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リビアの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、リビアの牛乳生産量は2023年で142,529トンとなっています。このデータは1961年から継続して記録されており、生産量は初期の10,396トンからおおむね増加傾向にあります。しかし、近年は地域紛争や経済情勢の悪化を背景に一定の変動が見られ、特に2020年以降減少傾向が確認されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 142,529
-4.92% ↓
2022年 149,906
-0.02% ↓
2021年 149,930
2.46% ↑
2020年 146,323
-4.23% ↓
2019年 152,791
1.86% ↑
2018年 150,002
8.67% ↑
2017年 138,036
0.5% ↑
2016年 137,345
0.7% ↑
2015年 136,396
0.29% ↑
2014年 136,000
-2.86% ↓
2013年 140,000
-3.45% ↓
2012年 145,000
1.4% ↑
2011年 143,000
1.42% ↑
2010年 141,000
-7.05% ↓
2009年 151,702
20.21% ↑
2008年 126,197
0.06% ↑
2007年 126,118
0.06% ↑
2006年 126,039
19.95% ↑
2005年 105,075
3.04% ↑
2004年 101,976
5.09% ↑
2003年 97,033
-25.36% ↓
2002年 130,000
40.17% ↑
2001年 92,745
0.06% ↑
2000年 92,686
-25.85% ↓
1999年 125,000
-2.34% ↓
1998年 128,000
8.47% ↑
1997年 118,000
12.38% ↑
1996年 105,000
7.14% ↑
1995年 98,000
3.16% ↑
1994年 95,000
5.56% ↑
1993年 90,000
-5.26% ↓
1992年 95,000
-5% ↓
1991年 100,000
-1.96% ↓
1990年 102,000
6.25% ↑
1989年 96,000
17.07% ↑
1988年 82,000
7.19% ↑
1987年 76,500
0.66% ↑
1986年 76,000
1.33% ↑
1985年 75,000
0.54% ↑
1984年 74,600
0.13% ↑
1983年 74,500
20.91% ↑
1982年 61,615
-6.93% ↓
1981年 66,204
6.1% ↑
1980年 62,400
4% ↑
1979年 60,000
10.11% ↑
1978年 54,490
5.64% ↑
1977年 51,580
-12.13% ↓
1976年 58,700
3.16% ↑
1975年 56,900
30.55% ↑
1974年 43,584
24.47% ↑
1973年 35,017
14.23% ↑
1972年 30,654
66.53% ↑
1971年 18,408
36.52% ↑
1970年 13,484
14.51% ↑
1969年 11,775
-6.52% ↓
1968年 12,596
8.38% ↑
1967年 11,622
5.69% ↑
1966年 10,996
1.22% ↑
1965年 10,863
0.99% ↑
1964年 10,756
1.19% ↑
1963年 10,630
1.1% ↑
1962年 10,514
1.14% ↑
1961年 10,396 -

リビアの牛乳生産量は、この60年以上にわたり大きな成長を遂げてきました。1961年の10,396トンから1970年代に急激な増加が見られ、1974年には初めて40,000トンを超え、1975年には56,900トンに達しました。この成長は、農業技術の向上や酪農における生産効率化が背景にあると考えられます。その後、1980年代以降も一貫して増加が続き、1990年には102,000トンに達しましたが、2000年には92,686トンと一時的な減少が見られました。しかし、2000年代中盤以降は再び回復し、2010年以降は安定した生産が続いています。

特に2009年に151,702トンと大幅な増加が見られ、その後2018年には150,002トンまで回復しました。しかし、ここ数年のデータを見ると、2020年以降は再び減少傾向がみられ、2023年には142,529トンまで低下しています。これには、近年続く政治的混乱や地域の安全保障状況の悪化、さらには気候変動の影響が絡み合っていると考えられます。

地政学的背景として、リビアは長期間にわたる内戦や武力紛争に直面しており、これが酪農業に直接的な影響を及ぼしています。農地やインフラが破壊されることで特に牛乳を生産する基盤が脆弱化し、酪農業者が経営を継続することが難しくなっています。また、輸入飼料の供給不足や国際的な経済制裁の影響も、牛の飼育といった生産システムに問題をもたらしています。

さらに、リビアは砂漠地帯が大部分を占める国であり、多くの地域で水資源が不足しています。これは牛乳生産に欠かせない牧草や飼料の栽培能力を制約する要因の一つです。その結果、一定の増加傾向を維持してきたリビアの牛乳生産量も、近年減少に転じている現状です。

これらの背景を考慮すると、今後の課題としてはまず、安定した地域情勢を実現すること、そして持続可能な農業基盤を整備することが挙げられます。具体的には、灌漑設備の改善や再生可能エネルギーを活用した水供給インフラの導入が求められます。また、国際的な協力のもとで農業分野への財政支援や、酪農技術の共有を行うことも必要です。

他国の事例を見ると、例えばイスラエルは限られた水資源で高度な灌漑技術を駆使し、乳製品の生産効率を高めています。リビアもこうした他国の成功事例を導入することで効率化や安定性向上を図る可能性があります。また、地域間協力の枠組みを強化し、国際市場へのアクセスを広げることで輸入飼料の供給を改善し、国内では持続可能な家畜管理の普及を促すことが重要です。

結論として、リビアの牛乳生産量は過去と比較して大きな成長を遂げている一方で、現在の困難な状況を乗り越えるには多方面からの努力が必要です。これには、政治的安定、先進農業技術の導入、国内外の支援体制の強化が不可欠です。これらの施策はリビアの酪農産業を再び成長軌道に戻し、ひいては国全体の食料安全保障の確立にも寄与することでしょう。