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アメリカ合衆国のオート麦生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、アメリカ合衆国のオート麦(オーツ)生産量は長期間にわたり大きな減少傾向を示しています。1961年には約1,466万トンを記録していたものの、2023年には82.8万トンまで激減しています。この期間の生産量は約94%減少しており、特に1980年代以降に生産量が急激に落ち込んでいます。一方で、近年のデータでは生産量にやや安定傾向が見られるものの、他国との競争や気候変動の影響などに直面している現状が浮き彫りになっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 828,010
-1.06% ↓
2022年 836,860
44.73% ↑
2021年 578,220
-39.36% ↓
2020年 953,550
23.35% ↑
2019年 773,040
-5.12% ↓
2018年 814,720
13.2% ↑
2017年 719,720
-23.28% ↓
2016年 938,070
-27.82% ↓
2015年 1,299,600
27.49% ↑
2014年 1,019,410
8.65% ↑
2013年 938,280
5.13% ↑
2012年 892,470
22.66% ↑
2011年 727,580
-38.76% ↓
2010年 1,188,140
-10.09% ↓
2009年 1,321,490
1.1% ↑
2008年 1,307,090
-0.42% ↓
2007年 1,312,590
-3.31% ↓
2006年 1,357,470
-18.58% ↓
2005年 1,667,170
-0.72% ↓
2004年 1,679,310
-19.87% ↓
2003年 2,095,710
24.47% ↑
2002年 1,683,760
-1.36% ↓
2001年 1,706,990
-21.16% ↓
2000年 2,165,120
2.43% ↑
1999年 2,113,780
-12.15% ↓
1998年 2,406,120
-0.88% ↓
1997年 2,427,570
9.14% ↑
1996年 2,224,350
-4.87% ↓
1995年 2,338,270
-29.61% ↓
1994年 3,321,660
10.7% ↑
1993年 3,000,690
-29.74% ↓
1992年 4,270,720
20.66% ↑
1991年 3,539,490
-31.79% ↓
1990年 5,189,000
-4.31% ↓
1989年 5,423,000
71.72% ↑
1988年 3,158,000
-41.78% ↓
1987年 5,424,400
-2.93% ↓
1986年 5,588,000
-25.75% ↓
1985年 7,526,000
9.47% ↑
1984年 6,875,200
-0.59% ↓
1983年 6,916,000
-19.6% ↓
1982年 8,602,000
16.31% ↑
1981年 7,395,810
11.06% ↑
1980年 6,659,370
-12.9% ↓
1979年 7,645,730
-9.44% ↓
1978年 8,442,730
-22.73% ↓
1977年 10,926,515
39.29% ↑
1976年 7,844,501
-15.42% ↓
1975年 9,274,504
6.38% ↑
1974年 8,718,507
-8.88% ↓
1973年 9,567,725
-4.56% ↓
1972年 10,024,509
-21.35% ↓
1971年 12,745,488
-4.06% ↓
1970年 13,284,977
-5.24% ↓
1969年 14,019,719
1.59% ↑
1968年 13,799,930
19.76% ↑
1967年 11,522,678
-1.18% ↓
1966年 11,660,712
-13.58% ↓
1965年 13,493,086
9.07% ↑
1964年 12,371,054
-11.73% ↓
1963年 14,015,000
-4.61% ↓
1962年 14,693,000
0.19% ↑
1961年 14,665,374 -

アメリカ合衆国のオート麦生産量推移データを分析すると、一貫した減少傾向がみられ、特に1970年代後半から1980年代にかけて生産量が急激に減ったことが分かります。この理由として、まず第一に、オート麦の農業収益性の低下が挙げられます。農地の利用がより収益性の高いトウモロコシや大豆などの作物へとシフトした結果、オート麦が農業経済において後退したことが背景にあります。また、消費構造の変化も要因の一つで、アメリカ国内でオート麦の消費が他の穀物に比べて減少していったとも考えられます。

さらに、1970年代以降、農業政策の転換や輸出市場の競争が激化したことにも注目すべきです。カナダやロシア、欧州連合(EU)加盟国などが高品質なオート麦を安価に供給し、国際市場でのアメリカの競争力が低下したとされています。気候変動の影響も無視できません。オート麦は比較的涼しい気候に適している作物であるため、地球温暖化や乾燥化が進む中で生産条件が悪化した可能性があります。

近年を振り返ると、2020年には一時的に95.3万トンの増加が見られましたが、これは異常気象などの短期的な生産条件の変化によるものである可能性があります。2023年には82.8万トンを記録しており、依然として低水準に留まっています。この状況は、アメリカのオート麦生産産業が依然として課題を抱えていることを示唆しています。

この減少傾向がもたらす影響は広範囲に及びます。国内供給が限られれば、オート麦を原料とする製品の価格上昇や輸入依存の増加につながる可能性があります。国際市場でも、自国生産量の低下は輸出競争力の喪失に直結し、農業貿易収支の悪化を招く可能性があります。

この現状を踏まえ、アメリカのオート麦生産を復調させるためにはいくつかの具体的な対策が考えられます。第一に、持続可能な農業技術の導入や気候変動に強いオート麦品種の開発が急務です。例えば耐乾性や高温に強い品種の育成は、生産条件の改善に資するでしょう。また、オート麦の消費喚起を目的としてその健康面での利点をプロモーションすることも有効です。オート麦は食物繊維が豊富で健康志向の消費者に訴求力のある作物であるため、食品産業とも連携したマーケティング戦略が重要です。

さらに、国内農家を支援するための経済的なインセンティブや補助金制度の拡充も求められます。競合国と同等程度のコスト競争力を確保することが、国際市場でのシェア回復に向けた第一歩となるでしょう。同時に、トウモロコシや大豆との農地競合を緩和するための作付け指導や政策的枠組みも必要です。

結論として、アメリカ合衆国のオート麦生産量の低迷は地政学的リスクや気候的条件、農業政策の変化など複数の要因が絡み合った結果といえます。これらを克服するためには、国単位での政策立案に加えて、国際的な枠組みの中で技術移転や気候対策を推進することが重要です。また、食料供給や農業の持続可能性を重視した包括的な対策を講じることで、オート麦生産量の回復と、国内需要とのバランスを取ることが可能となるでしょう。