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カーボベルデのキャベツ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の2024年最新データによると、カーボベルデにおけるキャベツ生産量は1987年から2022年までの35年間で、長期的に見ると概ね増加する傾向を示してきました。特に1999年から2007年にかけて急激な増加が見られる一方、2009年以降の生産量は大きな変動を繰り返しています。現在の生産量は4,298トン(2022年)で、近年は比較的安定しているものの、過去のピーク時(2000年代中期)の約半分の水準となっています。この背景には気候変動や水資源の制約、農業インフラの未整備などが影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 3,406
-20.76% ↓
2022年 4,298
11.06% ↑
2021年 3,870
2.69% ↑
2020年 3,769
3.48% ↑
2019年 3,642
-32.35% ↓
2018年 5,383
4.66% ↑
2017年 5,144
68.59% ↑
2016年 3,051
-0.94% ↓
2015年 3,080
-13.26% ↓
2014年 3,551
-68.63% ↓
2013年 11,321
5.03% ↑
2012年 10,779
19.61% ↑
2011年 9,012
12.61% ↑
2010年 8,003
164.56% ↑
2009年 3,025
-66.76% ↓
2008年 9,100
-0.55% ↓
2007年 9,150
1.67% ↑
2006年 9,000
2.86% ↑
2005年 8,750
2.94% ↑
2004年 8,500
0.29% ↑
2003年 8,475
-0.88% ↓
2002年 8,550
3.01% ↑
2001年 8,300
1.84% ↑
2000年 8,150
86.71% ↑
1999年 4,365
63.3% ↑
1998年 2,673
8.22% ↑
1997年 2,470
5.78% ↑
1996年 2,335
6.14% ↑
1995年 2,200 -
1994年 2,200
7.32% ↑
1993年 2,050
26.15% ↑
1992年 1,625
12.07% ↑
1991年 1,450
16.65% ↑
1990年 1,243
-57.14% ↓
1989年 2,900
11.54% ↑
1988年 2,600
13.04% ↑
1987年 2,300 -

カーボベルデのキャベツ生産量は、1987年の2,300トンから2022年の4,298トンまで増加しており、およそ35年間で生産量は約1.87倍となりました。その中でも1999年から2007年までの間に生産量が大きく伸び、特に2000年には8,150トン、2006年には9,000トンと最高水準を記録しました。この急激な増加は、政府の農業政策や国際機関からの技術支援の影響を受けた新しい灌漑技術の導入、さらに農地の拡大が寄与したと考えられます。しかし、その後の生産量は2009年に急落し、以降は増減を繰り返しており、近年では年間4,000トン前後で推移しています。

この生産量の変動にはさまざまな要因が挙げられます。まず、カーボベルデはサハラ砂漠の南縁に位置しており、降雨量が少なく、水資源が極めて限られた国の一つです。さらに近年の気候変動は干ばつの頻度を増加させ、農業生産に深刻な影響を与えているとされています。特に2009年と2014年に見られた急激な生産量の減少は、異常気象や灌漑インフラの不足が主な原因と考えられます。また、2020年以降の新型コロナウイルス感染症のパンデミックも、国際的な物流網の停滞や農業資材の供給不足という形で影響を与えた可能性が高いです。

地域全体でみると、近隣の西アフリカ諸国においても同様に降雨不足や土壌の劣化を理由に農業生産が課題となっています。しかし、カーボベルデはその島国という地理条件のため、水資源管理や農地の確保が他国と比べてさらに制限される中、持続可能な農業の実現が至上命題となっています。

目下の課題は、キャベツ生産量を安定した水準に保つと同時に、その増加を図ることです。そのためには、持続可能な灌漑技術の導入が不可欠です。特に雨水の収容システムや海水の淡水化施設の活用は、技術的なハードルがある一方で解決策となり得ます。また、農家への支援も重要です。例えば、種子の品質改良や、耐高温性・耐乾性のあるキャベツ品種の導入は、降雨が限られる環境での生産性を向上させる大きな可能性を秘めています。

さらに、国際機関との協力体制を強化し、技術支援やアフリカ内外のマーケットへのアクセスを広げることも、農業セクターを発展させる手段と考えられます。他国の事例としては、インドが乾燥地域で行っている精密農業や小規模農家を対象とした補助金制度は参考になるかもしれません。また、韓国や日本が推進している先進的な水管理技術は、カーボベルデにおいても応用可能な技術といえるでしょう。

最後に、今後の地政学的リスクがキャベツ生産に与える影響を見逃してはなりません。気候変動がもたらす干ばつだけでなく、地域衝突やグローバルな食料危機が発展途上国全般の農業基盤に与えるリスクも増大しています。このような状況を踏まえると、カーボベルデが率先して地域間協力の枠組みを構築し、農業セクターのリスク対応力を強化することが求められます。

結論として、カーボベルデのキャベツ生産は可能性を秘めた分野ですが、その実現には様々な課題の克服が必要です。持続可能なインフラ投資や農業政策の改善に向けた大胆な計画の実行が重要です。また、国際社会と連携し、高度な技術を活用した農業改革を進めることで、食料安全保障を向上させるだけでなく、国内の経済発展にもつながる可能性があります。