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コートジボワールのサトイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、コートジボワールのサトイモ生産量は1960年代から緩やかな増加傾向を示していましたが、1970年代後半から急激な減少に転換しました。その後、1990年代から2000年代初頭にかけて最低水準を記録しましたが、2005年以降は回復基調に入りました。2022年の生産量は87,665トンで、直近では微減の推移が見られます。このデータは、国内の農業政策や市場需要、さらに地政学的や気候的要因が生産に大きく影響していることを示唆します。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 92,706
5.75% ↑
2022年 87,665
-0.08% ↓
2021年 87,738
-1.6% ↓
2020年 89,163
1.49% ↑
2019年 87,857
3% ↑
2018年 85,298
2.65% ↑
2017年 83,100
2.97% ↑
2016年 80,700
2.93% ↑
2015年 78,400
3.05% ↑
2014年 76,078
2.91% ↑
2013年 73,926
3% ↑
2012年 71,772
3% ↑
2011年 69,682
-1.24% ↓
2010年 70,559
3.2% ↑
2009年 68,371
-10.63% ↓
2008年 76,503
3% ↑
2007年 74,275
3.3% ↑
2006年 71,902
3.3% ↑
2005年 69,605
32.81% ↑
2004年 52,408
2.26% ↑
2003年 51,252
-18.32% ↓
2002年 62,747
2.1% ↑
2001年 61,457
2.15% ↑
2000年 60,166
2.14% ↑
1999年 58,903
2.15% ↑
1998年 57,666
2.15% ↑
1997年 56,455
2.74% ↑
1996年 54,952
1.9% ↑
1995年 53,927
-5.73% ↓
1994年 57,203
-3.01% ↓
1993年 58,981
-9.35% ↓
1992年 65,067
-18.44% ↓
1991年 79,774
-1.1% ↓
1990年 80,661
-8.31% ↓
1989年 87,972
-14.22% ↓
1988年 102,558
-3.94% ↓
1987年 106,770
-5.93% ↓
1986年 113,503
-14.44% ↓
1985年 132,653
-6.17% ↓
1984年 141,372
2.8% ↑
1983年 137,525
-14.96% ↓
1982年 161,724
-8.99% ↓
1981年 177,708
-4.68% ↓
1980年 186,434
28.73% ↑
1979年 144,829
-7.95% ↓
1978年 157,337
-11.75% ↓
1977年 178,282
-7.07% ↓
1976年 191,839
-14.18% ↓
1975年 223,548
8.52% ↑
1974年 206,000
3% ↑
1973年 200,000
2.56% ↑
1972年 195,000
3.17% ↑
1971年 189,000
4.02% ↑
1970年 181,700
2.25% ↑
1969年 177,700
9.69% ↑
1968年 162,000 -
1967年 162,000
1.25% ↑
1966年 160,000 -
1965年 160,000
2.56% ↑
1964年 156,000
2.63% ↑
1963年 152,000
1.33% ↑
1962年 150,000
25% ↑
1961年 120,000 -

コートジボワールのサトイモ生産量データは、同国の農業構造や経済状況、また国際市場の影響を反映する重要な指標となっています。1961年の120,000トンから始まり、1960年代末から1970年代にかけては約181,700トンまで生産量が上昇しました。この時期、コートジボワール農業は安定した気候と国内需要拡大に支えられていました。しかし、1976年以降の減少傾向は顕著で、1985年には113,503トン、1990年代にはさらに低下し、1992年には65,067トンと大きな落ち込みを記録しました。

このような減少の背景には、国内の政治不安やインフラの破壊、農業従事者の減少が一因として考えられます。また、輸出志向の他の作物(カカオやコーヒーなど)が重点的に生産されるために、国内でのサトイモ生産が軽視される傾向が影響しているとみられます。加えて、地政学的リスクや内乱と、その影響で発生した難民問題が農業全体に打撃を与えたことも無視できません。

2005年には69,605トンまで生産が増加し、徐々に回復基調となりました。この回復は、農業支援プログラムや技術指導、地域社会の安定化政策などが奏功したものとされています。しかしながら、2022年には87,665トンで若干の減少を見せ、近年では伸び悩みつつあることがデータからも読み取れます。

コートジボワールにとってサトイモは、主に国内消費や地域経済に寄与する重要な作物です。そのため、生産量の安定や成長促進は、国民の食糧安全保障や労働力確保に直結する課題です。同じくサトイモの大量生産が行われているアジア諸国と比較すると、例えばインドでは技術革新や効率的な灌漑(かんがい)システムの導入が進んでいるのに対し、コートジボワールではそうした農業技術の普及が遅れています。この点は対策が必要な課題として挙げられます。

さらに、気候変動の影響も見逃せない要素です。サトイモの栽培には適切な降雨量と安定した気温が必要ですが、近年の異常気象は農業生産全般に不安定な波をもたらしています。そのため、水資源の効率的な管理や気候影響を軽減する政策拡充が求められています。

将来的には、生産量の安定化に向けた具体的な取り組みとして、小規模農家への技術支援や金融支援の充実、輸出目的ではない現地需要を優先した食糧政策の見直しが必要です。また、栄養価が高く、気候リスクへの耐性がある作物としての特長をアピールしつつ、国際的な市場での需要を拡大させる取り組みも有益です。これには、他国との協力や輸送インフラの整備なども含まれます。

結論として、コートジボワールのサトイモ生産が抱える課題は多岐にわたりますが、それらに対応する努力次第でこの作物が同国の農業における重要な一翼を担うことは十分に可能です。政府と国際機関による連携は不可欠であり、また地域社会の主体的な参画も合わせて促進する必要があります。以上から、持続可能な農業体系の構築が最優先といえます。