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リビアのナス生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(FAO=国際連合食糧農業機関)の2024年7月に更新されたデータによると、リビアのナス生産量は過去数十年で大幅な変動を繰り返してきました。1960年代には非常に低い生産量(年間100トン程度)でしたが、1970年代以降急激に伸びを見せ、その後1980年代に最大6,000トンを超えるピークに達しました。しかし、1990年代後半以降は一時的な急増を見せながらも、概ね生産量が減少する傾向にあります。近年の統計では特に2018年以降の減少が顕著で、2022年には2,570トンとなり、過去40年で最も低い水準の一つとなっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,468
-3.99% ↓
2022年 2,570
-33.77% ↓
2021年 3,881
33.82% ↑
2020年 2,900
93.33% ↑
2019年 1,500
-2.6% ↓
2018年 1,540
-47.97% ↓
2017年 2,960
-5.3% ↓
2016年 3,126
37.51% ↑
2015年 2,273
-34.71% ↓
2014年 3,482
-3.88% ↓
2013年 3,622
-0.4% ↓
2012年 3,636
-6.53% ↓
2011年 3,891
-2.15% ↓
2010年 3,976
0.66% ↑
2009年 3,950
-1.25% ↓
2008年 4,000 -
2007年 4,000 -
2006年 4,000
-2.43% ↓
2005年 4,100
2.49% ↑
2004年 4,000 -
2003年 4,000 -
2002年 4,000
-20% ↓
2001年 5,000
-47.48% ↓
2000年 9,520
-32.19% ↓
1999年 14,040
75.5% ↑
1998年 8,000
60% ↑
1997年 5,000
66.67% ↑
1996年 3,000
-22.08% ↓
1995年 3,850
-3.75% ↓
1994年 4,000
-6.98% ↓
1993年 4,300
-14% ↓
1992年 5,000
-16.67% ↓
1991年 6,000
5.26% ↑
1990年 5,700
14% ↑
1989年 5,000
8.7% ↑
1988年 4,600
2.22% ↑
1987年 4,500
12.5% ↑
1986年 4,000
14.29% ↑
1985年 3,500
16.67% ↑
1984年 3,000
20% ↑
1983年 2,500
25% ↑
1982年 2,000
33.33% ↑
1981年 1,500
49.55% ↑
1980年 1,003
15.02% ↑
1979年 872
0.35% ↑
1978年 869
-4.4% ↓
1977年 909
5.09% ↑
1976年 865
2.13% ↑
1975年 847
9.86% ↑
1974年 771
11.9% ↑
1973年 689
33.27% ↑
1972年 517
13.63% ↑
1971年 455
127.5% ↑
1970年 200
33.33% ↑
1969年 150
20% ↑
1968年 125
-16.67% ↓
1967年 150
50% ↑
1966年 100 -
1965年 100 -
1964年 100 -
1963年 100 -
1962年 100 -
1961年 100 -

リビアのナス生産量は、1961年にわずか100トンという小規模な水準で始まり、その後長い期間をかけて着実に増加しました。特に1970年代から1980年代にかけては急速に増加し、1980年に1,003トン、1984年に3,000トン、1990年には5,700トンといった大幅な成長を示しました。この成長は、政府が農業生産性を向上させるための政策を積極的に推進したことや、灌漑技術の進歩が背景にあると考えられます。また、1960年代後半から1980年にかけての世界的な農業技術の革新も、リビアにおけるナス生産量の成長に寄与した要因の一つです。

一方で、1992年以降は生産量が不安定化し、多くの場合で減少する傾向にあります。特に2015年以降のデータをみると、年々生産量が減少していることが確認できます。一例として、2015年には2,273トン、2018年には1,540トン、2022年には2,570トンとなり、1970年代後半の水準に近い低水準にまで落ち込んでいます。このような減少の背景には、国内外の地政学的リスク、特に2011年のリビア内戦以降続く政治的不安定さや社会基盤の劣化、また水資源不足などの環境的要因が挙げられます。

地政学的な側面では、リビア内戦やその余波が農業に与える負の影響が明確です。政治的混乱やインフラの破壊は農作物の生産量と輸送に悪影響を及ぼし、農民が安定的な栽培を行える環境が確保されていないことが問題です。また、リビアの多くの地域では水資源へのアクセスが非常に限定的で、特に降雨に恵まれない乾燥地帯では灌漑設備や水管理システムが生産性向上に欠かせません。さらに、これに加えて、気候変動や砂漠化の問題もリビア農業全体にとって重要な課題といえるでしょう。

今後、リビアがナスの生産を安定させ、さらなる成長を遂げるためには、以下の対策が必要と考えられます。第一に、国内の政治安定を図り、農業関連の基盤整備を進めることが急務です。これには、農地の灌漑システムの改善や貯水池設備の開発だけでなく、農民への教育プログラムの実施も含まれます。また、地域間や国際間での協力を構築し、技術や資本の援助を受けることも重要です。例えば、FAOや国際的な農業支援団体が行うプロジェクトに積極的に参加することで、現地の農業技術を近代化することが可能となるでしょう。

さらに、気候変動対策として乾燥に強い品種の研究や導入を進めること、農作物のローテーションや循環型農業の導入を進める必要があります。こうした対策により、水資源の効率的活用が実現されるだけでなく、農地の劣化を防ぐことが可能です。加えて、食料安全保障の観点からも、現地のナス需要を安定的に満たす取り組みが求められます。

結論として、リビアにおけるナス生産量の推移は、国の開発状況や地政学的環境の影響を色濃く反映したものと言えます。持続可能な生産を達成するためには、政治安定、環境対策、技術革新を柱とした政策が鍵となります。また、国内だけではなく、国際機関や近隣諸国との積極的な協力関係を構築することが、課題解決への重要な道筋となるでしょう。