国際連合食糧農業機関(FAO)の2024年7月に更新されたデータによると、コートジボワールのアーモンド生産量は、1978年の30トンから2023年の1,681トンまで着実に増加しています。特に1980年代後半以降は急速な成長を見せ、1990年代には持続的な上昇傾向が顕著でした。一方で、2018年以降は生産量の伸びが停滞しており、1800トンを達成するには至っていません。この背景には、農業技術の普及状況や気候変動への影響、輸出需要の変化などが関与していると考えられます。
コートジボワールのアーモンド生産量推移(1961年~2023年)
| 年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
|---|---|---|
| 2023年 | 1,681 |
0.28% ↑
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| 2022年 | 1,676 |
-0.69% ↓
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| 2021年 | 1,688 |
0.55% ↑
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| 2020年 | 1,679 |
0.99% ↑
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| 2019年 | 1,662 |
-3.52% ↓
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| 2018年 | 1,723 |
4.36% ↑
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| 2017年 | 1,651 |
2.34% ↑
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| 2016年 | 1,613 |
-9.17% ↓
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| 2015年 | 1,776 |
13.6% ↑
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| 2014年 | 1,563 |
4.22% ↑
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| 2013年 | 1,500 |
1.35% ↑
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| 2012年 | 1,480 |
6.87% ↑
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| 2011年 | 1,385 |
25.89% ↑
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| 2010年 | 1,100 |
4.76% ↑
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| 2009年 | 1,050 |
0.51% ↑
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| 2008年 | 1,045 |
12.78% ↑
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| 2007年 | 926 |
15.79% ↑
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| 2006年 | 800 |
6.67% ↑
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| 2005年 | 750 |
7.14% ↑
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| 2004年 | 700 |
7.69% ↑
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| 2003年 | 650 |
8.33% ↑
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| 2002年 | 600 |
4.67% ↑
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| 2001年 | 573 |
10.23% ↑
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| 2000年 | 520 |
5.81% ↑
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| 1999年 | 491 |
22.86% ↑
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| 1998年 | 400 |
25% ↑
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| 1997年 | 320 |
2.1% ↑
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| 1996年 | 313 |
4.47% ↑
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| 1995年 | 300 |
100% ↑
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| 1989年 | 150 | - |
| 1988年 | 150 | - |
| 1987年 | 150 | - |
| 1986年 | 150 | - |
| 1985年 | 150 | - |
| 1984年 | 150 |
-6.25% ↓
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| 1983年 | 160 |
6.67% ↑
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| 1982年 | 150 | - |
| 1981年 | 150 |
200% ↑
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| 1980年 | 50 |
42.86% ↑
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| 1979年 | 35 |
16.67% ↑
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| 1978年 | 30 | - |
コートジボワールのアーモンド生産量は、国際連合食糧農業機関(FAO)が提供するデータに基づけば、1978年の30トンから2023年の1,681トンまでおよそ56年間で大幅に増加しています。この成長には複数の要因が絡んでおり、特に1980年代から1990年代にかけては大幅な生産拡大が見られました。例えば、1995年には300トンだった生産量は、その後10年で800トンに近づくほど急激な伸びを見せており、農業の機械化や経済の安定といった要因が背景にあると考えられます。
しかし2018年以降のデータを見ると、生産量は1,600トンから1,700トンの間でほぼ横ばいとなっており、以前のような急成長は見られなくなっています。この現象は、いくつかの課題と関連していると考えられます。まず、気候変動が農業生産に与える影響が大きくなっている点が挙げられます。コートジボワールは赤道付近に位置し、高温多湿な気候で知られていますが、近年では降雨パターンの変化や干ばつのリスク増加が農作物の育成に影響を与えています。また、植物病害虫の流行リスクも高まりつつあり、生産を持続可能にするには防除技術の導入が不可欠です。
さらに、農業労働力の流出や技術的な知識の不足も生産量停滞の要因の一つです。都市部への若年層の移住が進む中、農業分野での人材不足が深刻化しています。これに加え、農地の肥沃度低下や、国際市場での競争力低下も懸念される問題です。具体的には、アーモンド生産で世界をリードするアメリカ(特にカリフォルニア州)のような大規模農業地域と比較して、生産コストや収量効率の点で課題が残されているといえるでしょう。
地域の地政学的背景や紛争も見逃せない要素です。コートジボワールは、2002年から2011年頃までの内戦を経験しており、その影響で農業基盤の整備が一時停滞しました。こうした過去の影響が現在のアーモンド生産量に間接的に影響を与えている可能性もあります。加えて、サプライチェーンの脆弱性やインフラ整備の遅れが輸出量の安定性に課題をもたらしています。
このような状況を改善し、今後さらに生産量を伸ばすためにはいくつかの具体的な対策が必要です。例えば、農業技術の教育普及プログラムを導入し、効率的な生産方法や最新の栽培技術を農家に提供することが挙げられます。また、気候変動に対応するための耐病害・耐乾燥型のアーモンド品種の開発と普及も重要です。さらに、若年層の農業参入を促進するためのインセンティブ政策や、農家への資金援助を強化することも効果的でしょう。このほか、輸送インフラの整備やサプライチェーンの強化を行い、収益拡大を目指すことも欠かせません。
結論として、データが示すようにコートジボワールのアーモンド生産量は歴史的に顕著な成長を遂げてきましたが、現在はその伸びが停滞しています。この問題を解決するためには、農業技術の改革や生産基盤の強化、気候変動への適応といった多方面の取り組みが必要です。国際機関や他国との連携を強化しつつ、輸出市場での競争力を高めるための政策的支援が求められます。これにより、アーモンド生産が国全体の経済発展に貢献する重要な柱となる可能性が期待されます。