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アメリカ合衆国のさくらんぼ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年に更新したアメリカ合衆国のさくらんぼ生産量のデータによると、同国のさくらんぼ生産は1961年から2023年まで大きな変動を見せています。特に、2006年以降、年間生産量は20万トンを超える規模に達し、2009年と2017年には40万トン近くとなるピークを記録しています。しかし、近年は変動が激しく、2022年には約21万トンと大幅に減少したものの、2023年には再び約32万トンに増加しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 321,420
52.92% ↑
2022年 210,190
-39.2% ↓
2021年 345,730
17.22% ↑
2020年 294,930
-7.8% ↓
2019年 319,870
2.38% ↑
2018年 312,430
-21.29% ↓
2017年 396,940
25.83% ↑
2016年 315,454
2.76% ↑
2015年 306,991
-6.93% ↓
2014年 329,852
9.48% ↑
2013年 301,276
-21.67% ↓
2012年 384,647
26.79% ↑
2011年 303,377
6.77% ↑
2010年 284,148
-29.28% ↓
2009年 401,792
78.52% ↑
2008年 225,073
-20.15% ↓
2007年 281,862
5.82% ↑
2006年 266,349
17.07% ↑
2005年 227,522
-11.41% ↓
2004年 256,824
59.67% ↑
2003年 160,844
-2.26% ↓
2002年 164,564
-21.27% ↓
2001年 209,010
12.94% ↑
2000年 185,070
-5.6% ↓
1999年 196,042
9.75% ↑
1998年 178,624
-12.87% ↓
1997年 205,000
46.64% ↑
1996年 139,800
-6.89% ↓
1995年 150,140
-20.16% ↓
1994年 188,060
22.96% ↑
1993年 152,950
-17.9% ↓
1992年 186,300
38.2% ↑
1991年 134,800
-5.19% ↓
1990年 142,180
-18.75% ↓
1989年 175,000
3.73% ↑
1988年 168,700
-13.49% ↓
1987年 195,000
56% ↑
1986年 125,000
3.99% ↑
1985年 120,200
-27.12% ↓
1984年 164,930
0.33% ↑
1983年 164,380
15.7% ↑
1982年 142,070
1.33% ↑
1981年 140,200
-9.99% ↓
1980年 155,760
-5.66% ↓
1979年 165,110
16.07% ↑
1978年 142,250
5.31% ↑
1977年 135,079
-13.88% ↓
1976年 156,851
10.9% ↑
1975年 141,429
6.07% ↑
1974年 133,337
-7.34% ↓
1973年 143,906
65.15% ↑
1972年 87,135
-32.02% ↓
1971年 128,176
15.57% ↑
1970年 110,912
-4.71% ↓
1969年 116,400
41.17% ↑
1968年 82,453
-17.49% ↓
1967年 99,929
-4.96% ↓
1966年 105,142
32.28% ↑
1965年 79,487
-26.7% ↓
1964年 108,435
70.27% ↑
1963年 63,684
-36.64% ↓
1962年 100,516
7.83% ↑
1961年 93,213 -

アメリカ合衆国のさくらんぼ生産量データを見ると、1960年代から1970年代初頭にかけて、10万トン前後を推移する時期が続きますが、その後徐々に上昇する傾向が見られます。1980年代後半になると、年による増減幅が顕著になり、1990年代以降、一部の年に大幅な増加が見られることが特徴的です。特に2000年以降では、20万トンを下回ることが稀となり、2009年の40万トン超えや2017年の約40万トンは、アメリカの生産能力が大きく拡大した時期を示しています。

この上昇傾向の背景としては、まず生育技術の進化や、灌漑技術の改良、さらには輸出市場の拡大が挙げられます。アメリカの主産地であるワシントン州、オレゴン州、カリフォルニア州などは、気候条件やインフラが整っており、特に国外市場向けの生産に重きを置いて効率化を図ってきました。さくらんぼは輸送にデリケートな作物であるため、収穫期や輸送技術の最適化が、これらの生産量向上に寄与していると考えられます。

一方で、近年のデータからは、毎年の生産量の変動が大きく、安定性に課題があることが示唆されます。例えば、2009年と2017年の多収穫年に対し、2022年の約21万トンという低収穫は、天候不順の影響があった可能性があります。さくらんぼは霜や高温による被害を受けやすい作物であり、気候変動により頻発する極端な気象現象が、生産量に影響を与えていると考えられます。また、2020年以降の世界的なパンデミックとその混乱により、労働力不足やサプライチェーンの分断が発生し、一部の年において収穫や輸送が計画的に行えない事態も影響していると推測されます。

これらの不安定性を克服するためには、いくつかの対策が必要です。第一に、生産を気候リスクに強くする技術的な進展が求められます。耐寒性の高い作物品種の開発や、災害に備えた農地管理の強化などが有効です。第二に、気候変動への全国規模での適応計画が必要です。たとえば、生産地域を拡大してリスクの分散を図ることや、農地作業を自動化して労働力の不足を補う仕組みを導入することが考えられます。最後に、輸出市場へのアクセスをさらに改善するため、輸送インフラと冷蔵技術の向上にも注力するべきです。

将来的には、地政学的リスクと生産動向の関連性を考えることも重要です。たとえば、主要市場であるアジア地域との貿易関係が緊張する場合、アメリカが国内市場に焦点を移す必要があるかもしれません。また、他の果物産業と競争が激化する可能性もあります。そのため、輸出マーケットの多様化と差別化戦略を進めることが、今後の経済的安定性につながるでしょう。

まとめると、アメリカ合衆国のさくらんぼ生産量は長期的には増加傾向にあるものの、近年の気候変動や外的リスクの影響により、変動が激しくなっているのが現状です。安定した供給を維持するためには、技術革新、政策支援、さらには市場での柔軟なアプローチが不可欠です。国際機関や地域政府との連携強化を通じて、農業全体の持続可能性を高めることが必要です。