国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、コートジボワールのオレンジ生産量は長期的に増加傾向を示しています。1961年の5,000トンから堅調に伸び続け、2022年には41,367トンに達しました。一方、2016年以降の増加ペースは鈍化しており、微小な減少と増加を繰り返しています。こうした動向は、農業インフラや気候変動、地域・国際的な需要変動が影響していると考えられます。
コートジボワールのオレンジ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 41,365 | - |
2022年 | 41,367 |
0.65% ↑
|
2021年 | 41,100 |
-1.26% ↓
|
2020年 | 41,626 |
0.61% ↑
|
2019年 | 41,375 |
2.67% ↑
|
2018年 | 40,299 |
1.2% ↑
|
2017年 | 39,820 |
0.98% ↑
|
2016年 | 39,433 |
-2.99% ↓
|
2015年 | 40,649 |
2.66% ↑
|
2014年 | 39,595 |
4.04% ↑
|
2013年 | 38,056 |
0.91% ↑
|
2012年 | 37,714 |
2.46% ↑
|
2011年 | 36,809 |
2.83% ↑
|
2010年 | 35,797 |
0.74% ↑
|
2009年 | 35,533 |
1.15% ↑
|
2008年 | 35,128 |
0.36% ↑
|
2007年 | 35,000 |
1.46% ↑
|
2006年 | 34,497 |
3.33% ↑
|
2005年 | 33,386 |
3.31% ↑
|
2004年 | 32,316 |
3.31% ↑
|
2003年 | 31,280 |
2.1% ↑
|
2002年 | 30,637 |
2.1% ↑
|
2001年 | 30,007 |
2.6% ↑
|
2000年 | 29,248 |
2.14% ↑
|
1999年 | 28,634 |
-3.86% ↓
|
1998年 | 29,783 |
2.59% ↑
|
1997年 | 29,030 |
3.37% ↑
|
1996年 | 28,083 |
1.66% ↑
|
1995年 | 27,623 |
-1.35% ↓
|
1994年 | 28,000 |
-0.55% ↓
|
1993年 | 28,156 |
3.5% ↑
|
1992年 | 27,205 |
5% ↑
|
1991年 | 25,910 |
42.64% ↑
|
1990年 | 18,164 |
-35.13% ↓
|
1989年 | 28,000 | - |
1988年 | 28,000 | - |
1987年 | 28,000 | - |
1986年 | 28,000 |
3.7% ↑
|
1985年 | 27,000 |
3.85% ↑
|
1984年 | 26,000 |
4% ↑
|
1983年 | 25,000 |
4.17% ↑
|
1982年 | 24,000 |
9.09% ↑
|
1981年 | 22,000 |
4.76% ↑
|
1980年 | 21,000 |
5% ↑
|
1979年 | 20,000 |
11.11% ↑
|
1978年 | 18,000 | - |
1977年 | 18,000 | - |
1976年 | 18,000 |
20% ↑
|
1975年 | 15,000 | - |
1974年 | 15,000 | - |
1973年 | 15,000 |
25% ↑
|
1972年 | 12,000 |
20% ↑
|
1971年 | 10,000 |
25% ↑
|
1970年 | 8,000 |
33.33% ↑
|
1969年 | 6,000 |
20% ↑
|
1968年 | 5,000 | - |
1967年 | 5,000 | - |
1966年 | 5,000 | - |
1965年 | 5,000 | - |
1964年 | 5,000 | - |
1963年 | 5,000 | - |
1962年 | 5,000 | - |
1961年 | 5,000 | - |
コートジボワールのオレンジ生産は、1960年代の小規模生産からスタートし、1970年代に急激な伸びを見せ始めました。1961年の5,000トンから1973年には15,000トンとなり、1980年代にはさらに20,000トンを超える成長を遂げました。これらの背景には、農業発展政策や果樹園への投資、輸出市場拡大への取り組みが関係していると考えられます。
1990年代に入ると、データには一時的な減少が見られます。特に1990年の18,164トンという落ち込みは注目すべきもので、この時期にコートジボワールが市民の社会的・経済的不安定に直面し、農業生産も影響を受けたことが考えられます。しかし、その後は回復傾向を示し、2000年代には30,000トン台、2010年代後半には40,000トン台に達し、安定した農業基盤の整備が伺えます。
2016年以降の動向を見ると、39,433トン(2016年)から41,626トン(2020年)とわずかな増加を記録しているものの、そのペースは減速していることが明らかです。また、2021年には41,100トンと微減が見られました。これは、気候変動の影響による天候不順や持続可能な農業技術の普及の遅れが要因として考えられるでしょう。また、輸出市場の需要動向や地域の経済的不確実性も影響を与えている可能性があります。
国別で見ると、隣国ガーナなども小規模な生産を行っていますが、コートジボワールの規模は西アフリカ地域でも目立っており、地域競争力があります。しかし、例えばアメリカやブラジル、中国などの世界的主要生産国と比較すると、まだ経済規模や技術水準では大きな差があります。これらの国々はオレンジ以外にも加工食品としての輸出製品を増やすことに成功しており、輸出付加価値の高さで優位に立っています。
課題としては、まず、気候変動への対策が急務です。特にオレンジ栽培は天候の変化に敏感であり、高温や降水パターンの変化は直接的な収穫量に影響を与えます。また、生産と輸出のバランスも重要です。国内市場需要の伸びとともに輸出向けの収益を維持するためには、品質向上や輸送の効率化が求められる状況にあります。
未来に向けた提言として、まず、持続可能な農業技術の利用促進が挙げられます。例えば、気温や降水量データを用いた農業管理技術は、収穫量の安定化に大きく寄与します。また、農業従事者への技術支援や教育、設備投資の促進はオレンジ生産における労働生産性向上に繋がるでしょう。さらに、地域協力の枠組みを拡充させ、周辺諸国との協調的な輸出戦略を進めることも効果的です。
将来的には、加工オレンジやジュースといった関連産業の発展が農業以外の雇用創出にも寄与すると考えられます。この分野への投資を進めることで、単なる農産物輸出から付加価値の高い製品輸出への転換を図ることができます。
このように、コートジボワールはオレンジ生産量を過去から順調に成長させてきましたが、今後は生産安定化と価値向上戦略を両立させる必要があります。国際的な支援の利用も進めつつ、持続可能な成長を実現するための取り組みが求められています。