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アメリカ合衆国のショウガ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、アメリカ合衆国のショウガ生産量は、1985年以降の約40年間で大きな変動を経験しています。1989年以降、増加と減少を繰り返しながら、一時は年間8,165トン(2001年)に達するピークを記録しました。しかし、2000年代後半以降、生産量は急減し、それ以降は600トン台で硬直した状況が続いています。2023年の生産量は662トンと、過去のピークと比較すると著しく低い水準です。その主な要因として、自然災害、地球温暖化、国際市場の競争、植栽面積の減少などが指摘されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 662
-0.3% ↓
2022年 664
0.7% ↑
2021年 659
-0.48% ↓
2020年 662
-1.11% ↓
2019年 670
3.78% ↑
2018年 645
-3.94% ↓
2017年 672
-2.92% ↓
2016年 692
3.64% ↑
2015年 668
1.84% ↑
2014年 656
-5.92% ↓
2013年 697
-5.75% ↓
2012年 740
-11.59% ↓
2011年 837
0.42% ↑
2010年 833
2.1% ↑
2009年 816 -
2008年 816
-35.75% ↓
2007年 1,270
-34.87% ↓
2006年 1,950
-15.69% ↓
2005年 2,313
-15.03% ↓
2004年 2,722 -
2003年 2,722
-58.33% ↓
2002年 6,532
-20% ↓
2001年 8,165
33.35% ↑
2000年 6,123
-16.12% ↓
1999年 7,300
-10.54% ↓
1998年 8,160
48.63% ↑
1997年 5,490
28.87% ↑
1996年 4,260
61.98% ↑
1995年 2,630
-3.31% ↓
1994年 2,720
-39.42% ↓
1993年 4,490
-14.64% ↓
1992年 5,260
-3.36% ↓
1991年 5,443
26.29% ↑
1990年 4,310
5.64% ↑
1989年 4,080
16.57% ↑
1988年 3,500 -
1987年 3,500 -
1986年 3,500 -
1985年 3,500 -

アメリカ合衆国のショウガ生産量は、長期間にわたり波乱に満ちた変遷をたどっています。1985年から1990年代初頭にかけては安定した成長が見られ、生産量は3,500トンから5,443トンまで増加しました。この成長期には、アメリカ国内での需要増加と沖縄やハワイの温暖な気候を利用した農業手法が拡大の要因として挙げられます。しかし、1993年以降からは減少傾向が顕著となり、1994年には2,720トンまで落ち込む局面を迎えました。この時期の減少については、天候不順や農地の用途転換が影響している可能性があります。

1997年以降の増加局面では、ショウガ製品の加工技術の向上や輸出需要の高まりが背景にありました。この結果、1998年および2001年には、それぞれ8,160トンと8,165トンという過去最大の生産量を記録しました。しかし2000年代後半にかけて、アメリカのショウガ生産の環境は大きく悪化します。2003年から2008年の数年間、生産量は2,000トン未満となり、それ以降の生産量も依然として低水準で推移しています。800トン未満で推移する2010年台前半を経て、2015年以降はわずかに回復の兆しを見せたものの、近年では毎年およそ650トン程度で停滞しています。

この長期間にわたる低迷の背後には、主に2つの要因が挙げられます。ひとつは、競争力のあるショウガ輸入の増加です。インドや中国など、低コストで大量生産を可能にする国々からの輸入増加により、アメリカ国内のショウガ生産者は市場での競争が難しくなっています。もうひとつは気候変動の影響です。ショウガの生産には適度な雨量と温度が必要ですが、近年の異常気象や災害の頻発がこれに適さない環境をもたらしているのです。

また、国内での農地利用の変化も課題のひとつです。ショウガを生産する農地が他の高収益作物や住宅地として転用されるケースが増加し、全体的な生産能力が低下しています。この点は特に、地価が高騰するカリフォルニアやハワイにおいて顕著です。さらには、生鮮ショウガの労働集約的な栽培過程が若い農業従事者層に敬遠され、人材不足を招いている側面も見逃せません。

現状を改善するためには、いくつかの具体的な対策が必要です。まず、国内ショウガ農業への資金や技術支援の拡充が挙げられます。これには、被災時の保険提供、土壌改良技術の普及、効率的な灌漑システムへの補助などが含まれます。また品種改良への投資により、気候の変化に強いショウガ作物を開発することが急務です。次に、地元市場や消費者団体と連携して、国内産ショウガの特長やメリットをPRし、地域経済を活性化させることが効果的です。さらに、輸入ショウガとの競争に対応するため、アジア市場への輸出路線確立や外貨収入を見込んだ高付加価値製品の開発も重要です。

アメリカ合衆国のショウガ生産量が長期的に低迷している現状を踏まえ、新型コロナや極端な気候変動、貿易問題など多面的な課題に対応する持続可能な農業政策が必要です。国際的な研究機関や企業と協力し、多様な気象リスクに対応できる作物モデルを構築することが、未来に向けた鍵となるでしょう。

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