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リビアのヤギ肉生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した2024年7月更新のデータによると、リビアにおけるヤギ肉の生産量は長期的には右肩上がりの傾向を示していますが、中期的な変動や、近年の減退が目立っています。特に1970年代後半から安定した成長を遂げたヤギ肉生産は、2003年以降急激な増加を経験しました。しかし、2016年以降は減少が見られ、2020年以降はさらに減少傾向が顕著になっています。直近の2023年では11,159トンの生産量に留まっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 11,159
1.18% ↑
2022年 11,028
1.75% ↑
2021年 10,838
-3.65% ↓
2020年 11,249
-6.27% ↓
2019年 12,001
-0.78% ↓
2018年 12,095
0.81% ↑
2017年 11,998
-1.12% ↓
2016年 12,134
-1.74% ↓
2015年 12,348
-2.79% ↓
2014年 12,702
-3.77% ↓
2013年 13,200
2.33% ↑
2012年 12,900
1.18% ↑
2011年 12,750
-1.73% ↓
2010年 12,975
4.22% ↑
2009年 12,450
5.06% ↑
2008年 11,850
-0.42% ↓
2007年 11,900
0.42% ↑
2006年 11,850
8.22% ↑
2005年 10,950
8.96% ↑
2004年 10,050
15.52% ↑
2003年 8,700
28.89% ↑
2002年 6,750
14.29% ↑
2001年 5,906
-1.57% ↓
2000年 6,000
-14.93% ↓
1999年 7,053
-4.98% ↓
1998年 7,423
1.82% ↑
1997年 7,290
4.71% ↑
1996年 6,962
4.28% ↑
1995年 6,676
11.83% ↑
1994年 5,970
-1.73% ↓
1993年 6,075
-2.41% ↓
1992年 6,225
9.21% ↑
1991年 5,700
8.57% ↑
1990年 5,250
6.06% ↑
1989年 4,950
6.45% ↑
1988年 4,650
3.33% ↑
1987年 4,500
7.14% ↑
1986年 4,200
-3.45% ↓
1985年 4,350
-20.33% ↓
1984年 5,460
-3.19% ↓
1983年 5,640
4.44% ↑
1982年 5,400
4.65% ↑
1981年 5,160
2.18% ↑
1980年 5,050
1% ↑
1979年 5,000
-9.09% ↓
1978年 5,500
10% ↑
1977年 5,000
-24.24% ↓
1976年 6,600
10% ↑
1975年 6,000
24.82% ↑
1974年 4,807
1.8% ↑
1973年 4,722
1.14% ↑
1972年 4,669
14.55% ↑
1971年 4,076
-16.7% ↓
1970年 4,893
21.08% ↑
1969年 4,041
5.95% ↑
1968年 3,814
21.27% ↑
1967年 3,145
-18.8% ↓
1966年 3,873
8.67% ↑
1965年 3,564
31.61% ↑
1964年 2,708
1.73% ↑
1963年 2,662
2.82% ↑
1962年 2,589
2.41% ↑
1961年 2,528 -

リビアのヤギ肉生産量の推移を見ると、初期の1960年代から安定して増加を続け、特に1970年以降は一時的な減退を伴いながらも全体的には上昇傾向を維持してきました。ただし、この長期的な成長にはいくつかの注意すべき変動が含まれており、それがリビアの農業や畜産業の特徴を物語っています。例えば、1975年から1976年にかけての急増、1980年代中頃の一時的な停滞、そして2000年代後半から2010年代前半に見られる急成長などが確認されます。2004年には初めて10,000トンを超え、それ以降の数年間は堅調な伸びを見せました。しかし、2016年以降の生産量の減退、特に2020年代の低迷は、リビアの地政学的・社会的な課題を反映しています。

リビアのヤギ肉生産量は、その地理的な条件と伝統的な農牧業に密接に関連しています。リビアのヤギ飼育は主に乾燥地でも飼育可能なヤギの生態的特性を利用したものであり、遊牧民や小規模農家にとっては重要な生計手段となっています。しかし、2020年代以降の生産量の減少傾向を見ると、地政学的なリスクや経済的要因、さらには気候変動の影響が深刻な課題として浮かび上がってきます。リビアは2011年以降、政情不安と内戦に見舞われており、この混乱が農牧業の基盤を脆弱化させました。また、気候変動により乾燥化が進行しており、ヤギに必要な飼料や水の供給も困難さを増しています。

さらに、新型コロナウイルス感染症の影響も無視できません。世界的な物流停滞による飼料輸入の遅延や、地域間の取引の減少が、リビアのヤギ飼育業者に打撃を与えました。また、2020年以降のデータを見ると、新型コロナウイルスによる経済的影響や紛争の影響を整理しきれない部分が残されていることがわかります。

このような現状を踏まえると、リビアのヤギ肉生産においていくつかの具体的な対応が必要となります。一つ目は、持続可能な飼料供給の仕組みづくりです。これには、国内生産の強化や、地域間での協力体制の構築が欠かせません。二つ目は、地政学的リスクへの対応として、安定した社会インフラの構築に向けた国際協力が非常に重要です。三つ目は、気候変動に対処するための気候適応型農業技術の導入です。例えば、耐乾燥性の高い牧草を導入する試みや、節水技術を活用した効率的な水利用などが期待されます。

また、長期的な視点で見ると、教育や資金支援を通じて、ヤギ飼育を1次生産から2次・3次産業に繋げるような付加価値型の生産体制の確立が考えられます。例えば、ヤギ乳製品の加工や輸出などを視野に入れることで、国際市場からの収入を増やし、地域の経済基盤を強化することが可能です。

リビアのヤギ肉生産量のデータは、単なる生産量の推移を示すだけでなく、農牧業セクターを取り巻く多様な課題とそれらに対する対策の重要性を示唆しています。将来的な農業政策と国際協力の枠組みによって、安定性を取り戻し、さらに持続可能な成長を遂げることが期待されます。