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カーボベルデのスイカ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関が発表したカーボベルデのスイカ生産量のデータによれば、1980年代から2023年にかけて生産量は大きな変動を繰り返しています。特に、2000年代初めには1,000トン以上の生産量を記録し始め、2007年に史上最多の2,521トンを達成しましたが、その後は全体的に減少傾向にあります。最新の2023年の生産量は890トンであり、過去数十年の中でも低い水準となっています。この推移には、気候変動や農業技術の進化、あるいは市場需要の変化が関与していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 890
-19.74% ↓
2022年 1,109
6.63% ↑
2021年 1,040
-17.23% ↓
2020年 1,256
26.28% ↑
2019年 995
7.27% ↑
2018年 928
-21.39% ↓
2017年 1,180
-24.21% ↓
2016年 1,557
0.45% ↑
2015年 1,550
0.85% ↑
2014年 1,537
20.27% ↑
2013年 1,278
2.08% ↑
2012年 1,252
-42.7% ↓
2011年 2,185
-7.49% ↓
2010年 2,362
11.05% ↑
2009年 2,127
20.78% ↑
2008年 1,761
-30.15% ↓
2007年 2,521
80.07% ↑
2006年 1,400
-2.1% ↓
2005年 1,430
5.93% ↑
2004年 1,350 -
2003年 1,350
5.88% ↑
2002年 1,275
0.39% ↑
2001年 1,270
4.1% ↑
2000年 1,220
1425.38% ↑
1999年 80
1.43% ↑
1998年 79
-43.67% ↓
1997年 140
86.65% ↑
1996年 75
-37.5% ↓
1995年 120
-20% ↓
1994年 150
-9.09% ↓
1993年 165
-34% ↓
1992年 250
138.1% ↑
1991年 105
-33.54% ↓
1990年 158
-28.18% ↓
1989年 220
10% ↑
1988年 200
33.33% ↑
1987年 150 -

カーボベルデは西アフリカの大西洋沿岸に位置する島国で、気候や地理的条件の制約の中で農業を発展させてきました。スイカはその中でも重要な果実の一つであり、土壌と水資源の管理が生産量に大きく影響を与えます。1987年からのデータを見ると、生産量は1980年代後半から1990年代にかけて100~250トン台を推移しており、安定性を欠いていました。この背景には、スイカの栽培に必要な灌漑施設が整備されていなかった点や自然災害による影響があると推察されます。

2000年以降には農業インフラの改善が行われたと考えられ、1,000トンを超える大幅な増加が見られます。特に2007年に2,521トンの最高生産量を記録したのは、特定の年に好ましい気候条件が整ったことや、技術的な革新が寄与したと推測されます。しかし、その後は再び減少傾向が顕著となりました。2023年の生産量は890トンまで落ち込み、これは10年前の2013年(1,278トン)と比べても減少が明らかです。この背景には降雨量の減少や気温上昇など気候変動による影響が大きいと考えられます。さらに、他の作物への切り替えや、地域における経済的な優先順位の変化も一因の可能性があります。

それに加えて、新型コロナウイルス感染症の影響が2020年以降の農業全般に暗い影を落とし、農業従事者の減少や物流の停滞がスイカ生産にも影響を与えた可能性があります。その証拠として、2020年にいったん好調な1,256トンを記録したものの、回復が持続せず2023年には再び減少しています。これらの要因を活動的に分析する必要があるでしょう。

カーボベルデが直面している課題の一つとして、農業における気候変動への適応力の欠如があります。スイカのような水を多く必要とする作物を生産するには、十分な灌漑技術と水資源確保が必須です。しかし、水不足が慢性的に起きやすい地域では、持続可能な農業の構築が難しくなる可能性があります。さらに、国内需要や国際市場に向けた輸出戦略をいかに強化するかも課題と言えるでしょう。

今後の対策として、以下のような具体的な提言が挙げられます。まず、地域単位での灌漑インフラを強化し、効率的な水の使用を促進することが重要です。また、気候変動の影響を最小限に抑えるには、耐旱性(乾燥に強い特性)を持つ品種の研究と普及が必要です。同時に、地域農業協同組合を軸にした生産者の技術支援と資金援助を拡大することで、農家の生産意欲を高めることが考えられます。さらに、カーボベルデは海運が盛んな地域に位置しているため、スイカの冷蔵輸送技術を活用して海外市場を開拓する方針も効果的でしょう。

結論として、スイカの生産量推移はカーボベルデの農業が抱える構造的課題を反映しています。将来の生産量回復と安定化には、国家レベルでの包括的な政策と国際社会からの技術的・財政的支援が求められます。また、地域協力枠組みの構築も継続的な対策として重要な役割を果たすでしょう。このように、持続的な発展を目指した対策を進めることで、カーボベルデのスイカ産業は再び活気を取り戻す可能性があります。