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リビアのオリーブ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、1961年から2022年までのリビアのオリーブ生産量は、初期には増減を繰り返す中で大幅な増加傾向を見せ、1999年にはピークの275,000トンに達しました。その後は2000年代から2010年代にかけて比較的安定して推移していましたが、2022年には143,410トンと減少しています。この推移は、気候変動、政策、経済的要因、および地政学的リスクの影響を示唆しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 147,411
2.79% ↑
2022年 143,410
-19.13% ↓
2021年 177,323
2.78% ↑
2020年 172,520
23.07% ↑
2019年 140,180
-1.06% ↓
2018年 141,680
-19.24% ↓
2017年 175,437
-0.54% ↓
2016年 176,391
8.39% ↑
2015年 162,744
-9.92% ↓
2014年 180,668
-2.74% ↓
2013年 185,762
0.44% ↑
2012年 184,951
-1.26% ↓
2011年 187,310
5.74% ↑
2010年 177,144
3.66% ↑
2009年 170,890
-5.06% ↓
2008年 180,000 -
2007年 180,000 -
2006年 180,000
-0.62% ↓
2005年 181,118
0.62% ↑
2004年 180,000
7.54% ↑
2003年 167,376
11.58% ↑
2002年 150,000 -
2001年 150,000
-9.09% ↓
2000年 165,000
-40% ↓
1999年 275,000
37.5% ↑
1998年 200,000
5.26% ↑
1997年 190,000
2.33% ↑
1996年 185,680
10.52% ↑
1995年 168,000
20% ↑
1994年 140,000
16.67% ↑
1993年 120,000
20% ↑
1992年 100,000
25% ↑
1991年 80,000
17.65% ↑
1990年 67,998
4.62% ↑
1989年 64,998
4.91% ↑
1988年 61,958
6.82% ↑
1987年 58,002
-51.67% ↓
1986年 120,000
-6.25% ↓
1985年 128,000
5.26% ↑
1984年 121,600
-15.56% ↓
1983年 144,000
0.7% ↑
1982年 143,000
-7.62% ↓
1981年 154,800
-3.84% ↓
1980年 160,983
60.98% ↑
1979年 100,000
-30.26% ↓
1978年 143,400
241.2% ↑
1977年 42,028
-72.9% ↓
1976年 155,096
2.77% ↑
1975年 150,918
58.86% ↑
1974年 95,000
-36.38% ↓
1973年 149,313
57.95% ↑
1972年 94,533
1475.55% ↑
1971年 6,000
-91.81% ↓
1970年 73,254
117.95% ↑
1969年 33,610
-76.51% ↓
1968年 143,109
6.56% ↑
1967年 134,294
41.38% ↑
1966年 94,988
-6.3% ↓
1965年 101,372
445.01% ↑
1964年 18,600
-41.88% ↓
1963年 32,000
-12.81% ↓
1962年 36,700
4.56% ↑
1961年 35,100 -

リビアのオリーブ生産は、国内の農業経済や地域の食糧システムにおいて非常に重要な役割を果たしています。1960年代からデータを見ると、気候や運輸技術、農業インフラ整備状況の影響により、生産量には大きな変動が見られます。特に1965年から1968年にかけて急激に増加した時期は、政府主体の農業政策の強化や灌漑技術の導入などが影響したと考えられます。しかし、その後の変動は、地域紛争やインフラの破壊が影響している可能性が高く、1971年の6,000トンという極端な減少が一例です。

1990年代後半にかけて生産量は着実に増加しました。その要因の一つとして、生産効率が向上したことや国際市場での需要拡大が挙げられます。1999年には275,000トンという最高の生産量に達し、それ以降も200,000トン前後を維持してきました。これは、優れた土地利用計画やオリーブ農園の拡張によるものですが、2000年代以降の安定に伴い、大規模な技術改革は進まなかったことが、頭打ちの傾向を形成している要因と考えられます。

一方で、2010年代から2020年代初頭にかけて、リビアのオリーブ生産には減少傾向が見られます。その背景には、地政学的リスク、特に内戦や政情不安が挙げられます。特に2018年や2022年のデータを見ると、ここ数年で再び生産量が減少していることから、この間には紛争やインフラ整備の遅れ、さらにCOVID-19パンデミックの影響も見られたと推測されます。また、気候変動による降水量の減少や灌漑システムの維持が困難になっていることも指摘されています。

隣国との比較をすると、リビアのように内陸部が広がり、降水量の少ない国では、生産の安定には高度な灌漑技術や気候に強い栽培品種の利用が不可欠です。同じ地中海地域に位置し、オリーブ生産が盛んなスペインやイタリアなどの国々では、技術開発と農業政策が生産の基盤を支えています。これに対し、リビアのような低開発国においては、外部からの支援や国際的な協力がなければ、健全な生産基盤を維持することは難しいでしょう。

これを踏まえ、リビアが今後直面する課題として、まず挙げられるのは生産インフラの再構築です。灌漑施設の近代化や農業機械の導入といった具体的な対応は、生産量の安定化に繋がります。また、地政学的リスクを軽減するためには、国内の和平プロセスの進展や国際機関による復興支援が重要です。加えて、気候変動への適応として、耐乾性の高いオリーブ品種の開発と普及、そして農業労働者の教育プログラムの実施が必要です。

結論として、リビアのオリーブ生産の推移は、経済、気候、地政学的な要因が複雑に絡み合って形成されています。今後は持続可能な農業方針と平和的国際協力が、安定した生産基盤の確立に重要な役割を果たすでしょう。国際的な資金協力を通じてインフラの再構築や技術導入を実現し、地域経済の活性化とともに、世界的なオリーブ市場での競争力を高めることが期待されます。