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リビアのジャガイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、リビアのジャガイモ生産量は1961年の14,000トンから2022年の321,044トンまで増加しており、特に1970年代以降に急激な成長を見せました。近年では2011年から2020年の間に最大値(366,750トン)を記録しましたが、2021年以降は若干の減少傾向にあります。リビアの農業生産においてジャガイモは重要な作物であり、農業政策や地政学的要因、気候変動の影響を受けつつも、依然として高い生産を維持しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 370,358
15.36% ↑
2022年 321,044
-2.38% ↓
2021年 328,887
-10.32% ↓
2020年 366,750
2.03% ↑
2019年 359,460
0.52% ↑
2018年 357,590
12.06% ↑
2017年 319,112
-5.44% ↓
2016年 337,465
0.29% ↑
2015年 336,485
18.74% ↑
2014年 283,385
-3.94% ↓
2013年 295,000
-18.06% ↓
2012年 360,000
2.27% ↑
2011年 352,000
17.86% ↑
2010年 298,668
14.08% ↑
2009年 261,808
-9.72% ↓
2008年 290,000 -
2007年 290,000
-3.33% ↓
2006年 300,000
20% ↑
2005年 250,000
28.21% ↑
2004年 195,000
-6.69% ↓
2003年 208,985
7.17% ↑
2002年 195,000 -
2001年 195,000
2.63% ↑
2000年 190,000
37.48% ↑
1999年 138,200
-23.22% ↓
1998年 180,000
-12.2% ↓
1997年 205,000
-0.49% ↓
1996年 206,000
3.87% ↑
1995年 198,320
13.33% ↑
1994年 175,000
13.28% ↑
1993年 154,480
2.99% ↑
1992年 150,000
1.35% ↑
1991年 148,000
2.07% ↑
1990年 145,000
10.69% ↑
1989年 131,000
3.15% ↑
1988年 127,000
4.1% ↑
1987年 122,000
10.91% ↑
1986年 110,000 -
1985年 110,000
17.66% ↑
1984年 93,491
-18.38% ↓
1983年 114,550
6.11% ↑
1982年 107,956
11.33% ↑
1981年 96,970
-5.72% ↓
1980年 102,857
13.84% ↑
1979年 90,354
1.31% ↑
1978年 89,182
-9.84% ↓
1977年 98,917
23.85% ↑
1976年 79,870
-10.14% ↓
1975年 88,881
12.99% ↑
1974年 78,666
0.4% ↑
1973年 78,352
59.75% ↑
1972年 49,046
114.99% ↑
1971年 22,813
128.54% ↑
1970年 9,982
-16.52% ↓
1969年 11,958
1.31% ↑
1968年 11,803
15.76% ↑
1967年 10,196
13.43% ↑
1966年 8,989
9.37% ↑
1965年 8,219
-34.25% ↓
1964年 12,500
-0.79% ↓
1963年 12,600
-16% ↓
1962年 15,000
7.14% ↑
1961年 14,000 -

リビアのジャガイモ生産量の歴史を振り返ると、1960年代は小規模な農業活動に留まっていましたが、1970年代に入ると機械化や農業分野への投資の増加により、生産量が急激に向上しました。この時期において、1971年に22,813トン、1972年には49,046トンと顕著な成長が見られました。その後1980年代から1990年代にかけて、ジャガイモの生産量は10万トンから20万トンを超える規模に達し、緩やかながら安定した成長を続けています。

2000年代以降、特に2005年には25万トン、2006年には30万トンと、過去のデータと比べても生産量の規模が大幅に拡大しています。これは、灌漑設備の向上や農業用の技術革新を背景にしたものであり、砂漠気候を持つリビアが水資源を効率的に活用するための努力の結果といえます。その後2011年にはアラブの春を契機に国内の混乱が生じたものの、ジャガイモ生産においてはむしろ高い生産量となり、360,000トン近くを記録しました。しかしこの混乱が解決されるのと並行して、2013年以降は一時的な減少が見られました。この背景には、生産コストの上昇や労働力の不足、さらに輸送力の制限などの問題が関係していると考えられます。

さらに2020年には新型コロナウイルスのパンデミックによる物流の停滞がありましたが、それでも366,750トンという記録的な生産量を達成しました。この点はリビアがジャガイモ生産において比較的自給率を保持し、国の一部地域で持続的な作用を維持していたことを示しています。一方、2021年以降に再び生産量が減少している点については、パンデミック後の供給チェーンの回復遅れや地政学的リスク、引き続く経済的課題との関連性が指摘されます。

現在、リビアにはいくつかの課題が存在します。まず、地理的な条件として、大部分が砂漠気候であるリビアでは水資源の不足が深刻な問題です。農業全体の生産性を向上させるためには、さらなる灌漑設備の整備や水の再利用技術の導入が必要です。また、生産量が減少傾向にある近年の傾向については、労働力の確保、農業機械の適切な利用、安定的な輸送ネットワークの整備が求められます。さらに、気候変動が中・長期的にジャガイモの収穫量に影響を与える可能性も高いことから、多雨や高温に耐える品種の開発が重要です。

これらの問題に対応するため、リビア国内の農業政策だけでなく地域間の協調が鍵となります。特に地中海諸国や国際機関との連携を強化し、技術移転や資金提供を受けることで、長期的な持続可能な生産体制を構築することが望ましいと言えます。また、これに加えてジャガイモを含む他の主要農作物の輸出拡大を通じて経済の多様化を図ることが、国内の経済基盤の強化に寄与するでしょう。

今後、より安定的で持続可能なジャガイモ生産を目指し、農業技術のイノベーションと国家レベルでの政策支援、さらには地域間協力の強化という三方策が必要です。これにより、さらなる生産量向上を実現し、リビアの農業自給率や経済安定に大きく寄与することが予測されます。