Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、コートジボワールの牛乳生産量は1961年の5,500トンから2023年の33,003トンまで長期的に増加傾向を示しています。この増加の背景には酪農技術の改善や農業政策の影響が考えられますが、一部には一定の低迷や減少が見られる年も構造的な課題を反映しています。とくに、2015年以降の伸び率にやや停滞感があり、2022年には生産量が一時的に減少しました。このデータは農業の持続可能性や地域経済の安定性を考える上で重要な基盤を提供しています。
コートジボワールの牛乳生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 33,003 |
3.92% ↑
|
2022年 | 31,759 |
-11.19% ↓
|
2021年 | 35,760 |
2.82% ↑
|
2020年 | 34,778 |
1.96% ↑
|
2019年 | 34,109 |
1.64% ↑
|
2018年 | 33,558 |
1.69% ↑
|
2017年 | 33,000 |
1.67% ↑
|
2016年 | 32,458 |
1.72% ↑
|
2015年 | 31,908 |
-4.32% ↓
|
2014年 | 33,350 |
6.23% ↑
|
2013年 | 31,395 |
0.12% ↑
|
2012年 | 31,358 |
0.07% ↑
|
2011年 | 31,337 |
0.07% ↑
|
2010年 | 31,315 |
0.54% ↑
|
2009年 | 31,148 |
2.3% ↑
|
2008年 | 30,447 |
2% ↑
|
2007年 | 29,850 |
2% ↑
|
2006年 | 29,265 |
2% ↑
|
2005年 | 28,691 |
2% ↑
|
2004年 | 28,129 |
2% ↑
|
2003年 | 27,577 |
2% ↑
|
2002年 | 27,036 |
2.17% ↑
|
2001年 | 26,462 |
2.17% ↑
|
2000年 | 25,899 | - |
1999年 | 25,899 |
2.17% ↑
|
1998年 | 25,349 |
9.75% ↑
|
1997年 | 23,097 |
2.24% ↑
|
1996年 | 22,591 |
2.21% ↑
|
1995年 | 22,102 |
2.17% ↑
|
1994年 | 21,632 |
2.14% ↑
|
1993年 | 21,179 |
5.9% ↑
|
1992年 | 20,000 |
11.11% ↑
|
1991年 | 18,000 |
2.27% ↑
|
1990年 | 17,600 |
2.33% ↑
|
1989年 | 17,200 |
7.5% ↑
|
1988年 | 16,000 |
2.56% ↑
|
1987年 | 15,600 |
-2.5% ↓
|
1986年 | 16,000 |
-1.84% ↓
|
1985年 | 16,300 |
6.54% ↑
|
1984年 | 15,300 |
9.29% ↑
|
1983年 | 14,000 |
4.48% ↑
|
1982年 | 13,400 |
9.84% ↑
|
1981年 | 12,200 |
4.27% ↑
|
1980年 | 11,700 |
6.36% ↑
|
1979年 | 11,000 |
10% ↑
|
1978年 | 10,000 |
5.26% ↑
|
1977年 | 9,500 |
5.56% ↑
|
1976年 | 9,000 |
5.88% ↑
|
1975年 | 8,500 |
6.25% ↑
|
1974年 | 8,000 | - |
1973年 | 8,000 | - |
1972年 | 8,000 |
6.67% ↑
|
1971年 | 7,500 |
2.74% ↑
|
1970年 | 7,300 |
1.39% ↑
|
1969年 | 7,200 |
2.86% ↑
|
1968年 | 7,000 |
7.69% ↑
|
1967年 | 6,500 |
8.33% ↑
|
1966年 | 6,000 | - |
1965年 | 6,000 | - |
1964年 | 6,000 |
3.45% ↑
|
1963年 | 5,800 |
1.75% ↑
|
1962年 | 5,700 |
3.64% ↑
|
1961年 | 5,500 | - |
コートジボワールの牛乳生産量は1961年からの60余年でおよそ6倍に成長しました。このトレンドは、農業技術の進展、国内市場の需要増加、そして特定の政策的支援の作用による結果と考えられます。初期の5,500トンという低い値は、当時の酪農インフラの未発達や輸入の依存度の高さを反映していると言えます。1970年代から1980年代にかけて10,000トンのラインを超え、その後も毎年比較的安定した形で生産が増加しました。この持続的な成長は、畜産業の近代化および国内需要拡大のニーズに応えるための取り組みの一環として評価できます。
一方で、1990年代以降にはやや増加率が鈍化している時期も見られます。特に2015年以降の生産データには、33,000トン近辺で伸び率の低迷が目立ちます。2022年には31,759トンと顕著な減少が記録されています。このような不安定な動きの背景には、気候変動による天候リスク、畜産インフラの老朽化、紛争など地政学的なリスクが影響している可能性があります。また、2020年以降は世界的な新型コロナウイルスのパンデミックによる物流や供給網の乱れも生産量に負の影響を与えたと考えられます。
地域間での比較を行うと、同様に農林業が重要な役割を果たす西アフリカの他国、特にナイジェリアやガーナと比べても牛乳生産量の規模はやや小さく、それらの都市化による需要の伸長に比べるとコートジボワールの能動的な生産拡大は立ち遅れている可能性があります。農業政策や援助における構造的な課題、また人口増加に対応する酪農業の拡張性が十分ではないことが推測されます。
将来的な課題を考えると、まず気候変動に対応した持続可能な畜産モデルの導入が急務です。コートジボワールでは乾燥化や予測不能な天候パターンが牧草地や乳牛への影響を与えるリスクが高まっています。このリスクに対応するためには、耐乾燥性の高い牧草品種の育成や、牛乳の効率的な収集・保存のシステムの構築が重要となります。また、政策的には農村部での畜産技術教育の普及や、小規模酪農業者への財政支援を拡大することが推奨されます。
さらに、国際市場や経済的基盤を強化するためには地域協力の推進が鍵を握ります。たとえば、西アフリカ経済共同体(ECOWAS)内での農業製品の自由貿易を進めることで、現地の酪農プロセスをより持続可能なものにしていくことができるでしょう。また、輸入依存を減らし国内生産を増強することで、経済の自給的発展や国民の栄養状態の改善にもつながります。
最後に、これらの取り組みを実現するためには、持続可能な開発目標(SDGs)を指針とした国際連携の枠組みが求められます。国際機関や先進国の支援を受けて革新的な農業技術や知見を導入することで、コートジボワールの牛乳生産は今後さらなる成長を遂げる可能性を持っています。このような包括的なアプローチこそがコートジボワールの経済と食糧資源の安定に寄与する鍵となるでしょう。