2,700
-31.82% ↓
2005年 3,960
-31.72% ↓
2004年 5,800
-42% ↓
2003年 10,000
24.22% ↑
2002年 8,050
7.08% ↑
2001年 7,518
-17.38% ↓
2000年 9,100
-9% ↓
1999年 10,000 -
1998年 10,000
7.53% ↑
1997年 9,300
-19.13% ↓
1996年 11,500
46.31% ↑
1995年 7,860
-16.56% ↓
1994年 9,420
135.5% ↑
1993年 4,000
-19.92% ↓
1992年 4,995
-58.69% ↓
1991年 12,091
-10.89% ↓
1990年 13,569
-7.07% ↓
1989年 14,601
15.63% ↑
1988年 12,627
8.86% ↑
1987年 11,599
-13.99% ↓
1986年 13,486
18.78% ↑
1985年 11,354
5.91% ↑
1984年 10,720
30.19% ↑
1983年 8,234
35.58% ↑
1982年 6,073
10.9% ↑
1981年 5,476
4.09% ↑
1980年 5,261
14.3% ↑
1979年 4,603
-7.51% ↓
1978年 4,977
15.48% ↑
1977年 4,310
-7.09% ↓
1976年 4,639
35.84% ↑
1975年 3,415
32.31% ↑
1974年 2,581
66.19% ↑
1973年 1,553
23.75% ↑
1972年 1,255
68.46% ↑
1971年 745
21.14% ↑
1970年 615
190.09% ↑
1969年 212 -
1968年 212
241.94% ↑
1967年 62
19.23% ↑
1966年 52 -

ジンバブエのコーヒー豆生産量の推移を見ると、1966年から1989年にかけて規模拡大が著しかったことが分かります。この成長は、農地改革や灌漑技術の導入、そしてコーヒー豆需要の増加などの経済的・政策的要因に大きく支えられていました。特に1980年代のジンバブエは、品質の高いアラビカコーヒー生産国として国際市場で注目されており、1989年には14,601トンというピークを迎えました。

しかし、1990年代に入ると政治的不安や土地改革政策がもたらす混乱が続き、生産量に大きな影響を及ぼしました。1992年の4,995トンやその後の急激な減少は、農地崩壊や生産インフラの不備が直接の原因として挙げられます。さらに2000年代に入ると、国内経済の停滞と極端なインフレーション、持続可能な農業政策の欠如が生産量の大幅な減少をもたらしました。この時期のコーヒー豆生産量は2000年の9,100トンから、2011年の540トンにまで落ち込みました。

2010年代以降、政府や民間団体による支援により、コーヒー豆生産量は徐々に回復基調にありますが、生産量は依然として500~700トンの低水準で推移しています。この停滞の主な理由として、民間投資の減少、気候変動、技術の未発展、そして農業従事者のスキル不足が挙げられます。特に気候変動により降水量が不安定となり、灌漑設備が十分に整備されていない農地では生産が不安定になるリスクが高まっています。

国際市場との比較に目を向けると、ジンバブエの生産規模は日本やアメリカなどの消費大国のニーズに応えるには不足しており、コロンビア、ベトナム、ブラジルといった主要生産国にも遠く及びません。アフリカ各国でも、エチオピアやウガンダがそれぞれ10万トン規模の生産量を誇るのに対し、ジンバブエの地位はこれらの国々と比較すると厳しい状況にあります。

問題解決のためには、初期的な国際的援助とともに農業技術の向上、適応型気候政策の導入が必要です。具体的には、小規模農家を対象とした持続可能な農業プログラムの開発や、資金援助を受けて灌漑インフラを整備することが有用でしょう。また、ジンバブエ固有の土地条件を活かした高品質コーヒー豆のマーケティングを強化することで、国際市場での競争力を高めることができます。

さらに、地域の安定化は重要な課題でもあります。地政学的にみると、過去の政策がもたらした社会的緊張や紛争解決の不備が土地改革の成功を阻害しているといえます。このため、国際機関との協力を深め、土地改革を透明性の高い形で進める努力が求められます。また、気候変動に対するリスク軽減のため、アフリカ各国と連携しながら再生可能エネルギー利用や農産業環境適応戦略を共有することが重要です。

結論として、ジンバブエのコーヒー豆産業は、依然として数々の課題に直面しています。ただし、持続可能な政策・技術導入、さらには国際市場を狙ったマーケティング戦略の実行により、再び成長の軌道に乗る可能性があります。このためには、国内外からの支援と政治的安定が鍵となるでしょう。