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リビアのブドウ生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、リビアのブドウ生産量は1961年の7,100トンから始まり、長期間にわたる増減を経て、近年2023年には30,824トンにまで回復しました。データは、リビアが農業インフラの整備や地政学的リスクの影響を受けながらブドウ生産を推進してきた歴史を反映しています。一方で、2019年にはわずか1,409トンまで激減した特異な事例も見られます。その背景には、国内紛争や経済的不安定、インフラ破壊が影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 30,824
23.9% ↑
2022年 24,878
-15.73% ↓
2021年 29,520
-5.92% ↓
2020年 31,377
2126.9% ↑
2019年 1,409
-95.53% ↓
2018年 31,500
-2.49% ↓
2017年 32,303
0.31% ↑
2016年 32,203
1.64% ↑
2015年 31,685
3.71% ↑
2014年 30,551
-3.03% ↓
2013年 31,506
-4.53% ↓
2012年 33,000
-6.04% ↓
2011年 35,120
0.34% ↑
2010年 35,000
11.15% ↑
2009年 31,488
4.96% ↑
2008年 30,000 -
2007年 30,000 -
2006年 30,000 -
2005年 30,000 -
2004年 30,000 -
2003年 30,000 -
2002年 30,000
-25% ↓
2001年 40,000
-20% ↓
2000年 50,000
29.67% ↑
1999年 38,560
1.47% ↑
1998年 38,000
0.53% ↑
1997年 37,800
5% ↑
1996年 36,000
20% ↑
1995年 30,000 -
1994年 30,000
-9.09% ↓
1993年 33,000
-5.71% ↓
1992年 35,000
-7.89% ↓
1991年 38,000
3.92% ↑
1990年 36,565
4.79% ↑
1989年 34,895
4.7% ↑
1988年 33,330
3.22% ↑
1987年 32,290
53.76% ↑
1986年 21,000
5% ↑
1985年 20,000
4.19% ↑
1984年 19,196
-7.58% ↓
1983年 20,770
41.25% ↑
1982年 14,704
-44.8% ↓
1981年 26,640
88.24% ↑
1980年 14,152
-11.55% ↓
1979年 16,000
10.25% ↑
1978年 14,512
-8.29% ↓
1977年 15,824
14.01% ↑
1976年 13,879
11.46% ↑
1975年 12,452
-18.47% ↓
1974年 15,272
39.32% ↑
1973年 10,962
31.12% ↑
1972年 8,360
12.21% ↑
1971年 7,450
14.62% ↑
1970年 6,500 -
1969年 6,500
3.17% ↑
1968年 6,300
5% ↑
1967年 6,000 -
1966年 6,000
20% ↑
1965年 5,000
-7.41% ↓
1964年 5,400
-6.9% ↓
1963年 5,800
-15.94% ↓
1962年 6,900
-2.82% ↓
1961年 7,100 -

リビアは古くから地中海性気候を活かした農業が行われており、ブドウ生産はその中でも重要な作物として位置づけられています。FAOのデータが示すとおり、この国のブドウ生産量は1960年代から着実な成長基調を見せつつも、1970年代中頃までは比較的緩やかな増加が続きました。1973年に10,962トンを記録し、その後1977年の15,824トンと明らかな成長が見られる一方、1975年には一時的な減少(12,452トン)が確認されています。この変動には降水量の減少や農業技術の未確立、政治的不安定要素が関与している可能性があります。

1980年代以降になると、リビア国内での農業振興政策や技術導入の進展により、生産量は一時的に大幅に伸びました。特に1987年(32,290トン)から1991年(38,000トン)にかけて着実な成長を遂げています。しかし、1990年代後半以降は再び生産量が安定的に推移し、ここでは主に30,000~38,000トンの範囲に収まっています。この期間、国際市場への輸出を視野に入れた生産拡大が進められたと考えられます。

転換期となるのは2000年で、ブドウ生産量が突如50,000トンに達しました。この急増は特定プロジェクトや良好な気候条件が寄与した可能性がありますが、その後すぐに40,000トンへ下回り、2002年から2018年まで、30,000トン前後で長期的な停滞が続きました。この間、リビアは2000年代の国際的な制裁や政治的緊張といった課題に直面しており、それによる農業分野の投資不足が影響したと推測されます。

特に注目すべきは2019年で、生産量が激減し1,409トンという低水準に落ち込んだ点です。この激減は、リビア内戦の激化やインフラの破壊、現地の農業従事者の移住、輸送網の混乱が直接的な影響を与えたと考えられます。しかしながら、2020年以降には再び30,000トン前後の水準まで回復し、2023年には30,824トンまで生産を増やしています。これは、リビア国内の紛争緩和や、農業再建への努力が一定の成果を上げた証左と見ることができます。

課題として、まずリビア農業の構造的な弱点が挙げられます。不安定な政治状況や気候変動の影響を受けるリビアでは、農業技術の近代化や灌漑システムの整備が依然として不足しています。また、労働力の流出や若い世代の農業離れも深刻であり、このままの状況では将来的な生産力の維持が困難になる可能性があります。

今後、リビアが取るべき具体的な対策には、いくつかのポイントがあります。まずは安定した農業環境を築くため、国内の政治的安定を優先的に図る必要があります。その上で、十分な資本投下を行い、農業機械や灌漑技術の導入を促進する施策が求められます。また、持続可能な農業支援を目指し、国際機関や地域パートナーとの協力体制を強化することが鍵となります。さらに、市場拡大を目指して、輸送インフラや冷蔵施設などの整備も急務です。

結論として、リビアのブドウ生産は地理的・気候的なポテンシャルを持ちながらも、地政学的要因に強く左右される構造的な弱さを持つ状況にあります。そのため、農業の多角化や効率化、国内の安定の確保が喫緊の課題と言えるでしょう。国際社会の支援を活用しながら、これからの数十年間で農業の基盤強化に取り組むことが重要です。