国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に発表したデータによると、リビアにおいてカリフラワーとブロッコリーの生産量は1961年の300トンからスタートし、2023年には7,768トンに達しました。生産量は特に1980年代から着実に拡大し、一時的な停滞を挟みながらも、2010年代に再び増加傾向を示しました。しかし、近年の生産量は横ばいであり、持続的な成長の確保が課題となっています。
リビアのカリフラワー・ブロッコリー生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 7,768 |
0.6% ↑
|
2022年 | 7,721 |
0.49% ↑
|
2021年 | 7,683 |
-0.73% ↓
|
2020年 | 7,740 |
-2.76% ↓
|
2019年 | 7,960 |
2.98% ↑
|
2018年 | 7,730 |
-2.57% ↓
|
2017年 | 7,934 |
1.51% ↑
|
2016年 | 7,816 |
13.32% ↑
|
2015年 | 6,897 |
-20.92% ↓
|
2014年 | 8,721 |
11.4% ↑
|
2013年 | 7,828 |
11.83% ↑
|
2012年 | 7,000 |
19.32% ↑
|
2011年 | 5,867 |
17.33% ↑
|
2010年 | 5,000 |
11.11% ↑
|
2009年 | 4,500 |
12.5% ↑
|
2008年 | 4,000 | - |
2007年 | 4,000 | - |
2006年 | 4,000 |
-4.76% ↓
|
2005年 | 4,200 |
-4.55% ↓
|
2004年 | 4,400 |
-2.48% ↓
|
2003年 | 4,512 |
-1.91% ↓
|
2002年 | 4,600 |
1.07% ↑
|
2001年 | 4,551 |
1.14% ↑
|
2000年 | 4,500 |
2.27% ↑
|
1999年 | 4,400 |
2.33% ↑
|
1998年 | 4,300 |
2.38% ↑
|
1997年 | 4,200 |
2.44% ↑
|
1996年 | 4,100 |
0.49% ↑
|
1995年 | 4,080 |
0.74% ↑
|
1994年 | 4,050 |
1.25% ↑
|
1993年 | 4,000 |
-9.09% ↓
|
1992年 | 4,400 |
-4.35% ↓
|
1991年 | 4,600 |
0.88% ↑
|
1990年 | 4,560 |
8.96% ↑
|
1989年 | 4,185 |
7.31% ↑
|
1988年 | 3,900 |
2.63% ↑
|
1987年 | 3,800 |
5.56% ↑
|
1986年 | 3,600 |
5.88% ↑
|
1985年 | 3,400 |
13.33% ↑
|
1984年 | 3,000 |
15.38% ↑
|
1983年 | 2,600 |
8.33% ↑
|
1982年 | 2,400 |
20% ↑
|
1981年 | 2,000 |
33.33% ↑
|
1980年 | 1,500 |
50% ↑
|
1979年 | 1,000 |
54.8% ↑
|
1978年 | 646 |
-0.77% ↓
|
1977年 | 651 |
17.51% ↑
|
1976年 | 554 |
30.35% ↑
|
1975年 | 425 |
-9.38% ↓
|
1974年 | 469 |
43.87% ↑
|
1973年 | 326 |
46.19% ↑
|
1972年 | 223 |
9.85% ↑
|
1971年 | 203 |
-66.17% ↓
|
1970年 | 600 |
33.33% ↑
|
1969年 | 450 |
12.5% ↑
|
1968年 | 400 |
14.29% ↑
|
1967年 | 350 |
16.67% ↑
|
1966年 | 300 | - |
1965年 | 300 | - |
1964年 | 300 |
50% ↑
|
1963年 | 200 |
-47.37% ↓
|
1962年 | 380 |
26.67% ↑
|
1961年 | 300 | - |
リビアのカリフラワー・ブロッコリー生産量の推移を見ると、初期の1960年代には年間300~400トン程度と小規模でした。この背景には、農業技術の未発達や灌漑設備の不足、他の作物への重点配分などがあると考えられます。しかし、1970年代後半から1980年代にかけて、リビア政府が農業に対する投資を増やしたこと、特に灌漑システムの導入や専門的な農業教育の普及が生産量の拡大に寄与しました。この時期に生産量は急激に伸び、1980年代末には4,000トンを超えました。
1990年代以降生産量は緩やかな増加傾向を保ちましたが、2000年代後半には一時的に停滞しました。これは内戦の影響や地政学的リスクに起因すると考えられます。リビアでは2011年の政情不安以降、インフラの破壊や経済の混乱が農業分野にも深刻な影響を及ぼしましたが、同時に2011年以降の回復基調も見逃せません。特に2012年以降、生産量は再び増加し、2014年には過去最高の8,721トンに達しました。しかしその後のデータから見ると、2015年以降の生産量の変動幅は大きく、安定的な供給には至っていません。
このような動向の背景には、さまざまな要因が絡んでいます。一つに、リビアの農業における水資源の制約が挙げられます。リビアは降雨量が少なく、乾燥した気候が農業生産に大きな影響を与える国です。灌漑に使用される地下水も慢性的な減少傾向が見られるため、農業用水の効率的な利用が喫緊の課題です。また、地政学的リスクの影響も深刻であり、政情の安定に大きく依存する農業セクターは、逐次的な改善が必要です。
さらに近年では、気候変動の影響や新型コロナウイルス感染症による物流の停滞も、リビアの農業に新たな試練をもたらしています。このような課題を克服するためには、持続可能な農業への転換が重要です。具体的な対策として、例えば、水の効率的な利用を目的としたドリップ・イリゲーション技術の導入や、耐乾性に優れた品種の開発が挙げられます。また、農業分野における国際的なパートナーシップや技術支援を通じて、生産体制を補完・強化することも必要でしょう。
国際的な視点から見ると、リビアのカリフラワー・ブロッコリーの生産量は先進国と比較して依然として低い水準にとどまっています。例えば、中国やインドなどの主要生産国では年間の生産量が数百万トン以上に達する一方で、リビアはまだ1万トン未満の規模です。この差を埋めるためには、農業分野への投資のみならず、インフラ改善や地域間協力の強化が鍵となるでしょう。
結論として、リビアにおけるカリフラワー・ブロッコリー生産は着実な拡大が見られる一方で、長期的な成長を支えるためには多くの課題を克服する必要があります。政府主導の農業支援政策や水資源問題への対応のほか、国際社会からの資金援助や技術提供を受け入れることで、持続可能な農業基盤を構築できる可能性があります。このような取り組みにより、リビアの食料自給率向上や内需拡大といった中長期的な目標達成が期待されます。