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アメリカ合衆国の鶏卵生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)による最新データ(2024年7月更新)に基づくと、アメリカ合衆国の鶏卵生産量は1961年の約3,696,600トンから2023年の約6,529,000トンへと大きく増加しています。しかし、2019年をピークにやや減少している傾向も見られます。このデータは、鶏卵が同国の食品生産において重要な役割を持つことを示すと同時に、近年の成長鈍化の要因と課題を考察する必要性を訴えています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 6,529,000
0.01% ↑
2022年 6,528,357
-1.67% ↓
2021年 6,639,446
-0.29% ↓
2020年 6,658,784
-0.72% ↓
2019年 6,706,770
2.89% ↑
2018年 6,518,471
2.64% ↑
2017年 6,350,756
5.02% ↑
2016年 6,046,956
5.04% ↑
2015年 5,756,587
-3.64% ↓
2014年 5,974,000
3.39% ↑
2013年 5,778,000
3.38% ↑
2012年 5,589,000
2.08% ↑
2011年 5,475,000
0.7% ↑
2010年 5,437,000
1.17% ↑
2009年 5,374,000
0.56% ↑
2008年 5,344,000
-0.95% ↓
2007年 5,395,000
-0.75% ↓
2006年 5,436,000
1.61% ↑
2005年 5,350,000
1.27% ↑
2004年 5,283,000
1.93% ↑
2003年 5,183,000
0.31% ↑
2002年 5,167,000
1.33% ↑
2001年 5,099,000
1.63% ↑
2000年 5,017,000
2.14% ↑
1999年 4,912,000
3.96% ↑
1998年 4,725,000
2.9% ↑
1997年 4,592,000
1.53% ↑
1996年 4,523,000
2.15% ↑
1995年 4,428,000
1.17% ↑
1994年 4,377,000
2.75% ↑
1993年 4,260,000
1.67% ↑
1992年 4,190,000
1.85% ↑
1991年 4,114,000
1.98% ↑
1990年 4,034,000
0.93% ↑
1989年 3,997,000
-1.77% ↓
1988年 4,069,000
-0.98% ↓
1987年 4,109,300
1.81% ↑
1986年 4,036,300
0.67% ↑
1985年 4,009,400
0.62% ↑
1984年 3,984,700
-0.92% ↓
1983年 4,021,700
-2.46% ↓
1982年 4,123,000
-0.39% ↓
1981年 4,139,200
0.32% ↑
1980年 4,126,100
1.05% ↑
1979年 4,083,300
3.05% ↑
1978年 3,962,300
3.96% ↑
1977年 3,811,500
0.14% ↑
1976年 3,806,000
-0.18% ↓
1975年 3,812,900
-1.75% ↓
1974年 3,880,700
-0.74% ↓
1973年 3,909,500
-4.18% ↓
1972年 4,080,100
-1.11% ↓
1971年 4,126,000
1.79% ↑
1970年 4,053,400
1.34% ↑
1969年 3,999,900
-0.9% ↓
1968年 4,036,150
-1.69% ↓
1967年 4,105,500
4.71% ↑
1966年 3,920,700
0.99% ↑
1965年 3,882,300
0.53% ↑
1964年 3,861,900
2.7% ↑
1963年 3,760,400
-0.11% ↓
1962年 3,764,400
1.83% ↑
1961年 3,696,600 -

アメリカ合衆国の鶏卵生産量は、1960年代から現在に至るまで安定的に成長を続けてきました。特に1970年代から2000年代初頭にかけては緩やかな拡大が見られ、その後2010年代に入り急速な上昇を経験しました。生産量が最も多かったのは2019年の6,706,770トンですが、それ以降、一部の年度では減少が見られる点が注目されます。近年の減少には、パンデミックの影響や、2022年・2023年における鳥インフルエンザの流行、中長期的な環境問題への配慮からの生産調整が寄与している可能性があります。

鶏卵生産の背景には、国内の豊かな農業資源と、畜産・家禽業における効率的な生産体制が整備されていることが挙げられます。アメリカは世界でも鶏卵生産の主要国の一つであり、国内消費のみならず、輸出においても重要な役割を果たしています。特に、日本やメキシコなどの国々がアメリカの鶏卵を輸入する主要パートナーです。鶏卵は高タンパク低脂肪の食品であるため、健康志向の高まりから需要が安定しています。それに伴い、生産の増加も長期的には一定の伸びを維持しているといえます。

一方で、近年の生産量減少は改善すべき課題を浮き彫りにしています。例えば、新型コロナウイルスの流行下での労働力不足や輸送制約はサプライチェーンに影響を与えました。また、鳥インフルエンザの被害は多くの養鶏場において致命的な損害を与え、生産量全体にも影響を及ぼしました。高病原性鳥インフルエンザの流行は、今後も鶏卵産業を取り巻く大きなリスク要因として認識されています。

さらに、気候変動問題も養鶏業に間接的な影響を与えています。極端な気象条件は鶏の健康や生産効率に悪影響を及ぼし、飼料供給や資源利用にも課題を生じさせています。また、アメリカ国内では動物福祉を重視した生産方法への移行が進んでおり、ケージフリー(平飼い)や放し飼いの広がりは生産費用の増加要因となっています。

これらの課題に対処するためには、いくつかの具体的な対策が必要です。まず、鳥インフルエンザなどの疫病リスクに対応するため、衛生対策の強化やワクチンの普及を推進することが重要です。次に、生産の持続可能性を向上させるため、再生可能エネルギーの活用や飼料廃棄物の削減を目指した新たな農業技術の導入が有効です。また、輸出市場の多様化も必要です。これにより、地政学的リスクへの依存を軽減し、安定した経済的基盤を築くことが可能となります。

国際的な視点では、アメリカの鶏卵生産量は中国(世界最大の生産国)の莫大な生産量には及ばないものの、日本や韓国、ヨーロッパ諸国と比較して依然として上位に位置しています。ただし、持続可能な農業を追求するトレンドが今後一層強まる中、環境規制の強化や消費者意識の変化に適応できる生産体制を構築し続けることが求められます。地域間協力の枠組みを通じて情報や技術を共有することも、生産量の安定と環境保全を両立する上で有益です。

結論として、アメリカの鶏卵生産は今後も国内外の需要を満たしつつ、現代的な課題に対応した成長を目指すべき段階にあります。政府や関係機関、さらには民間セクターの協力による政策立案や技術導入が、産業全体の安定的発展に向けた鍵を握っています。