国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、カーボベルデのキュウリ類生産量は、1987年から2023年の間で大きな変動を見せました。1987年の200トンから2000年代には順調な成長を遂げ、一時は1,300トンを超える生産量を記録し、その後急激に増加、2009年には2,246トン、2010年にはピークとなる2,292トンに達しました。しかし、その後は減少傾向に転じ、2023年のデータでは756トンと、大幅に低下しました。この推移は、国内環境、気候変動、そして農業技術の発展や政策的な支援の変化が反映されていると考えられます。
カーボベルデのキュウリ類生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 756 |
-15.01% ↓
|
2022年 | 890 |
0.11% ↑
|
2021年 | 889 |
0.57% ↑
|
2020年 | 884 |
-37.35% ↓
|
2019年 | 1,411 |
24.32% ↑
|
2018年 | 1,135 |
-22.79% ↓
|
2017年 | 1,470 |
-21.1% ↓
|
2016年 | 1,863 |
-1.53% ↓
|
2015年 | 1,892 |
-10.2% ↓
|
2014年 | 2,107 |
-3.66% ↓
|
2013年 | 2,187 |
8.43% ↑
|
2012年 | 2,017 |
-4.36% ↓
|
2011年 | 2,109 |
-7.98% ↓
|
2010年 | 2,292 |
2.05% ↑
|
2009年 | 2,246 |
16.37% ↑
|
2008年 | 1,930 |
48.46% ↑
|
2007年 | 1,300 |
1.56% ↑
|
2006年 | 1,280 |
1.59% ↑
|
2005年 | 1,260 |
-0.79% ↓
|
2004年 | 1,270 |
-0.39% ↓
|
2003年 | 1,275 |
1.19% ↑
|
2002年 | 1,260 |
0.8% ↑
|
2001年 | 1,250 |
4.17% ↑
|
2000年 | 1,200 |
17.65% ↑
|
1999年 | 1,020 |
106.06% ↑
|
1998年 | 495 |
45.59% ↑
|
1997年 | 340 |
15.25% ↑
|
1996年 | 295 |
18% ↑
|
1995年 | 250 |
11.11% ↑
|
1994年 | 225 |
36.36% ↑
|
1993年 | 165 |
-31.25% ↓
|
1992年 | 240 |
128.57% ↑
|
1991年 | 105 |
-62.5% ↓
|
1990年 | 280 |
1.82% ↑
|
1989年 | 275 |
25% ↑
|
1988年 | 220 |
10% ↑
|
1987年 | 200 | - |
カーボベルデのキュウリ類生産量の推移を見てみると、1987年から1990年代初頭にかけては小規模ながら生産量が増加していました。しかし、1991年に急激な落ち込み(105トン)が見られ、その後もある程度の変動を繰り返しつつ、1999年頃から生産量は顕著に伸びを見せました。この時期、同国は農業技術の改善や設備投資を行った可能性が示唆され、2000年代には1,000トンを安定的に超えるようになっています。2008年から2010年にかけては、生産がさらに急増し、2,000トンを超えるというピークを迎えました。
しかしながら、2011年以降のデータでは徐々に減少が見られ、2020年代にはさらに顕著となり、2023年には756トンと、ピーク時の生産量から約67%もの減少に至っています。この減少の背景には、気候変動の影響が大きいと考えられます。カーボベルデはもともと降雨量が少ない乾燥地域であり、農業には灌漑技術が不可欠です。しかし、近年の全球的な気候変動により雨量不足や干ばつが深刻化し、安定的な農業生産が難しくなっています。また、カーボベルデにおける農業は家族経営が多く、資金力や技術力の不足により、これらの環境変動に柔軟に対応しきれていない状況も推測されます。
他国と比較すると、日本や韓国では高度な灌漑システムや温室栽培技術の導入により天候に左右されにくい生産体制を整えていますが、カーボベルデのような資源の限られた小国ではそのような技術導入が難しい場合があります。また、中国やインドのように人口が多く内需が強い国では、政府が積極的に農業を支援しているため、規模の経済を活かした生産効率の向上が実現されています。この点においても、カーボベルデの農業政策のさらなる支援強化が求められます。
この生産量減少は、カーボベルデの国内の食料供給や経済にも影響を与えるリスクがあります。この国では国内需要を賄うことが難しく、輸入に依存せざるを得ない状況が今後懸念されます。また、地域内の農耕地の減少や土壌の劣化が進むことで、農業の持続可能性が脅かされる恐れもあります。
この状況を改善するためには、いくつかの対策が挙げられます。まず第一に、灌漑施設や貯水システムの整備を進めることで、天候に左右されない安定的な農業基盤を確立することが急務です。次に、技術支援や教育プログラムの拡充により、農業従事者のスキルを向上させることが必要とされます。さらに、国際機関や他国の援助を活用し、先進的な農業技術や種子の導入を行うことで、生産効率を向上させられるでしょう。
また、地域的な協力の枠組みを構築することで、近隣諸国と協力して気候変動への対策や農業技術の共有を図ることも有効です。これらの取り組みは短期間で成果が出るものではありませんが、長期的な観点から見るとカーボベルデの農業全体を安定させる重要な施策といえます。
このように、カーボベルデのキュウリ類生産量の減少は、多くの課題を浮き彫りにしていますが、その一方で改善の余地があることも示しています。国際的な支援と国内政策の強化により、再び安定した生産量を取り戻し、農業を中心とした持続可能な経済を構築することがカーボベルデの未来にとって重要な要素となるでしょう。