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カーボベルデのジャガイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新したデータによると、カーボベルデのジャガイモの生産量は、1961年から2022年にかけて大きな変動を見せています。1961年の3,000トンから、1983年には800トンという最低値を記録しましたが、その後緩やかに回復し、近年では2,000~5,000トンの範囲で推移しています。特に2013年には8,324トンという歴史的な最高値を記録した一方、2016年や2018年などには再び低下するなど、不安定な傾向が見られます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,534
-37.14% ↓
2022年 4,031
67.96% ↑
2021年 2,400
-5.88% ↓
2020年 2,550
-4.35% ↓
2019年 2,666
21.18% ↑
2018年 2,200
-45.56% ↓
2017年 4,041
102.05% ↑
2016年 2,000
-30.67% ↓
2015年 2,885
7.63% ↑
2014年 2,680
-67.8% ↓
2013年 8,324
40.18% ↑
2012年 5,938
11.95% ↑
2011年 5,304
25.77% ↑
2010年 4,217
12.16% ↑
2009年 3,760
0.27% ↑
2008年 3,750
-1.32% ↓
2007年 3,800
5.56% ↑
2006年 3,600
2.37% ↑
2005年 3,517
1.57% ↑
2004年 3,462
-1.07% ↓
2003年 3,500
5.26% ↑
2002年 3,325
-2.21% ↓
2001年 3,400
4.62% ↑
2000年 3,250
30% ↑
1999年 2,500
-3.85% ↓
1998年 2,600
6.12% ↑
1997年 2,450
6.29% ↑
1996年 2,305
6.71% ↑
1995年 2,160
55.84% ↑
1994年 1,386
-41.52% ↓
1993年 2,370
32.77% ↑
1992年 1,785
-33.15% ↓
1991年 2,670
6.8% ↑
1990年 2,500
28.21% ↑
1989年 1,950
-42.65% ↓
1988年 3,400
13.33% ↑
1987年 3,000
20% ↑
1986年 2,500
13.64% ↑
1985年 2,200
-12% ↓
1984年 2,500
212.5% ↑
1983年 800
-38.46% ↓
1982年 1,300
-48% ↓
1981年 2,500 -
1980年 2,500
-7.41% ↓
1979年 2,700
35% ↑
1978年 2,000
17.65% ↑
1977年 1,700
13.33% ↑
1976年 1,500
25% ↑
1975年 1,200
20% ↑
1974年 1,000 -
1973年 1,000 -
1972年 1,000 -
1971年 1,000
-50% ↓
1970年 2,000 -
1969年 2,000
-33.33% ↓
1968年 3,000 -
1967年 3,000 -
1966年 3,000 -
1965年 3,000 -
1964年 3,000 -
1963年 3,000 -
1962年 3,000 -
1961年 3,000 -

カーボベルデは、西アフリカの大西洋上の島国で、降雨量が非常に限られているため農業生産に厳しい条件が課されています。FAOのデータをもとにジャガイモ生産の推移を年代別に見ると、長期的には大きな波が伴う不安定な変化が確認されます。この不安定さの背景には、地理的条件や気候の変動、経済的な資源不足の影響が挙げられます。

特に、1983年に記録した800トンという最低値は、西アフリカを襲った深刻な干ばつとその影響による農作物の減少と関連しています。一方で、2013年の8,324トンという最大規模を記録した年は、比較的気候条件が安定し、政府による農業支援や国際援助、灌漑技術の一時的な向上が寄与した可能性があります。しかし、それ以降は安定した高生産量を維持できず、2,000~5,000トンの範囲で推移しています。これは降雨量の変動や技術支援の一時的な欠如、またカーボベルデの小規模農家の生産力の限界といった複合要因が影響していると考えられます。

カーボベルデのジャガイモは主に国内消費向けに生産されています。しかし、輸出可能な余剰が生まれることは少なく、これは国内の食糧安全保障の観点から重要な問題を示しています。先進国である日本やアメリカなどでは、ジャガイモ生産において安定した灌漑施設と気候に依存しない先進技術を取り入れているため、生産量が安定しているのが特徴です。一方、カーボベルデのような発展途上国では、自然の影響を受けやすい露地栽培が一般的である点が大きな違いといえます。

この不安定性を打開するためには、いくつかの課題と対策があります。まず第一に、近年顕著な気候変動への対策が必要です。持続可能な農業技術として、乾燥地用の灌漑システムや耐乾性の高いジャガイモ品種の導入が有効です。特に、灌漑や水資源管理の改善は生産の安定につながる可能性が高いと考えられます。また、持続可能な農業を展開するために、国際的な援助機関との協力や地域の農業技術研修の拡充も重要です。たとえば、UNDP(国連開発計画)やFAOが提供する技術サポートを活用することで、技術的なキャパシティの向上が期待できます。

さらに、地域間協力の強化も鍵となります。カーボベルデに近い西アフリカ諸国と農業関連の政策を共有し、広域的に天候予測や水資源分配を管理する枠組みを構築することが有効です。また、ジャガイモの安定的な市場の確保も生産者のインセンティブ向上につながるため、輸出用インフラの整備や市場開拓を行うことも重要です。同様に、地域での食糧価格の安定化支援も崩壊しかけた農業経済を立て直す上で必要となるでしょう。

新型コロナウイルスの影響で世界中でサプライチェーンが停止した時期、カーボベルデのジャガイモ生産は特に大きな悪影響は受けていないように見えますが、他の農産物分野では輸送に大きな課題が発生しました。これらの経験を教訓に、危機モデルを構築して将来的なパンデミックや災害に備えることが重要です。

結論として、カーボベルデのジャガイモ生産は、過去数十年で大きな波を見せながら推移してきました。不安定な生産傾向を緩和するためには、農業技術の向上、気候変動への適応、国際協力の促進といった包括的なアプローチが必要です。この取り組みを加速させることで、カーボベルデは食糧安全保障を改善し、地域経済の持続可能な発展を図ることが期待されます。