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リビアのオリーブ油生産量推移(1961年~2021年)

国際連合食糧農業機関が公表した2024年7月更新のデータによると、リビアのオリーブ油生産量は1961年から2021年までの期間で著しい変動を見せています。1960年代から1970年代にかけては特に大きな変動がありましたが、その後は比較的安定したレベルで推移しています。最近の10年間においては、年間15,000~18,000トン程度の生産量を維持していますが、過去のピーク時30,000トン(1980年)に比べると下降傾向が見られます。

年度 生産量(トン) 増減率
2021年 17,000 -
2020年 17,000
2.41% ↑
2019年 16,600
-4.05% ↓
2018年 17,300
-3.89% ↓
2017年 18,000
12.5% ↑
2016年 16,000
-11.11% ↓
2015年 18,000
12.5% ↑
2014年 16,000 -
2013年 16,000
6.67% ↑
2012年 15,000 -
2011年 15,000 -
2010年 15,000 -
2009年 15,000
9.49% ↑
2008年 13,700
17.09% ↑
2007年 11,700
20.62% ↑
2006年 9,700
22.78% ↑
2005年 7,900
-50% ↓
2004年 15,800
21.54% ↑
2003年 13,000
91.18% ↑
2002年 6,800
36% ↑
2001年 5,000
-16.67% ↓
2000年 6,000
-22.08% ↓
1999年 7,700
14.93% ↑
1998年 6,700
-22.99% ↓
1997年 8,700
45% ↑
1996年 6,000
5.26% ↑
1995年 5,700
-24% ↓
1994年 7,500
11.94% ↑
1993年 6,700
-22.99% ↓
1992年 8,700
8.75% ↑
1991年 8,000
3.9% ↑
1990年 7,700
14.93% ↑
1989年 6,700
11.67% ↑
1988年 6,000
-3.23% ↓
1987年 6,200
-65.56% ↓
1986年 18,000
-18.18% ↓
1985年 22,000
50.68% ↑
1984年 14,600
-27% ↓
1983年 20,000
-13.04% ↓
1982年 23,000
-11.54% ↓
1981年 26,000
-13.33% ↓
1980年 30,000
87.5% ↑
1979年 16,000
-41.28% ↓
1978年 27,246
241.21% ↑
1977年 7,985
-72.11% ↓
1976年 28,629
2.25% ↑
1975年 28,000
55.56% ↑
1974年 18,000
-30.77% ↓
1973年 26,000
57.16% ↑
1972年 16,544
1554.4% ↑
1971年 1,000
-92.54% ↓
1970年 13,404
108.88% ↑
1969年 6,417
-73.15% ↓
1968年 23,900
20.16% ↑
1967年 19,890
12.83% ↑
1966年 17,628
-7.42% ↓
1965年 19,040
430.81% ↑
1964年 3,587
-41.75% ↓
1963年 6,158
-12.03% ↓
1962年 7,000
6.24% ↑
1961年 6,589 -

リビアのオリーブ油生産量の推移を分析すると、大きく三つの特徴的な時期が浮かび上がります。まず、1960年代から1970年代半ばにかけて、生産量が大きく増減していることが目立ちます。この期間には、最小値の1,000トン(1971年)から最大値の28,629トン(1976年)と、振り幅が非常に大きい傾向が観察されます。この変動の背景には、天候条件の影響や、オリーブ栽培に関する政策の変化、あるいは国内のインフラ整備状況が関係している可能性があります。当時、農業政策の未整備やインフラの不十分さが生産効率を不安定にしていたことが指摘されています。

次に、1980年代から1990年代にかけては生産量が全般的に減少し、特に1988年から1990年代後半においては年間6,000~8,000トンの低水準が続いています。この時期の背景には、リビア国内での政治的・経済的な不安定性が影響していたと考えられます。この期間、農業部門への投資や技術支援が手薄となり、それによる生産性の低下が顕著でした。

最後に、2000年以降の20年以上は、15,000トン前後で比較的安定しています。ただ、この生産水準は1980年の最大値30,000トンと比較すると約半分にとどまっています。特に2011年以降の生産の安定は、一定の農業政策や持続可能な栽培技術の導入の成果とみることができます。それでも、近年の水準から見ると、国際的な需要に対して十分に応えられる供給力はまだないと言えるでしょう。

さらに、リビアの地政学的な背景もこの生産の推移に重要な影響を与えています。特に2010年代に入ってからの政情不安や地域紛争は、農業インフラに深刻な打撃を与えました。長期的な内戦や社会不安は農業労働力の減少にもつながり、農村地域の活力を損ねています。また、リビアは総じて乾燥気候に属しており、水資源が限られているため、オリーブ生産には灌漑や適切な土地管理が不可欠です。その対策が不十分な場合、気候変動や災害に対する脆弱性が極めて高い状況にあります。

これらを踏まえると、リビアが今後オリーブ油生産をさらに発展させるためには、いくつかの取り組みが必要です。第一に、灌漑設備の整備や、乾燥地に適したオリーブ品種の導入を進めることが急務です。これにより、気候条件の影響を軽減することができます。第二に、持続可能な農業技術を国内各地で普及させ、生産性を向上させるための支援を強化する必要があります。これには技術支援の国際的なパートナーシップの活用が有効です。第三に、地域紛争の解決や社会の安定を推進し、農村部への投資や雇用の機会を増やすことが肝心です。

結論として、リビアはオリーブ油の生産国として潜在的な強みをもつ一方で、地政学的リスクや気候的制約が大きな課題として存在します。近年の安定した生産水準を基盤とし、持続可能な成長を目指すには、効率的な農業政策と国際支援の確立が不可欠です。この取り組みが成功すれば、リビアは将来、地域経済の再建とともに国際市場での競争力を高める可能性を持つでしょう。