国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、カーボベルデのヤギ肉生産量は1961年の140トンから2023年の669トンまで増加しました。この期間の生産量は、特に1980年代後半や2000年代前半に大きく変動しましたが、近年では安定した増加傾向が見られます。2016年には928トンというピークを迎えた後、2017年と2018年に大幅な減少がありましたが、その後は再び増加基調となっています。
カーボベルデのヤギ肉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 669 |
5.1% ↑
|
2022年 | 637 |
4.22% ↑
|
2021年 | 611 |
2.99% ↑
|
2020年 | 593 |
19.32% ↑
|
2019年 | 497 |
2.69% ↑
|
2018年 | 484 | - |
2017年 | 484 |
-47.84% ↓
|
2016年 | 928 |
2.88% ↑
|
2015年 | 902 |
2.73% ↑
|
2014年 | 878 |
2.69% ↑
|
2013年 | 855 |
2.89% ↑
|
2012年 | 831 |
2.72% ↑
|
2011年 | 809 |
45.05% ↑
|
2010年 | 558 |
23.33% ↑
|
2009年 | 452 |
32.9% ↑
|
2008年 | 340 |
-20.13% ↓
|
2007年 | 426 |
6.13% ↑
|
2006年 | 401 |
-20.47% ↓
|
2005年 | 505 |
-18.58% ↓
|
2004年 | 620 |
31.5% ↑
|
2003年 | 472 |
0.32% ↑
|
2002年 | 470 |
4.44% ↑
|
2001年 | 450 | - |
2000年 | 450 |
-4.26% ↓
|
1999年 | 470 |
-5.05% ↓
|
1998年 | 495 |
19.28% ↑
|
1997年 | 415 |
1.22% ↑
|
1996年 | 410 |
-2.38% ↓
|
1995年 | 420 |
-12.5% ↓
|
1994年 | 480 | - |
1993年 | 480 |
4.35% ↑
|
1992年 | 460 |
1.1% ↑
|
1991年 | 455 |
15.48% ↑
|
1990年 | 394 |
1.29% ↑
|
1989年 | 389 |
-18.28% ↓
|
1988年 | 476 |
65.28% ↑
|
1987年 | 288 |
2.49% ↑
|
1986年 | 281 |
16.6% ↑
|
1985年 | 241 |
-17.75% ↓
|
1984年 | 293 |
1.03% ↑
|
1983年 | 290 |
-12.65% ↓
|
1982年 | 332 |
18.57% ↑
|
1981年 | 280 |
21.74% ↑
|
1980年 | 230 |
-2.13% ↓
|
1979年 | 235 |
2.17% ↑
|
1978年 | 230 |
4.55% ↑
|
1977年 | 220 |
4.76% ↑
|
1976年 | 210 |
20% ↑
|
1975年 | 175 |
9.38% ↑
|
1974年 | 160 |
14.29% ↑
|
1973年 | 140 |
-9.68% ↓
|
1972年 | 155 |
-8.82% ↓
|
1971年 | 170 | - |
1970年 | 170 | - |
1969年 | 170 | - |
1968年 | 170 | - |
1967年 | 170 |
-2.86% ↓
|
1966年 | 175 |
2.94% ↑
|
1965年 | 170 |
6.25% ↑
|
1964年 | 160 |
6.67% ↑
|
1963年 | 150 | - |
1962年 | 150 |
7.14% ↑
|
1961年 | 140 | - |
1961年以降のカーボベルデにおけるヤギ肉生産量の推移を見ると、時代ごとに異なる特徴が浮かび上がります。1960年代は全般的にゆるやかな増加傾向を示しており、1970年代後半から1980年代初頭にかけては急成長期に入りました。この時期の生産増加は、ヤギの飼育技術の進歩や農牧業政策の強化に起因していると考えられます。一方で、1985年から1990年にかけてのデータからは顕著な変動が見られます。特に1988年の476トンという急激な増加と、その後の若干の減少は、降雨量や気候変動の影響、また市場動向の変化が原因となっている可能性があります。
2000年代に入ってからは全体的に安定した増加基調が見られる一方で、2008年や2017年から2018年に大きな減少が記録されています。特に2017年と2018年の大幅な減少は、地域的な干ばつやその他の環境的要因が影響した可能性があります。しかしながら、2020年以降の増加基調は顕著であり、2023年には669トンに達しました。この増加は、国内外のヤギ肉需要の高まり、効率的な牧畜管理の推進、さらには地元農民への支援策によるものと考えられます。
地域的課題として、カーボベルデは島国であることから、気候変動の影響を受けやすい状況にあります。降雨パターンの変化や干ばつは、飼料生産や放牧環境に影響を与え、ヤギ肉生産の安定化を困難にしています。さらに、輸送インフラの制約や市場規模の限界も、ヤギ肉産業の発展を妨げる要因となっています。
他国と比較すると、アフリカ諸国では伝統的にヤギ肉が広く消費されており、自給率の重要性が高いです。一例として、ナイジェリアやエチオピアなどのヤギ肉主要生産国は、国内市場だけでなく輸出市場でも優位性を持ち、農牧業政策の推進が課題解決の鍵となっています。これに対し、日本のような高度に集約化された生産システムや韓国のような高付加価値畜産物市場の拡大戦略は、カーボベルデにとって参考となる可能性が高いです。
今後、カーボベルデのヤギ肉生産量を持続的に増加させるためには、いくつかの具体的対策が必要です。第一に、気候変動の影響を軽減するために、乾燥地域での耐乾性飼料の導入や水資源管理技術の拡大を図るべきです。第二に、ヤギ肉市場の拡大に向けてインフラ整備を進め、地域間の物流を改善することが重要です。第三に、国内外の需要に対応した品質向上策として、飼育方法の近代化や衛生管理の向上も不可欠です。特に、輸出市場の可能性を探るには、国際的な品質基準を満たすことが必須となるでしょう。
結論として、カーボベルデのヤギ肉生産量は過去数十年間で全体的に増加しており、近年は安定的な回復基調を描いています。ただし、気候変動やインフラの制約など、依然として解決すべき課題が多く存在します。これらの課題に対処するためには、国際的な協力の枠組みや長期的な政策目標を基盤とした取り組みが求められます。カーボベルデ政府や国際機関は、農牧業の持続可能性を高めるための技術導入や資源配分の最適化を積極的に支援していくべきです。