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HDI(人間開発指数)ランキング

2023/2024年版のHDIランキングでは、スイスがスコア0.967で1位、ノルウェーが0.966で2位、アイスランドが0.959で3位となっています。一方で、日本はスコア0.920で24位にランクインしました。この順位は2021年の19位からの下落を意味しており、スコア自体もやや低下しています。日本のHDIスコアの減少は、教育水準や経済指標(GNI)の伸び悩みが要因と考えられます。

日本のHDIスコアは過去30年間で一貫して上昇してきました。1990年には0.845だったスコアが2021年には0.925に達しています。しかし、2023年のスコア低下は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による社会的・経済的変動の影響を反映していると考えられます。特に、経済成長率の停滞や教育環境の悪化がスコアに影響を及ぼしている可能性があります。

HDI(人間開発指数)とは何か?

HDI(Human Development Index:人間開発指数)は、国連開発計画(UNDP)が提唱する指標で、国の人間開発の進展を測るために使用されます。HDIは、健康(平均寿命)、教育(平均就学年数と期待就学年数)、生活水準(1人当たり国民総所得:GNI)の3つの要素を組み合わせて算出されます。スコアは0から1の範囲で表され、1に近いほど人間開発が進んでいると評価されます。この指標は、経済的豊かさだけでなく、国民の生活の質や福祉を総合的に評価する重要な基準となっています。

2022年の人間開発指数ランキング

順位 国名 HDI
1 スイス 0.967
2 ノルウェー 0.966
3 アイスランド 0.959
4 中国、香港特別行政区 0.956
5 デンマーク 0.952
6 スウェーデン 0.952
7 ドイツ 0.95
8 アイルランド 0.95
9 シンガポール 0.949
10 オーストラリア 0.946
11 オランダ 0.946
12 ベルギー 0.942
13 フィンランド 0.942
14 リヒテンシュタイン 0.942
15 イギリス 0.94
16 ニュージーランド 0.939
17 アラブ首長国連邦 0.937
18 カナダ 0.935
19 大韓民国 0.929
20 ルクセンブルク 0.927
21 アメリカ合衆国 0.927
22 オーストリア 0.926
23 スロベニア 0.926
24 日本 0.92
25 イスラエル 0.915
26 マルタ 0.915
27 スペイン 0.911
28 フランス 0.91
29 キプロス 0.907
30 イタリア 0.906
31 エストニア 0.899
32 チェコ 0.895
33 ギリシャ 0.893
34 バーレーン 0.888
35 アンドラ 0.884
36 ポーランド 0.881
37 ラトビア 0.879
38 リトアニア 0.879
39 クロアチア 0.878
40 カタール 0.875
41 サウジアラビア 0.875
42 ポルトガル 0.874
43 サンマリノ 0.867
44 チリ 0.86
45 スロバキア 0.855
46 トルコ 0.855
47 ハンガリー 0.851
48 アルゼンチン 0.849
49 クウェート 0.847
50 モンテネグロ 0.844
51 セントクリストファー・ネイビス 0.838
52 ウルグアイ 0.83
53 ルーマニア 0.827
54 アンティグア・バーブーダ 0.826
55 ブルネイ ダルサラーム 0.823
56 ロシア連邦 0.821
57 バハマ 0.82
58 パナマ 0.82
59 オマーン 0.819
60 グルジア 0.814
61 トリニダード・トバゴ 0.814
62 バルバドス 0.809
63 マレーシア 0.807
64 コスタリカ 0.806
65 セルビア 0.805
66 タイ 0.803
67 カザフスタン 0.802
68 セーシェル 0.802
69 ベラルーシ 0.801
70 ブルガリア 0.799
71 パラオ 0.797
72 モーリシャス 0.796
73 グレナダ 0.793
74 アルバニア 0.789
75 中国 0.788
76 アルメニア 0.786
77 メキシコ 0.781
78 イラン(イスラム共和国) 0.78
79 スリランカ 0.78
80 ボスニア・ヘルツェゴビナ 0.779
81 セントビンセントおよびグレナディーン諸島 0.772
82 ドミニカ共和国 0.766
83 エクアドル 0.765
84 北マケドニア 0.765
85 キューバ 0.764
86 モルドバ共和国 0.763
87 モルディブ 0.762
88 ペルー 0.762
89 アゼルバイジャン 0.76
90 ブラジル 0.76
91 コロンビア 0.758
92 リビア 0.746
93 アルジェリア 0.745
94 トルクメニスタン 0.744
95 ガイアナ 0.742
96 モンゴル 0.741
97 ドミニカ 0.74
98 トンガ 0.739
99 ヨルダン 0.736
100 ウクライナ 0.734
101 チュニジア 0.732
102 マーシャル諸島 0.731
103 パラグアイ 0.731
104 フィジー 0.729
105 エジプト 0.728
106 ウズベキスタン 0.727
107 ベトナム 0.726
108 セントルシア 0.725
109 レバノン 0.723
110 南アフリカ 0.717
111 パレスチナ国 0.716
112 インドネシア 0.713
113 フィリピン 0.71
114 ボツワナ 0.708
115 ジャマイカ 0.706
116 サモア 0.702
117 キルギスタン 0.701
118 ベリーズ 0.7
119 ベネズエラ (ボリバル共和国) 0.699
120 ボリビア (多民族国家) 0.698
121 モロッコ 0.698
122 ナウル 0.696
123 ガボン 0.693
124 スリナム 0.69
125 ブータン 0.681
126 タジキスタン 0.679
127 エルサルバドル 0.674
128 イラク 0.673
129 バングラデシュ 0.67
130 ニカラグア 0.669
131 カーボベルデ 0.661
132 ツバル 0.653
133 赤道ギニア 0.65
134 インド 0.644
135 ミクロネシア連邦 0.634
136 グアテマラ 0.629
137 キリバス 0.628
138 ホンジュラス 0.624
139 ラオス人民民主共和国 0.62
140 バヌアツ 0.614
141 サントメ・プリンシペ 0.613
142 エスワティニ 0.61
143 ナミビア 0.61
144 ミャンマー 0.608
145 ガーナ 0.602
146 ケニア 0.601
147 ネパール 0.601
148 カンボジア 0.6
149 コンゴ 0.593
150 アンゴラ 0.591
151 カメルーン 0.587
152 コモロ 0.586
153 ザンビア 0.569
154 パプアニューギニア 0.568
155 東ティモール 0.566
156 ソロモン諸島 0.562
157 シリア・アラブ共和国 0.557
158 ハイチ 0.552
159 ウガンダ 0.55
160 ジンバブエ 0.55
161 ナイジェリア 0.548
162 ルワンダ 0.548
163 トーゴ 0.547
164 モーリタニア 0.54
165 パキスタン 0.54
166 コートジボワール 0.534
167 タンザニア連合共和国 0.532
168 レソト 0.521
169 セネガル 0.517
170 スーダン 0.516
171 ジブチ 0.515
172 マラウイ 0.508
173 ベナン 0.504
174 ガンビア 0.495
175 エリトリア 0.493
176 エチオピア 0.492
177 リベリア 0.487
178 マダガスカル 0.487
179 ギニアビサウ 0.483
180 コンゴ民主共和国 0.481
181 ギニア 0.471
182 アフガニスタン 0.462
183 モザンビーク 0.461
184 シエラレオネ 0.458
185 ブルキナファソ 0.438
186 イエメン 0.424
187 ブルンジ 0.42
188 マリ 0.41
189 チャド 0.394
190 ニジェール 0.394
191 中央アフリカ共和国 0.387
192 南スーダン 0.381
193 ソマリア 0.38

パンデミックがHDIに与えた影響

2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症は、HDIに大きな衝撃を与えました。国連開発計画(UNDP)によると、HDIの全体的な進展が2020年に減速し、多くの国でHDIスコアが後退しました。低所得国や紛争地域、医療インフラが脆弱な国々では特に深刻な影響が報告されています。

健康面では、感染症の拡大により平均寿命が短縮され、医療資源が不足している国では通常の医療サービスが停止しました。これにより、健康状態が悪化しました。教育面では、多くの国で学校閉鎖が長期化し、児童・生徒の教育機会が大幅に制限されました。特にデジタルインフラが整備されていない地域では、遠隔教育が普及せず、教育格差が拡大しました。生活水準では、世界的な経済活動の停滞により観光業や輸出産業に依存する国々で経済が収縮し、1人当たりGNIが大幅に減少しました。

パンデミックの影響が深刻だった国々とその課題

パンデミックの影響が最も深刻だったのは、南アジアやサハラ以南のアフリカ諸国です。これらの地域では、医療体制が崩壊し、他の疾病への対応も不十分になりました。また、学校閉鎖が長期間続いたため、児童労働や早婚が増加し、社会的問題が深刻化しています。経済基盤が脆弱な国々では失業率が急上昇し、貧困や飢餓が拡大しました。このような国々では、HDIがパンデミック以前の水準に回復するまでに数年を要する可能性があります。

回復への見込みと課題

HDIを回復させるには、包括的で長期的な政策が必要です。健康面では、ワクチン接種の普及と感染症対策の強化が重要です。教育では、遠隔教育の普及、デジタルインフラの整備、教員育成を通じた教育格差の解消が求められます。また、学校に戻れない子どもたちへの支援も不可欠です。経済面では、労働市場の再建、貧困対策、主要産業の復興に向けた投資が求められています。

日本の役割と国際的な協力

日本を含む先進国は、低所得国への支援を通じて国際的なHDI回復を支える役割を担っています。日本政府は、ワクチン供与、医療機器の提供、教育プログラムの支援などを行い、発展途上国の医療や教育の改善に貢献しています。また、国際社会全体として持続可能な開発目標(SDGs)の達成を再確認し、パンデミックで後退した目標を取り戻すための取り組みを強化する必要があります。

まとめ

パンデミックはHDIに大きな後退をもたらしましたが、これを教訓として、より持続可能で強靭な社会を構築するための転換点ともなり得ます。各国が健康、教育、経済の分野で再建を進め、国際的な連携を強化することで、HDIの回復と向上が期待されます。HDIは単なる指標にとどまらず、人々の生活の質や幸福度を測る重要な基準であり、今後も政策形成において重要な役割を果たしていくでしょう。