国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に発表した最新データによると、コートジボワールのキュウリ類の生産量は近年安定的な水準で推移しています。1990年代には大きな増加が見られましたが、1999年以降は減少と回復を繰り返し、2020年以降は20,000トン前後の一定水準となっています。一時期の急激な増減はありましたが、直近の10年間では大きな変動はなく、安定した生産量が維持されています。
コートジボワールのキュウリ類生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 20,629 |
-0.54% ↓
|
2022年 | 20,740 |
-0.07% ↓
|
2021年 | 20,756 |
-0.07% ↓
|
2020年 | 20,771 |
1% ↑
|
2019年 | 20,565 |
1.89% ↑
|
2018年 | 20,184 |
0.91% ↑
|
2017年 | 20,002 |
-1.13% ↓
|
2016年 | 20,230 |
-3.87% ↓
|
2015年 | 21,045 |
10.24% ↑
|
2014年 | 19,090 |
-7.13% ↓
|
2013年 | 20,555 |
-9.93% ↓
|
2012年 | 22,822 |
2.78% ↑
|
2011年 | 22,204 |
13.25% ↑
|
2010年 | 19,607 |
-6.35% ↓
|
2009年 | 20,937 |
3% ↑
|
2008年 | 20,327 |
3% ↑
|
2007年 | 19,735 |
3.17% ↑
|
2006年 | 19,129 |
3.3% ↑
|
2005年 | 18,518 |
3.31% ↑
|
2004年 | 17,924 |
3.31% ↑
|
2003年 | 17,349 |
-30.57% ↓
|
2002年 | 24,989 |
-2.55% ↓
|
2001年 | 25,644 |
57.86% ↑
|
2000年 | 16,245 |
2.09% ↑
|
1999年 | 15,912 |
-48.64% ↓
|
1998年 | 30,981 |
2.15% ↑
|
1997年 | 30,330 |
26.41% ↑
|
1996年 | 23,993 |
9.06% ↑
|
1995年 | 22,000 |
3.06% ↑
|
1994年 | 21,347 |
1.65% ↑
|
1993年 | 21,000 |
-0.29% ↓
|
1992年 | 21,061 |
1.01% ↑
|
1991年 | 20,850 |
4.25% ↑
|
1990年 | 20,000 | - |
コートジボワールにおけるキュウリ類の生産量データには、1990年から2023年までのおよそ30年間にわたる変遷が記録されています。1990年には20,000トンの生産から始まり、その後数年間は順調に増加を見せ、1997年にはピークとなる30,330トンを記録しました。この時期の増加要因としては、農業技術の改善や市場の需要拡大が挙げられると考えられます。しかし、その後は1999年に15,912トンへ急落し、20,000トン前後で上下するような状態が続きました。特に1999年から2003年にかけての低迷期では、国内外の市場の混乱や同国の内戦の影響が経済と農業生産全般に深刻なダメージを与えたことが影響を及ぼした可能性があります。
2010年代以降、キュウリ類の生産量は年ごとにわずかな変動はあるものの、ほぼ一定の水準で推移しています。これは農業基盤の回復が進んできた一方で、生産量を大きく押し上げる革新的な取り組みが不足していた現状を物語るものとも言えるでしょう。また、2020年以降では新型コロナウイルス感染症のパンデミックがもたらす物流や労働力不足が生産活動に影響を与えたものの、生産量の推移における顕著な変化は見られませんでした。
この安定には一定の評価ができるものの、生産効率を向上させた形跡が乏しい点は課題として浮き彫りになっています。例えば、主要な農業生産国である隣国ガーナやナイジェリアでは、近年農業機械化への投資が進み、生産性の改善が見られる一方、コートジボワールは比較的保守的な農法が続いていることが背景にあると考えられます。
将来的に、同国のキュウリ類生産を一段と発展させるためには、以下のような措置が求められるでしょう。まず、農家への近代的な農業技術の普及を進め、生産性を高める教育と訓練の場を提供することが重要です。さらに農業インフラ、特に灌漑設備の整備が必要です。同国では気候変動の影響で降雨パターンが不安定化する中で、水資源の管理を徹底することは、安定した生産を目指すには欠かせません。また、農業所得の向上を図るためには、地元市場や国外への輸出を促進するための流通網の改善や、組織的なマーケティング支援も有効です。
最後に、コートジボワールを取り巻く地域情勢に関する懸念も見逃せません。同国では過去に内戦による政治不安定が農業分野に深刻な影響を及ぼしました。将来的にもこのような地政学的リスクの再来が生産に影響を与える可能性があるため、平和維持のための国際的な支援や、地域間協力の強化が鍵となるでしょう。
総合的に見ると、コートジボワールのキュウリ生産量の推移はこの数十年間でいくつかの浮き沈みを記録してきましたが、直近10年間は概ね安定しています。しかし、安定を維持するための努力だけでなく、向上を図るための具体的な取り組みがない限り、競争が激化する中で国際市場における影響力を拡大することは難しいでしょう。同国の政府や関連機関、さらには国際的な支援団体による連携が、今後の成長にとって重要な役割を果たすことが期待されます。