国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、カーボベルデのトマト生産量は1961年から2022年の間に大きな変動を見せました。1961年から1979年までは生産量が100トンで一定でしたが、1980年に一時的に50トンに減少しました。その後、1986年以降急速な増加傾向が見られ、2000年代初頭には1万トンを超え、ピーク時の2009年では約15,965トンを記録しました。しかし、近年は低下傾向にあり、2022年には約10,082トンにまで減少しています。この推移は、国内の農業技術、気候条件、経済政策などが強く影響していると考えられます。
カーボベルデのトマト生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 10,082 |
2021年 | 11,200 |
2020年 | 12,474 |
2019年 | 14,329 |
2018年 | 14,702 |
2017年 | 16,817 |
2016年 | 15,133 |
2015年 | 14,597 |
2014年 | 15,611 |
2013年 | 16,684 |
2012年 | 14,045 |
2011年 | 17,399 |
2010年 | 15,193 |
2009年 | 15,965 |
2008年 | 12,490 |
2007年 | 15,648 |
2006年 | 13,000 |
2005年 | 13,250 |
2004年 | 13,350 |
2003年 | 13,250 |
2002年 | 12,950 |
2001年 | 12,650 |
2000年 | 12,500 |
1999年 | 3,816 |
1998年 | 3,179 |
1997年 | 3,195 |
1996年 | 2,348 |
1995年 | 1,500 |
1994年 | 1,500 |
1993年 | 1,476 |
1992年 | 960 |
1991年 | 960 |
1990年 | 1,718 |
1989年 | 1,020 |
1988年 | 540 |
1987年 | 400 |
1986年 | 200 |
1985年 | 100 |
1984年 | 100 |
1983年 | 100 |
1982年 | 100 |
1981年 | 100 |
1980年 | 50 |
1979年 | 100 |
1978年 | 100 |
1977年 | 100 |
1976年 | 100 |
1975年 | 100 |
1974年 | 100 |
1973年 | 100 |
1972年 | 100 |
1971年 | 100 |
1970年 | 100 |
1969年 | 100 |
1968年 | 100 |
1967年 | 100 |
1966年 | 100 |
1965年 | 100 |
1964年 | 100 |
1963年 | 100 |
1962年 | 100 |
1961年 | 100 |
カーボベルデにおけるトマト生産の推移を振り返ると、長期間にわたる一定の生産量から、1980年代以降の急激な増加、そして近年の減少という3つの主要なトレンドが見受けられます。この背景には、同国の地理的条件や政策の変化が大きく寄与していると考えられます。
1961年から1979年まで一定の生産量が続いた背景には、カーボベルデの乾燥した気候条件と伝統的な農業手法が影響していたと考えられます。この期間のトマト生産では、大規模な技術革新や外的支援はほとんど見受けられませんでした。その後、1980年に50トンまで生産量が大幅に減少した理由として、干ばつなどの自然災害の影響や地政学的な不安定性が考えられます。カーボベルデはアフリカ大陸西方沖の小国であり、その地理的条件から生活資源の確保に苦労する地域です。このような背景がトマト生産にも影を落としたと言えます。
1986年以降、生産量は飛躍的に増加しました。この急激な伸びは、おそらく農業技術の近代化や灌漑(かんがい)設備の導入、そして政策的な支援がもたらした成果と言えるでしょう。特に2000年代には1万トンを超える生産量に達し、経済的な自立や食糧安全保障が一定の進展を遂げたことが分かります。この成功は、農業支援プログラムや国際協力による資金・技術の導入が要因である可能性が高いです。一方で、ピーク時の2009年以降、特に2019年から2022年にかけての生産量の減少は、注視すべきポイントです。
近年の減少を考慮すると、カーボベルデにいくつかの課題が見えてきます。一つは、気候変動の影響です。気温の上昇や降雨パターンの変動によって、農業に好ましくない条件が生まれている可能性があります。また2020年以降の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによる物流の混乱や経済的な低迷も影響しているでしょう。同時に、農業を持続可能にするための水資源管理が不十分である点も見逃せません。カーボベルデは水資源が限られた国であり、農業の生産性を維持するためには高度な灌漑技術や効率的な水管理が必要です。
今後の課題と対策として、まず持続可能な農業技術の導入が求められます。具体的にはドリップ灌漑のような節水技術や、耐乾性のあるトマト品種の普及が挙げられます。また、地元農家への技術支援や災害対策への投資も重要です。これに加え、新型コロナウイルスによる影響が収束した現在では、国内市場の効率化やインフラ強化を進めることで、トマトの流通と収益性を高める取り組みが必要です。さらに地域協力や国際支援を活用し、資金的なサポートや先進国との技術交流も強化すべきです。
このような取り組みを進めることで、カーボベルデはトマト生産を再び増加させるとともに、地域住民の食糧安全を向上させると期待されます。また、持続可能な農業への転換は、同国の経済基盤を強化する鍵となるでしょう。そのためには国際機関や諸外国の協力も重要な役割を果たします。