Food and Agriculture Organization(FAO)が発表したデータによると、カーボベルデの牛乳生産量は、1961年の600トンから始まり、2023年の4,602トンまで増加しています。この間、特に1996年以降急激な増減を見せていますが、ここ数十年は比較的安定した推移を示しています。長期的には増加傾向が見られるものの、一部の時期には顕著な減少が確認されており、それらの背景や影響について分析が必要です。
カーボベルデの牛乳生産量推移(1961年~2023年)
| 年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
|---|---|---|
| 2023年 | 4,602 |
3.21% ↑
|
| 2022年 | 4,459 |
0.43% ↑
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| 2021年 | 4,440 |
0.02% ↑
|
| 2020年 | 4,439 |
-0.36% ↓
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| 2019年 | 4,455 |
0.22% ↑
|
| 2018年 | 4,445 |
-0.16% ↓
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| 2017年 | 4,452 |
16.29% ↑
|
| 2016年 | 3,828 |
-1.28% ↓
|
| 2015年 | 3,878 |
2% ↑
|
| 2014年 | 3,802 |
11.1% ↑
|
| 2013年 | 3,422 |
0.23% ↑
|
| 2012年 | 3,414 |
0.21% ↑
|
| 2011年 | 3,407 |
-13.59% ↓
|
| 2010年 | 3,943 |
-5.42% ↓
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| 2009年 | 4,169 |
0.25% ↑
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| 2008年 | 4,158 |
5.72% ↑
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| 2007年 | 3,933 |
-8.84% ↓
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| 2006年 | 4,315 |
-34.63% ↓
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| 2005年 | 6,600 |
22.22% ↑
|
| 2004年 | 5,400 |
47.05% ↑
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| 2003年 | 3,672 |
-20.29% ↓
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| 2002年 | 4,607 |
-4.03% ↓
|
| 2001年 | 4,800 |
-5.88% ↓
|
| 2000年 | 5,100 |
-12.07% ↓
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| 1999年 | 5,800 | - |
| 1998年 | 5,800 |
5.45% ↑
|
| 1997年 | 5,500 |
-3.15% ↓
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| 1996年 | 5,679 |
198.89% ↑
|
| 1995年 | 1,900 |
2.7% ↑
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| 1994年 | 1,850 |
1.65% ↑
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| 1993年 | 1,820 |
2.25% ↑
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| 1992年 | 1,780 |
7.88% ↑
|
| 1991年 | 1,650 |
-15.38% ↓
|
| 1990年 | 1,950 |
2.63% ↑
|
| 1989年 | 1,900 |
5.56% ↑
|
| 1988年 | 1,800 |
44% ↑
|
| 1987年 | 1,250 |
8.7% ↑
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| 1986年 | 1,150 |
21.05% ↑
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| 1985年 | 950 |
46.15% ↑
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| 1984年 | 650 |
53.3% ↑
|
| 1983年 | 424 |
-20% ↓
|
| 1982年 | 530 |
-16.67% ↓
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| 1981年 | 636 |
13.57% ↑
|
| 1980年 | 560 |
1.82% ↑
|
| 1979年 | 550 | - |
| 1978年 | 550 |
7.84% ↑
|
| 1977年 | 510 |
6.25% ↑
|
| 1976年 | 480 |
-2.04% ↓
|
| 1975年 | 490 |
-10.91% ↓
|
| 1974年 | 550 |
-15.38% ↓
|
| 1973年 | 650 |
-13.33% ↓
|
| 1972年 | 750 |
25% ↑
|
| 1971年 | 600 |
-14.29% ↓
|
| 1970年 | 700 | - |
| 1969年 | 700 | - |
| 1968年 | 700 | - |
| 1967年 | 700 |
7.69% ↑
|
| 1966年 | 650 | - |
| 1965年 | 650 | - |
| 1964年 | 650 |
-7.14% ↓
|
| 1963年 | 700 |
16.67% ↑
|
| 1962年 | 600 | - |
| 1961年 | 600 | - |
カーボベルデの牛乳生産量の推移を見ると、いくつかの重要な特徴が浮き彫りになります。1961年から1980年代初頭までは、生産量が600~700トン付近で推移しましたが、1985年以降には急激な増加が見られ、1990年代には2,000トン近くまで到達しました。この成長期は、農業技術の向上や政府の畜産振興政策が影響していると考えられます。
注目すべきは、1996年に5,679トンと急激な増加を示した点です。この年の急増には、気候条件の改善や農業におけるインフラ整備による生産効率の向上などが寄与した可能性があります。同時に、この時期の国際的な農業支援プログラムの影響も排除できません。しかし、その後、2000年代初頭から中盤にかけて生産量が一時的に減少しました。また、2006年に大幅に落ち込んだ4,315トンから2011年の3,407トンに至るまでには、さらに減少が続きました。
この減少トレンドには、地政学的な背景や環境問題、例えば干ばつや農地の過剰な利用による土地劣化などが影響している可能性があります。また、カーボベルデが直面する災害リスクや農業インフラの老朽化、持続的な技術開発への投資不足も挙げられます。特に小規模農家における生産コストの上昇が、牛乳生産量に負の影響を与えていると見られます。
一方で、2023年までの最新データを見る限りでは、4,000トン台後半を維持しており、徐々に安定した回復の兆しが見られます。この背景には、持続的な農業支援政策や、地域ごとの協力体制の強化が貢献していると考えられます。しかし依然として、牛乳生産における脆弱性は完全には解消されていません。
将来を考えた場合、カーボベルデが牛乳生産を安定的に増加させるためには、複数の課題に取り組む必要があります。例えば、環境負荷を軽減するための持続可能な農業手法の導入が重要です。また、干ばつや異常気象に対する予測システムの強化や、政府と国際機関の協力による災害支援ネットワークの構築も欠かせません。さらに、技術移転の促進や、冷蔵保管施設の整備によるロス削減も効果的な手段と言えます。
国際的な視点から見ると、カーボベルデの牛乳生産量は依然として小規模で、例えばアメリカやインドなどの主要牛乳生産国とは大きな差があります。ただし、カーボベルデのような発展途上国での農業生産の向上は、地域の食料供給安定と経済的自立に貢献する重要な要素となります。具体的には、地域市場での販売促進や観光産業との連携といった、地元経済と結びついた形での活用が考えられます。
結論として、カーボベルデの牛乳生産量は長期的には増加傾向にあり、現在は安定した水準を維持しています。しかし、政策的な支援と環境的な対策がなければ、一時的な外部要因により大きな影響を受ける可能性があります。これを防ぐためには、政府主導の取り組みと、国際社会との協調が不可欠です。将来的には、持続可能な発展と地域の安定的な成長を目指し、効果的な資源利用と技術投資が進むことが期待されます。