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リビアの羊肉生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したリビアの羊肉生産量データによると、1961年に5,128トンだった生産量は1970年代後半から急増し、1983年の57,600トンでピークを記録しました。しかし、その後、生産量は減少傾向に転じ、2023年には30,119トンという水準に留まっています。この推移から、リビアの羊肉生産が長期的に見ると不安定な変動を繰り返していることがわかります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 30,119
1.11% ↑
2022年 29,788 -
2021年 29,787
-1.83% ↓
2020年 30,342
-2.91% ↓
2019年 31,251
1.24% ↑
2018年 30,869
1.05% ↑
2017年 30,547
-1.31% ↓
2016年 30,954
-0.48% ↓
2015年 31,102
-1.95% ↓
2014年 31,721
-1.75% ↓
2013年 32,285
0.11% ↑
2012年 32,250 -
2011年 32,250
0.94% ↑
2010年 31,950
6.5% ↑
2009年 30,000
2.56% ↑
2008年 29,250
1.56% ↑
2007年 28,800
7.26% ↑
2006年 26,850
4.68% ↑
2005年 25,650
1.79% ↑
2004年 25,200
-1.18% ↓
2003年 25,500
5.59% ↑
2002年 24,150
-15.26% ↓
2001年 28,500
18.01% ↑
2000年 24,150
-19.5% ↓
1999年 30,000
-14.89% ↓
1998年 35,250
17.5% ↑
1997年 30,000
-25.93% ↓
1996年 40,500
36.36% ↑
1995年 29,700
18.56% ↑
1994年 25,050
-14.8% ↓
1993年 29,400
26.45% ↑
1992年 23,250
-2.52% ↓
1991年 23,850
1.27% ↑
1990年 23,550
-25.77% ↓
1989年 31,725
-20.69% ↓
1988年 40,000
8.11% ↑
1987年 37,000
4.96% ↑
1986年 35,250
-17.54% ↓
1985年 42,750
-24.8% ↓
1984年 56,850
-1.3% ↓
1983年 57,600
6.67% ↑
1982年 54,000
-4.26% ↓
1981年 56,400
4.44% ↑
1980年 54,000
13.21% ↑
1979年 47,700
2.58% ↑
1978年 46,500
29.17% ↑
1977年 36,000
16.13% ↑
1976年 31,000
-2.88% ↓
1975年 31,919
-1.11% ↓
1974年 32,276
17.79% ↑
1973年 27,401
-8.93% ↓
1972年 30,088
12.05% ↑
1971年 26,853
14.74% ↑
1970年 23,403
24.2% ↑
1969年 18,843
22.75% ↑
1968年 15,351
17.31% ↑
1967年 13,086
11.37% ↑
1966年 11,750
65.17% ↑
1965年 7,114
19.74% ↑
1964年 5,941
-2.3% ↓
1963年 6,081
4.36% ↑
1962年 5,827
13.63% ↑
1961年 5,128 -

リビアの羊肉生産量データは、同国農業セクターの発展と社会・経済情勢を反映する重要な指標です。1961年の段階ではわずか5,128トンに過ぎなかった生産量は、1960年代末以降の経済成長と農業技術の改善に伴い急増しました。特に1970年代後半から1980年代前半にかけては、46,500トン(1978年)から57,600トン(1983年)へと一気に増加しました。この成長は、同国の農業政策に対する政府の投資や開発努力が大きく寄与したと考えられます。

しかし、1980年代中後半から羊肉生産量は減少に転じ、一時的な回復を見せつつも、1990年以降は全体的に低迷傾向にあります。この背景には、以下の三つの主要要因が考えられます。第一に、リビアは降水量が非常に少ない乾燥地帯であり、牧草地の確保や水資源の利用が難しいことです。これにより、羊の飼育環境が脆弱になる傾向が見られます。第二に、地政学的リスクが影響を及ぼしています。同国ではこれまでに内戦や政情不安が断続的に発生し、それが農業および畜産活動にも深刻な影響を及ぼしました。第三に、国際市場の変動や輸入依存の増加が国内生産縮小を招いたと考えられます。特に、食肉需要が高まる一方で、これを国外輸入で補う傾向が強まっています。

2023年時点の羊肉生産量は30,119トンであり、過去50年以上の動向と比較するとピーク時と比べて約半分の規模に留まっています。この水準は、日本の畜産業や他の主要国(例えば中国、アメリカ、フランスなど)と比較すると低く、リビアの食肉セクターが持続的な発展に課題を抱えていることを示しています。また、近年では、新型コロナウイルス感染症の影響も見逃せません。世界的な流通の停滞や経済活動の縮小が、リビア国内の畜産業にも波及し、利用可能な資源や需給環境に影響を与えました。

これらの課題を克服するためには、リビア政府や国際機関による積極的な支援が必要です。具体的には、灌漑技術や水資源の効率的な利用を促進する農業協力プログラムの導入が考えられます。さらに、地域間協力を強化し、周辺国との農業技術交流や貿易協定を活用することで、国内生産を支える基盤を構築することが重要です。加えて、内戦などの政治的不安定要素を解消し、農業・畜産産業を取り巻く安全な環境を整えることも優先すべき取り組みです。

結論として、リビアの羊肉生産量推移は、同国の社会経済的な変遷や地政学的背景を雄弁に物語っています。将来に向けては、持続可能な畜産業の発展を目指し、環境・社会の両面で適応力を高める政策の実施が求められます。同時に、外部の支援を効果的に活用することで、リビアの畜産セクターの復興と安定化に寄与することが期待されます。