国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、カーボベルデの羊肉生産量は過去数十年にわたって増加傾向にあります。1961年の生産量はわずか6トンでしたが、その後徐々に増加し、特に2000年代以降は顕著な成長を見せ、2023年には88トンに到達しました。一時的な減少や停滞を見せた時期もありますが、ここ数年で最大値を記録しています。このデータはカーボベルデの農業政策や気候条件の変化を反映しており、持続可能な畜産の飛躍と課題を探るうえで重要な指標です。
カーボベルデの羊肉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 88 |
1.74% ↑
|
2022年 | 86 |
1.68% ↑
|
2021年 | 85 |
0.79% ↑
|
2020年 | 84 |
47.37% ↑
|
2019年 | 57 |
1.79% ↑
|
2018年 | 56 | - |
2017年 | 56 |
3.7% ↑
|
2016年 | 54 |
-0.77% ↓
|
2015年 | 54 |
2.66% ↑
|
2014年 | 53 |
1.94% ↑
|
2013年 | 52 | - |
2012年 | 52 |
1.96% ↑
|
2011年 | 51 |
-31.45% ↓
|
2010年 | 74 |
10.45% ↑
|
2009年 | 67 |
11.23% ↑
|
2008年 | 61 |
11.32% ↑
|
2007年 | 54 |
11.11% ↑
|
2006年 | 49 |
12.29% ↑
|
2005年 | 44 |
13.54% ↑
|
2004年 | 38 |
11.63% ↑
|
2003年 | 34 |
7.5% ↑
|
2002年 | 32 |
6.67% ↑
|
2001年 | 30 | - |
2000年 | 30 |
-21.05% ↓
|
1999年 | 38 |
-11.63% ↓
|
1998年 | 43 |
2.38% ↑
|
1997年 | 42 |
-10.64% ↓
|
1996年 | 47 |
6.82% ↑
|
1995年 | 44 |
10% ↑
|
1994年 | 40 |
14.29% ↑
|
1993年 | 35 |
40% ↑
|
1992年 | 25 | - |
1991年 | 25 | - |
1990年 | 25 |
31.58% ↑
|
1989年 | 19 |
18.75% ↑
|
1988年 | 16 |
6.67% ↑
|
1987年 | 15 |
87.5% ↑
|
1986年 | 8 |
60% ↑
|
1985年 | 5 |
66.67% ↑
|
1984年 | 3 | - |
1983年 | 3 | - |
1982年 | 3 |
-25% ↓
|
1981年 | 4 | - |
1980年 | 4 |
-33.33% ↓
|
1979年 | 6 | - |
1978年 | 6 | - |
1977年 | 6 | - |
1976年 | 6 | - |
1975年 | 6 | - |
1974年 | 6 | - |
1973年 | 6 | - |
1972年 | 6 |
-25% ↓
|
1971年 | 8 | - |
1970年 | 8 |
-33.33% ↓
|
1969年 | 12 | - |
1968年 | 12 |
20% ↑
|
1967年 | 10 |
-16.67% ↓
|
1966年 | 12 |
100% ↑
|
1965年 | 6 |
-25% ↓
|
1964年 | 8 | - |
1963年 | 8 |
33.33% ↑
|
1962年 | 6 | - |
1961年 | 6 | - |
カーボベルデの羊肉生産量推移を見てみると、初期の1960年代から比較的低い水準で推移していました。この時期の年間生産量は6トンから12トンの範囲で変動しており、大きな成長は見受けられませんでした。しかし、1980年代中盤から生産量が徐々に増加しはじめ、1990年代以降にはさらに顕著な成長を遂げました。1993年には35トン、1995年には44トンを記録し、それまでの停滞から脱却した形です。
注目すべきポイントは、2000年代以降の急激な伸びです。2005年には生産量が44トンとなり、その後2006年の49トン、2007年の54トンと年々増加を記録しました。この傾向は持続し、2010年には74トン、2023年には88トンと、羊肉生産の規模が大幅に拡大しています。この成長の要因は、カーボベルデが畜産業の育成を重視した政策をとり始めたこと、地域の食肉需要の増加、何よりも農業インフラの改善が挙げられます。一方で、その増加には降雨量の変動や過放牧、羊の健康管理における課題も関係しており、それが生産量の一時的な減少あるいは停滞を引き起こした可能性があります。
さらに2020年から2023年までの期間は、生産量が急激に増加しています。この間、2020年の84トンから2023年の88トンへと成長が続いています。この数年間、特に新型コロナウイルス感染症の影響が世界的に見られる中で、カーボベルデのような小規模島嶼国では畜産業の拠点化とローカル市場での自己給源体制(食料自給率の向上)が進みました。そのため、輸入に依存するリスクを下げるべく国内農業の生産性向上が強化され、国内羊肉市場の成長に寄与したと考えられます。
ただし、羊肉生産においては解決すべき懸案事項も残されています。カーボベルデは乾燥した気候の影響を受けやすく、適切な水資源管理や牧草地の維持が求められます。また、羊の飼育数を急激に増やしすぎると、過放牧や土壌の劣化を引き起こす可能性があります。そのため、持続可能な農業モデルの導入が重要です。地域行政としては、戦略的な水資源配分の計画や、家畜の健康管理を担う専門機関の設立が推奨されます。また、気候変動の影響によるリスクを軽減するため、国際的な援助や協力の枠組みも模索する必要があります。
さらに、近隣諸国や国際的な市場との交流を強化し、羊肉の輸出による収益源の多様化も考慮すべきです。例えば、アメリカやヨーロッパ諸国では品質の高い羊肉の需要が安定していることから、輸出市場をターゲットにすることで経済的なメリットが期待できます。同時に、輸出の推進は国内の生産技術向上にもつながり、長期的な産業基盤の強化となるでしょう。
結論として、データが示す持続的な成長は、カーボベルデ国内の農業発展の成果を物語っています。しかし、新たな課題に直面する中で、より包括的な政策や国際連携が必要とされています。地域の特性に対応した柔軟な計画を推進し、将来的な生産性向上と環境保護を両立させる取り組みが求められると言えるでしょう。