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リビアの鶏卵生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が公表した最新データによると、リビアの鶏卵生産量は2023年に74,416トンとなりました。この数値は1961年の585トンから非常に大きく成長しましたが、1975年以降には生産量が不安定な推移を示しました。近年は安定的な成長傾向が見られ、特に2019年には81,500トンに達しましたが、その後は再び小幅な減少と停滞が見受けられる状況です。政治的・経済的な課題や地政学的リスク、近年の新型コロナウイルス感染症の影響がこの背景に関係していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 74,416
-0.18% ↓
2022年 74,547
1.87% ↑
2021年 73,178
1.61% ↑
2020年 72,020
-11.63% ↓
2019年 81,500
12.17% ↑
2018年 72,660
-0.4% ↓
2017年 72,950
6.86% ↑
2016年 68,267
0.1% ↑
2015年 68,200
13.67% ↑
2014年 60,000
-3.23% ↓
2013年 62,000
-1.59% ↓
2012年 63,000
-13.37% ↓
2011年 72,727
0.09% ↑
2010年 72,660
0.61% ↑
2009年 72,221
20.37% ↑
2008年 60,000 -
2007年 60,000
-19.6% ↓
2006年 74,623
2.13% ↑
2005年 73,069
35.97% ↑
2004年 53,740
-10.43% ↓
2003年 60,000
9.09% ↑
2002年 55,000
-8.33% ↓
2001年 60,000 -
2000年 60,000
22.85% ↑
1999年 48,840
-13.37% ↓
1998年 56,375
10.81% ↑
1997年 50,875
13.06% ↑
1996年 45,000
2.27% ↑
1995年 44,000
15.79% ↑
1994年 38,000
-1.3% ↓
1993年 38,500
7.69% ↑
1992年 35,750
3.17% ↑
1991年 34,650
1.61% ↑
1990年 34,100
3.33% ↑
1989年 33,000
20% ↑
1988年 27,500
11.11% ↑
1987年 24,750
12.5% ↑
1986年 22,000
46.67% ↑
1985年 15,000
20% ↑
1984年 12,500
-41.86% ↓
1983年 21,500
14.97% ↑
1982年 18,700
3.89% ↑
1981年 18,000
14.65% ↑
1980年 15,700
4.67% ↑
1979年 15,000
39.47% ↑
1978年 10,755
16.59% ↑
1977年 9,225
-6.82% ↓
1976年 9,900
25% ↑
1975年 7,920
193.33% ↑
1974年 2,700
7.14% ↑
1973年 2,520
7.69% ↑
1972年 2,340
-10.34% ↓
1971年 2,610
2.68% ↑
1970年 2,542
8.68% ↑
1969年 2,339
-2.54% ↓
1968年 2,400
60.75% ↑
1967年 1,493
23.18% ↑
1966年 1,212
14.99% ↑
1965年 1,054
20.05% ↑
1964年 878
14.92% ↑
1963年 764
8.83% ↑
1962年 702
20% ↑
1961年 585 -

リビアの鶏卵生産量は、1961年のわずか585トンから2023年には74,416トンまで大幅に伸びました。1960年代から1970年代前半にかけての経済開発と国内需要の拡大により、この指標は急速に増加し、1979年には15,000トンというピークを迎えました。その後も生産量は全体的には増加傾向を保ち、1990年以降では20,000トン前後が基準値になりました。しかし、途中でいくつかの大きな減少期が確認でき、その原因としては、国内の資源分配の偏り、政治情勢の不安定さ、及び社会経済の困難などが挙げられます。

特に1975年以降、急激な生産量の変動が見られることが特徴です。例えば1975年には7,920トンだった鶏卵生産量が1979年には15,000トンに倍増し、続く1984年には12,500トン、1989年には33,000トンに達しました。この増加には農業技術の改善が寄与したと考えられますが、一方で1980年代半ば以降のデータは、政策の連続性や国内の市場統制が影響していることも想定されます。

1990年代以降は、生産量の増加のペースがやや落ち着き、2000年には60,000トンに到達しました。その後の20年間で概ね60,000~74,000トンの範囲で推移し、2019年には81,500トンという新記録を達成しましたが、翌年以降は再び小幅な減少が続きました。この背景にはリビア国内の政治情勢の不安定さや国際経済の影響があると考えられます。特に2011年から続く内戦や新型コロナウイルスパンデミックが、農業生産や物流に悪影響を及ぼしたと判断されます。

地域的課題として、リビアは主に乾燥した気候と土地管理の難しさに直面しています。鶏卵の生産は飼料となる穀物の生産や輸入に依存しているため、これも地政学的リスクに深く影響を受けています。他国と比較すると、鶏卵の生産規模はアメリカや中国、インドなど主要生産国に及ばないものの、国内消費と自給自足の観点では十分な供給量を維持している状況です。同じ北アフリカ地域では、エジプトが生産量で優位に立っています。これは農業インフラの整備や地域協力の実施がリビアに比べて進んでいるためです。

今後の課題として、気候変動への対応と持続可能な農業体制の確立が重要です。気候変動により、飼料の価格が上昇したり、水資源の利用が制限される可能性があります。そのため、乾燥地でも実現可能な穀物生産の強化や、他国との協力による飼料供給網の安定化が必要です。また、効率的な生産技術を導入し、産業の近代化を進めることも成長につながるでしょう。

国際的な課題として、リビア国内の平和と安定を確保することが農業生産全般の基盤となります。このため、国際社会はリビアへの適切な支援を行い、内戦後の復興と物流網の改善を促進すべきです。また、アフリカ地域全体での食品安全ネットワークの構築も課題を解決する鍵となります。

結論として、リビアの鶏卵生産量は過去60年間で劇的に増加しましたが、内外のリスク要因により、生産の安定性が脅かされています。これを克服するためには、気候変動や地政学的リスクに対応した政策と、地域協力のフレームワークを構築し、持続可能性を第一に考えた取り組みが重要です。リビアが力強い生産体制を取り戻すことができるよう、政策決定者や国際機関の協調した行動が期待されます。