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コートジボワールのコーヒー豆生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、コートジボワールのコーヒー豆生産量は、1960年代から2000年ごろまでは大きな変動があるものの一定の生産水準を維持していました。しかし2000年代以降には急激な減少傾向が見られ、2022年時点では70,000トンと大きく減少しています。この長期的な減少には複数の要因が関係しており、今後の持続可能な生産についての課題が明らかになっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 91,327
30.47% ↑
2022年 70,000
14.17% ↑
2021年 61,312
-25.56% ↓
2020年 82,366
-13.48% ↓
2019年 95,204
-23.16% ↓
2018年 123,900
268.75% ↑
2017年 33,600
-68.3% ↓
2016年 106,000
-16.54% ↓
2015年 127,000
15.55% ↑
2014年 109,913
5.95% ↑
2013年 103,743
-14.56% ↓
2012年 121,426
276.04% ↑
2011年 32,291
-65.78% ↓
2010年 94,372
-33.98% ↓
2009年 142,945
-17.43% ↓
2008年 173,118
1.33% ↑
2007年 170,849
-8.64% ↓
2006年 187,000
-18.7% ↓
2005年 230,000
49.27% ↑
2004年 154,081
10.04% ↑
2003年 140,027
-23.06% ↓
2002年 182,001
-39.56% ↓
2001年 301,127
-20.76% ↓
2000年 380,000
23.65% ↑
1999年 307,331
-1.18% ↓
1998年 311,000
11.38% ↑
1997年 279,219
66.41% ↑
1996年 167,786
-13.94% ↓
1995年 194,968
33.93% ↑
1994年 145,576
4.78% ↑
1993年 138,937
-45.94% ↓
1992年 257,000
29.2% ↑
1991年 198,909
-30.25% ↓
1990年 285,164
28.83% ↑
1989年 221,350
18.56% ↑
1988年 186,705
-30.88% ↓
1987年 270,130
1.86% ↑
1986年 265,199
-4.29% ↓
1985年 277,082
225.2% ↑
1984年 85,203
-68.51% ↓
1983年 270,581
9.23% ↑
1982年 247,708
-32.48% ↓
1981年 366,839
46.97% ↑
1980年 249,608
-9.9% ↓
1979年 277,048
41.67% ↑
1978年 195,565
-32.87% ↓
1977年 291,339
-5.53% ↓
1976年 308,400
14.05% ↑
1975年 270,400
38% ↑
1974年 195,935
-35.08% ↓
1973年 301,804
12.26% ↑
1972年 268,836
12.15% ↑
1971年 239,706
-14.27% ↓
1970年 279,610
33.07% ↑
1969年 210,124
-26.98% ↓
1968年 287,760
120.07% ↑
1967年 130,759
-52.03% ↓
1966年 272,566
34.86% ↑
1965年 202,105
-22.48% ↓
1964年 260,698
33.94% ↑
1963年 194,639
100.51% ↑
1962年 97,071
-47.67% ↓
1961年 185,500 -

コートジボワールは、かつてアフリカで輸出用コーヒーの一大生産地として知られてきました。1960年代から1980年代後半にかけては、年間20万~30万トンを安定して生産しており、特に1981年には366,839トンを記録するなど高水準の生産を実現していました。しかし、1990年代に入ってから生産量は減少傾向に転じ、この減少幅が2000年代以降さらに広がりました。2022年には70,000トンにまで低下しており、最盛期の時代と比べて約5分の1以下の水準にまで落ち込んでいます。

この長期的な生産量の減少には、いくつかの要因があります。第一の要因は、国内の政治的不安定さと地域紛争の影響です。コートジボワールでは2002年から2011年まで断続的に内戦が続き、農村地帯での秩序が崩壊したため、コーヒー農家の多くが畑を維持することが困難となりました。その影響でコーヒーの樹木が放棄されたり、適切な養殖技術が行き届かなくなったりしました。

第二に、国内および国際市場の経済的な変化が挙げられます。近年、コーヒーの国際市場価格は不安定で、収益性が低下しています。このため、多くの農家がカカオの生産などコーヒー以外の収益性が高い作物へと移行したことが報告されています。さらに、農業支援政策が十分ではなく、生産効率の改善や品質向上のための技術革新が遅れている点も減少の一因と考えられます。

第三に、気候変動の影響も無視できません。コーヒーは気候変動に敏感な作物であり、気温上昇や干ばつ、降水パターンの変化が生育環境に悪影響を及ぼしています。コートジボワールでも適地が縮小し、生産量の減少に繋がっています。

また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による世界的なパンデミックも一時的な生産減少に寄与しました。物流網の停滞や輸出の遅延、さらに農村地域での労働力不足が生産活動に深刻な影響を与えました。

これらの背景を踏まえると、コートジボワールのコーヒー産業の回復にはさまざまな課題が見えてきます。一つには、生産基盤の再構築が必要です。土地の再生、農家への技術指導、気候に適合した品種の導入が重要なステップとなるでしょう。また、国際市場での競争力を取り戻すためには、品質向上や生産性の拡大に向けた研究と投資が不可欠です。

さらに、地方分権的な農業支援と効果的なマーケティング施策も必要です。カカオやバナナといった輸出向け作物に頼りすぎず、コーヒーの生産を持続的に継続するためには、国が主導する魅力的なインセンティブ制度が求められます。そして気候変動への対応策として灌漑技術の向上、森林保護の強化、農村地域での再活性化も進める必要があるでしょう。

国際社会としては、開発資金の提供や持続可能な農業技術の共有、地産地消の推進を通じて、コートジボワールが再び世界的なコーヒー生産地として復興を遂げることを支援することが期待されます。特にコートジボワールの輸出は経済に大きな影響を与えるため、輸出品の多様化を支えながらコーヒー産業の競争力向上を図ることが重要です。

結論として、コートジボワールのコーヒー産業は過去の栄光を取り戻すには長い道のりが予想されますが、持続可能な農業実践や政策的支援、地域間での協力体制を築くことで、その潜在能力を再び引き出すことができるでしょう。