Skip to main content

リビアのキュウリ類生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、リビアのキュウリ類生産量は、1960年代から緩やかに増加し、1980年代に急激な拡大を見せた後、1995年を境に大きな減少へと転じました。1999年には28,080トンというピークに達しましたが、その後は不安定な傾向が続き、近年では減少傾向が顕著です。2023年には6,828トンと、これは1960年代水準に近い水準まで落ち込んでいます。この背景には、地政学的リスクや経済的課題、気候変動に加え、国内のインフラの未整備など複合的な要因が影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 6,828
-4.69% ↓
2022年 7,164
-25.31% ↓
2021年 9,592
11.53% ↑
2020年 8,600
16.06% ↑
2019年 7,410
-0.27% ↓
2018年 7,430
-14.3% ↓
2017年 8,670
-2.09% ↓
2016年 8,854
12.3% ↑
2015年 7,884
-14.95% ↓
2014年 9,270
-1.47% ↓
2013年 9,408
-0.2% ↓
2012年 9,428
-2.77% ↓
2011年 9,696
-20.8% ↓
2010年 12,242
0.17% ↑
2009年 12,221
1.84% ↑
2008年 12,000 -
2007年 12,000 -
2006年 12,000 -
2005年 12,000
9.09% ↑
2004年 11,000
2.06% ↑
2003年 10,778
7.78% ↑
2002年 10,000
-4.76% ↓
2001年 10,500
-52.27% ↓
2000年 22,000
-21.65% ↓
1999年 28,080
87.2% ↑
1998年 15,000
50% ↑
1997年 10,000
66.67% ↑
1996年 6,000
9.09% ↑
1995年 5,500
-45% ↓
1994年 10,000
-23.08% ↓
1993年 13,000
-18.75% ↓
1992年 16,000
-11.11% ↓
1991年 18,000
-18.18% ↓
1990年 22,000
15.79% ↑
1989年 19,000
18.75% ↑
1988年 16,000
23.08% ↑
1987年 13,000
30% ↑
1986年 10,000
42.86% ↑
1985年 7,000
75% ↑
1984年 4,000
33.33% ↑
1983年 3,000
50% ↑
1982年 2,000
33.33% ↑
1981年 1,500
36.36% ↑
1980年 1,100
15.18% ↑
1979年 955
-0.52% ↓
1978年 960
-3.71% ↓
1977年 997
4.95% ↑
1976年 950
1.5% ↑
1975年 936
7.22% ↑
1974年 873
-20.92% ↓
1973年 1,104
33.01% ↑
1972年 830
21.17% ↑
1971年 685
71.25% ↑
1970年 400 -
1969年 400 -
1968年 400
14.29% ↑
1967年 350
16.67% ↑
1966年 300 -
1965年 300 -
1964年 300 -
1963年 300
25% ↑
1962年 240
-17.24% ↓
1961年 290 -

リビアのキュウリ類生産量推移は、同国の農業生産の変遷や国の情勢を示す重要な指標となっています。1960年代に290トンで始まった生産量は、1970年代半ばから着実に増加し、1985年には7,000トンへと成長しました。この飛躍的な増加は、同時期における農業技術の改善や灌漑インフラの整備政策が寄与したと推定されます。さらに、石油収益を活用した国家規模の農業振興プログラムが影響した可能性も高いです。

1980年代後半には急激に伸び続け、1999年には28,080トンというピークを記録しました。しかし、それ以降は減少に転じ、特に1995年以降は急速な低下が目立ちます。この減少は複数の要因と関連しています。地政学的な背景としては、1990年代の経済制裁や2000年代の政情不安、それに伴うインフラの老朽化や資金の減少が農業生産に直結したと考えられます。また、リビアは乾燥地帯に位置しており、気候変動の影響が大きく、降水量の減少や地下水の枯渇が農業全般に悪影響を及ぼしました。

2011年のアラブの春以降、リビア国内はさらなる政治的不安定に見舞われました。この時期、キュウリ類の生産量は2011年の9,696トンから継続的に低下し、2023年には最も低い6,828トンにまで落ち込みました。このような長期的な低迷は、新型コロナウイルス感染症の流行や紛争による労働力の不足、農業生産ラインの停止が追い打ちをかけたと考えられます。

リビアのキュウリ類生産量の回復と農業全般の持続可能性を考える上で、いくつかの課題と提案があります。まず、国内政治の安定を図り、インフラの整備を優先事項とすることが求められます。特に灌漑ネットワークの再整備や、水効率の良い農業手法を導入することが鍵となります。また、国際的な協力を通じて、気候変動への対応策や最新技術の導入を進めるべきです。他国の事例として、イスラエルの乾燥地域での農業成功例や、ドイツの持続可能な農業モデルには多くの学びがあります。リビアはこれらの成功事例を取り入れることで、生産性を改善するチャンスがあります。

さらに、農業政策の一環として、地域の連携と輸出の活性化を支援する仕組みが欠かせません。輸出の安定化は地域の経済発展に寄与し、国内市場だけでなく周辺諸国との貿易の強化にもつながります。具体的な例として、北アフリカ・中東地域での国際的な農業支援プログラムに参加することが挙げられます。

結論として、リビアのキュウリ生産量の推移は、単なる農業統計以上に、国の経済情勢、社会的課題、地政学的リスクを反映したデータといえます。この統計を基に持続可能な農業モデルを構築することは、リビアの未来を切り開く重要な鍵となるでしょう。

キーワード検索