国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、カーボベルデのニンジンおよびカブ類の生産量は、過去数十年間で大きな変動を見せています。特に1987年の200トンから、2007年のピークである7,851トンにかけて急激に増加しましたが、その後減少傾向に転じています。2023年時点では1,252トンと、過去40年の中で著しく低い水準にあります。このデータは持続可能な農業生産の鍵となる気候条件、政策方針、技術的支援の必要性など、カーボベルデの現状や課題を示しています。
カーボベルデのニンジン・カブ類生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 1,252 |
-17.37% ↓
|
2022年 | 1,515 |
-59.6% ↓
|
2021年 | 3,750 |
13.74% ↑
|
2020年 | 3,297 |
44.66% ↑
|
2019年 | 2,279 |
35.17% ↑
|
2018年 | 1,686 |
-42.26% ↓
|
2017年 | 2,920 |
-26.13% ↓
|
2016年 | 3,953 |
-13.99% ↓
|
2015年 | 4,596 |
-24.38% ↓
|
2014年 | 6,078 |
15.42% ↑
|
2013年 | 5,266 |
-5.51% ↓
|
2012年 | 5,573 |
-0.34% ↓
|
2011年 | 5,592 |
32.89% ↑
|
2010年 | 4,208 |
-18.05% ↓
|
2009年 | 5,135 |
-6.38% ↓
|
2008年 | 5,485 |
-30.14% ↓
|
2007年 | 7,851 |
29.13% ↑
|
2006年 | 6,080 |
-0.33% ↓
|
2005年 | 6,100 |
0.83% ↑
|
2004年 | 6,050 |
0.83% ↑
|
2003年 | 6,000 |
-0.33% ↓
|
2002年 | 6,020 |
0.33% ↑
|
2001年 | 6,000 |
0.42% ↑
|
2000年 | 5,975 |
55.83% ↑
|
1999年 | 3,834 |
72.73% ↑
|
1998年 | 2,220 |
362.49% ↑
|
1997年 | 480 |
-9.09% ↓
|
1996年 | 528 |
-20% ↓
|
1995年 | 660 |
50% ↑
|
1994年 | 440 |
11.11% ↑
|
1993年 | 396 |
-5.26% ↓
|
1992年 | 418 |
35.71% ↑
|
1991年 | 308 |
105.33% ↑
|
1990年 | 150 |
-28.57% ↓
|
1989年 | 210 |
5% ↑
|
1988年 | 200 | - |
1987年 | 200 | - |
カーボベルデは、その地理的特性上、小規模農業が主流の国です。乾燥気候で知られるこの国では、農業生産は気候変動や水資源の利用状況に大きく左右されます。ニンジンやカブ類の生産量推移を見ると、1987年から1995年にかけてはゆるやかな増加を示しましたが、1998年以降は急激な増加に転じ、特に2000年代前半に過去最高水準となりました。この期間の増加は、新技術の導入や灌漑設備の整備、外部からの技術支援によるものであった可能性があります。
しかし、2007年をピークに生産量は減少し、特に2018年以降の落ち込みが顕著です。この減少の要因として、気候変動による干ばつの頻発、土壌の劣化、持続不可能な農業方法、さらには経済や政策的な理由が挙げられます。また、2020年以降の新型コロナウイルスのパンデミックも物流や人材供給に悪影響を及ぼし、生産量のさらなる減少をもたらした可能性があります。
地域課題としては、灌漑設備の維持管理や、水資源の持続可能な利用、さらに天候変動への脆弱性が挙げられます。これらにより、農業従事者は安定した生産を行うことが困難な状況にあると言えます。加えて、カーボベルデの限られた土地資源と輸入依存型の経済が、国内農業の安定性をさらに脅かしています。
一方で、他国の状況に目を向けると、中国やインドなどの新興国は技術革新による農業生産の改善を図り、気候変動にも対応した持続可能な農法を追求しています。その結果、乾燥地帯でも一定の生産量を確保する工夫を行っています。カーボベルデもこれらの例から学び、国際連携や技術交流を進めるべきでしょう。
今後の具体的な対策として、新しい灌漑技術の導入や耐乾燥性作物の栽培推進が挙げられます。また、農業従事者への教育プログラムの強化や、気候変動に対する予測モデルの活用も重要です。国内資源を活用しつつ、十分な外部支援を受けるための国際連携の枠組み作りが鍵となるでしょう。さらに、地域ごとの農業計画を統合し、地元の小規模農家がより競争力のある生産地になるよう支援することが求められます。
結論として、カーボベルデのニンジンおよびカブ類の生産は、同国の持続可能な農業の挑戦を象徴していると言えるでしょう。これを改善するには気候変動への適応能力を強化し、インフラへの投資を拡大することが欠かせません。同時に、政策決定者や国際機関は、従来の低効率な方法に代わる新たな手段を提案し支援することで、カーボベルデが経済的自立を達成する一助となるべきです。