Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)による最新データに基づき、カーボベルデの牛乳生産量の推移を分析しました。1961年から2022年にかけて、カーボベルデの牛乳生産量は長期的に増加傾向を示し、特に1980年代後半から1990年代初頭にかけて急速に増加しました。しかし、2009年以降は一部の年で減少が見られ、直近の2022年の生産量は9,972トンとなっています。全体的には成長を維持しているものの、一貫性のない生産動向が課題として浮き彫りになっています。
カーボベルデの牛乳生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 9,972 |
2021年 | 9,808 |
2020年 | 9,655 |
2019年 | 8,832 |
2018年 | 8,703 |
2017年 | 8,714 |
2016年 | 11,914 |
2015年 | 11,383 |
2014年 | 11,159 |
2013年 | 10,941 |
2012年 | 10,728 |
2011年 | 10,522 |
2010年 | 10,775 |
2009年 | 15,169 |
2008年 | 11,538 |
2007年 | 13,333 |
2006年 | 13,015 |
2005年 | 14,600 |
2004年 | 12,400 |
2003年 | 9,081 |
2002年 | 10,107 |
2001年 | 9,800 |
2000年 | 9,700 |
1999年 | 10,600 |
1998年 | 10,300 |
1997年 | 10,200 |
1996年 | 10,768 |
1995年 | 7,000 |
1994年 | 7,650 |
1993年 | 7,520 |
1992年 | 6,780 |
1991年 | 6,250 |
1990年 | 5,915 |
1989年 | 5,770 |
1988年 | 6,315 |
1987年 | 4,043 |
1986年 | 3,678 |
1985年 | 3,119 |
1984年 | 2,568 |
1983年 | 2,524 |
1982年 | 4,302 |
1981年 | 2,936 |
1980年 | 2,660 |
1979年 | 2,750 |
1978年 | 2,650 |
1977年 | 2,510 |
1976年 | 2,430 |
1975年 | 1,990 |
1974年 | 1,950 |
1973年 | 1,950 |
1972年 | 2,150 |
1971年 | 2,100 |
1970年 | 2,200 |
1969年 | 2,200 |
1968年 | 2,200 |
1967年 | 2,200 |
1966年 | 2,150 |
1965年 | 2,150 |
1964年 | 2,050 |
1963年 | 2,100 |
1962年 | 1,900 |
1961年 | 1,900 |
カーボベルデの牛乳生産量データを振り返ると、初期の1960年代ではおおむね1,900〜2,200トン規模の低水準で横ばいの傾向にありました。しかし、1970年代末以降には徐々に上昇し、1980年代には飛躍的な拡大が見られました。この時期、1988年には6,315トン、1993年には7,520トンを記録して成長を示しています。この急増の背景には、畜産業における技術向上や経済的な支援体制、また牛乳需要の増加が考えられます。
特筆すべき点として、1996年に10,768トンと初めて年産10,000トンを突破し、2000年代には14,600トン(2005年)に達するなど、ピークを迎えた時期がありました。しかし、2008年以降、生産量は不安定化し、顕著な波動が見られるようになります。2009年の15,169トンという高値とは対照的に、2017年には8,714トンまで低下しています。その後も増減を繰り返し、直近の2022年時点で9,972トンと、依然として以前のピークに至らない状況です。
この不安定性の原因として、地域の気象条件の変化や農業関連インフラの制約、世界的な市場の影響が挙げられます。また、カーボベルデは地政学的に島嶼国であるため、水資源や飼料確保の問題が深刻化しやすい状況にあります。特に、気候変動による干ばつや降水量の不安定さは、農産物生産全般に大きな打撃を与えていると考えられます。
他国と比較すると、主要牛乳生産国であるインドやアメリカは年間1億トン以上の生産量を誇ります。日本でも約700万トンと、カーボベルデの数十倍を生産しています。この差は、カーボベルデがいかに規模の小さい経済圏であるかを示していますが、逆に言えば、需要に応じた生産拡大のポテンシャルがあるとも捉えられます。
今後の課題として、安定した生産環境を構築することがあげられます。これは、降雨量に左右されない水資源の管理方法や、より効率的な畜産業の技術導入を通じて可能になるでしょう。また、地域協力を通じた知見の共有や、国際機関からの技術・資金のサポートを受けることも重要です。さらに、牛乳や加工乳製品の輸出産業としての育成を目指せば、経済基盤の多様化も期待できます。
過去のデータは、生産増減の波動が環境や政策要因に大きく依存していることを示しています。そのため、未来の安定を実現するには、持続可能な農業・畜産の推進や、市場動向を見越した政策策定が必要となるでしょう。また、気候変動への適応策として干ばつや水不足への備えを進めることで、今後の生産安定に寄与すると考えられます。