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アメリカ合衆国のオリーブ油生産量推移(1961年~2021年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによれば、アメリカ合衆国のオリーブ油生産量は、長年にわたって変動を続けてきました。1961年には1,400トンだった生産量が、21世紀に入ってから大幅に拡大し、2016年以降は16,000トンで安定しています。特に2000年代後半から急激な増加を見せており、2013年には10,000トン、2015年には14,000トンに到達しました。近年は高い生産量を維持し、供給基盤をしっかりと確立した状況です。

年度 生産量(トン) 増減率
2021年 16,000 -
2020年 16,000 -
2019年 16,000 -
2018年 16,000 -
2017年 16,000
6.67% ↑
2016年 15,000
7.14% ↑
2015年 14,000
75% ↑
2014年 8,000
-20% ↓
2013年 10,000
72.41% ↑
2012年 5,800
38.1% ↑
2011年 4,200
27.27% ↑
2010年 3,300
10% ↑
2009年 3,000
20% ↑
2008年 2,500
150% ↑
2007年 1,000
-23.08% ↓
2006年 1,300
-31.58% ↓
2005年 1,900
18.75% ↑
2004年 1,600
60% ↑
2003年 1,000
25% ↑
2002年 800
100% ↑
2001年 400
-2.44% ↓
2000年 410
-40.15% ↓
1999年 685
22.32% ↑
1998年 560
14.29% ↑
1997年 490
-48.42% ↓
1996年 950
72.73% ↑
1995年 550
-8.33% ↓
1994年 600
-17.81% ↓
1993年 730
-5.81% ↓
1992年 775
216.33% ↑
1991年 245
-63.97% ↓
1990年 680
-9.33% ↓
1989年 750
82.93% ↑
1988年 410 -
1987年 410
-49.69% ↓
1986年 815
3.3% ↑
1985年 789
99.75% ↑
1984年 395
-29.21% ↓
1983年 558
-10.86% ↓
1982年 626
130.15% ↑
1981年 272
-42.86% ↓
1980年 476
118.35% ↑
1979年 218
-78.63% ↓
1978年 1,020
215.79% ↑
1977年 323
-37.88% ↓
1976年 520
-2.62% ↓
1975年 534
22.48% ↑
1974年 436
-27.93% ↓
1973年 605
517.35% ↑
1972年 98
-85.8% ↓
1971年 690
18.97% ↑
1970年 580
-35.56% ↓
1969年 900 -
1968年 900
296.48% ↑
1967年 227
-66.62% ↓
1966年 680
7.09% ↑
1965年 635
-42.27% ↓
1964年 1,100
-21.43% ↓
1963年 1,400
40% ↑
1962年 1,000
-28.57% ↓
1961年 1,400 -

アメリカ合衆国におけるオリーブ油生産は、長らく小規模にとどまっていましたが、近年著しい成長を遂げています。このデータでは、1961年から1980年代後半までの生産量はおおむね1,000トン未満の年が多く、一部の年では200トンを下回ることもありました。全体的に不安定な推移を見せており、これには栽培技術の成熟不足、需要の限定的な市場、そして気候的な制約などが影響していたと考えられます。

しかし、2000年代に入ると状況が変わり始めます。2004年の1,600トンを皮切りに、2008年には2,500トン、2011年には4,200トン、2013年には10,000トンと急激な成長を遂げました。この上昇の背景には、カリフォルニア州を中心としたオリーブ栽培プロジェクトの拡大が挙げられます。カリフォルニア州はアメリカ国内におけるオリーブ栽培の一大拠点となり、地中海性気候を生かした集中的な農業投資が功を奏しました。

特に2016年以降の16,000トンという安定的な生産量は、この産業が成熟期に入りつつあることを示しています。この間、アメリカは国内需要を一部補える生産基盤を築き、自国消費向けの高品質なオリーブ油を供給する能力を高めています。しかし、こうした成功の一方で、課題も残っています。

オリーブ油は主にヨーロッパや中東、北アフリカなど、地中海諸国で伝統的に生産されてきた農産物です。特にスペイン、イタリア、ギリシャが世界の主要生産国であり、現在でもこれらの国々が市場をリードしています。例えばスペインの年間生産量は150万トン以上におよび、アメリカの生産量はその1%にも満たないのが現状です。この比較からも、アメリカのオリーブ油産業がまだ発展の余地を十分に残していることがわかります。

さらに、課題としては気候変動の影響が挙げられます。オリーブの栽培には特定の気候条件が不可欠ですが、近年の異常気象や干ばつは栽培地域に深刻な影響を及ぼし、収穫量が変動する危険性があります。また、他国よりも生産コストが高いこと、労働力の確保が難しいことなども課題です。

このような状況を踏まえて、アメリカに求められる対策としては、まず栽培技術のさらなる向上が挙げられます。具体的には、耐乾燥性の高いオリーブ品種の開発や、効率的な灌漑管理の導入が必要です。また、国内の消費者に向けたマーケティング戦略を強化し、輸入品との差別化を図ることも重要です。同時に、地域間での協力を促進し、地中海諸国と技術交流を進めることで、生産スキルや品質管理の更なる改善に繋げることが考えられます。

結論として、アメリカ合衆国はオリーブ油の生産において近年大きな成功を収めましたが、地中海諸国との競争や地政学的な課題を考慮する必要があります。今後は、品質向上を目指した技術革新の継続、持続可能な栽培モデルの構築、そして国際マーケットへの参入強化が鍵を握るでしょう。この産業はまだ発展途上にあり、適切な投資と政策によりさらなる可能性を見出すことができると言えます。