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リビアの牛乳生産量推移(1961年~2022年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、リビアの牛乳生産量は、1961年の41,831トンから始まり、2022年までに234,251トンに増加しました。一貫した成長を示していますが、一部の年では減少や横ばいが見られるため、経済的、社会的、国際的な影響が生産量に関与していることが分かります。

年度 生産量(トン) 増減率
2022年 234,251
0.66% ↑
2021年 232,708
1.29% ↑
2020年 229,750
-3.24% ↓
2019年 237,454
1.79% ↑
2018年 233,271
1.1% ↑
2017年 230,736
0.98% ↑
2016年 228,495
1.51% ↑
2015年 225,106
0.18% ↑
2014年 224,700
2.37% ↑
2013年 219,500
-5.43% ↓
2012年 232,100
2.47% ↑
2011年 226,500
2.69% ↑
2010年 220,576
-3.62% ↓
2009年 228,852
13.89% ↑
2008年 200,940
-1.36% ↓
2007年 203,711
3.59% ↑
2006年 196,659
13.81% ↑
2005年 172,797
1.46% ↑
2004年 170,316
6.12% ↑
2003年 160,498
-21.06% ↓
2002年 203,315
22.98% ↑
2001年 165,317
0.36% ↑
2000年 164,720
-15.85% ↓
1999年 195,752
6.14% ↑
1998年 184,420
0.61% ↑
1997年 183,307
8.58% ↑
1996年 168,823
6.1% ↑
1995年 159,122
4.54% ↑
1994年 152,212
5.49% ↑
1993年 144,290
-2.82% ↓
1992年 148,475
-2.93% ↓
1991年 152,950
-0.81% ↓
1990年 154,200
3.01% ↑
1989年 149,700
9.79% ↑
1988年 136,350
6.11% ↑
1987年 128,500
1.04% ↑
1986年 127,175
-1.78% ↓
1985年 129,475
-8.86% ↓
1984年 142,060
0.16% ↑
1983年 141,830
20.66% ↑
1982年 117,550
-6.01% ↓
1981年 125,064
10.31% ↑
1980年 113,370
5.12% ↑
1979年 107,848
9.68% ↑
1978年 98,330
2.97% ↑
1977年 95,490
-7.1% ↓
1976年 102,790
3.81% ↑
1975年 99,020
20.85% ↑
1974年 81,938
8.07% ↑
1973年 75,817
10.48% ↑
1972年 68,628
20.88% ↑
1971年 56,772
8.29% ↑
1970年 52,428
5.53% ↑
1969年 49,683
1.88% ↑
1968年 48,768
0.38% ↑
1967年 48,582
4.62% ↑
1966年 46,436
0.93% ↑
1965年 46,006
2.44% ↑
1964年 44,908
2.46% ↑
1963年 43,831
2.36% ↑
1962年 42,821
2.37% ↑
1961年 41,831 -

リビアの牛乳生産量は、1961年から2022年の期間で著しい増加を記録しており、61年間で約5.6倍に拡大しました。1970年代には急激な成長期を迎え、1970年の52,428トンから1975年には99,020トンにまで増加しました。この時期の成長は、主に農業部門への政策的投資と、国内需要の増加によって支えられたと考えられます。しかし、その後の1980年代には、増加が一定の範囲で鈍化し、経済の困難や政策の変化、さらには地域的な不安要素が影響を及ぼしました。

特に2000年前後では、牛乳生産量が急減する傾向が見られ、2002年に203,315トンと一時的な回復を迎えた後、翌年には再び減少しました。この変動は、農業におけるインフラ不足や、輸入依存による国内生産の停滞が要因として挙げられます。また、2011年のアラブの春以降、リビア国内での治安の悪化やインフレなどの経済的困難が影響を与えたと考えられますが、牛乳の生産量は安定した増加傾向を維持しました。2018年以降は、ほぼ横ばいでわずかに増加していますが、2020年には再び一時的な減少が見られました。この年の減少は新型コロナウイルスの感染拡大による物流や労働力への影響が関係している可能性があります。

リビアの牛乳生産は、自然環境や惑星規模での気候変動とも密接に関連しています。同国の多くは乾燥した気候であり、牧草地が限られていることが牛乳生産の主な制約条件となっています。それでもこれまで生産量を拡大してきた背景には、乳牛の改良種の導入や飼料輸入への依存が指摘されています。さらに、同様の地域条件に置かれているエジプトやチュニジアと比べても、リビアは政策的支援が弱いとされ、この点が中長期的な課題となっています。

今後の課題として、リビアでは以下のポイントが挙げられます。まず、国内の牧草地拡大および農地の効率的な利用を目指した農業インフラ整備が求められます。また、酪農業を支えるための技術援助や教育プログラムの拡大、特に近年問題視されている水資源不足と環境管理の強化が重要です。さらに、地域紛争や政情不安がリビアの農業全体に影響を及ぼしており、政治的安定化は農業の発展において欠かせない要素となっていることは間違いありません。

一方で、地政学的リスクを減少させ、生産量の拡大を目指すために、リビア国内の経済的中枢だけでなく、隣国を含む地域間協力が鍵になります。例えば、北アフリカや地中海沿岸諸国間での農業技術交流や貿易協定の強化は、同国酪農業の再生を後押しするきっかけになるでしょう。特に国際的な環境政策や温暖化対策も視野に入れることで、リビアが持続可能な牛乳生産を確立できる可能性があります。

結論として、リビアの牛乳生産量は過去数十年間で大幅な増加を見せつつも、一定の不安定さを内包している状況にあります。現状を打破するためには、国内外の協力を基盤とした持続可能な農業政策が必要です。これには、技術的な改善、農民への経済支援、そして在来種の遺伝的改良が含まれます。国際的な農業支援機関や開発プログラムは、リビアの酪農業の成長を支える重要な役割を果たすでしょう。