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アメリカ合衆国のオレンジ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、アメリカ合衆国のオレンジ生産量は、1961年の4,583,450トンから1998年に12,401,000トンというピークを迎えた後、長期的に減少傾向にあります。2022年には3,148,840トンと記録的な低水準を示しています。この変動は、気候変動や疾病、経済的な要因など、複合的な要因によるものと考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,256,170
-28.35% ↓
2022年 3,148,840
-20.9% ↓
2021年 3,980,730
-16.48% ↓
2020年 4,766,350
-3.19% ↓
2019年 4,923,290
39.26% ↑
2018年 3,535,340
-23.41% ↓
2017年 4,615,760
-16.43% ↓
2016年 5,522,940
-4.17% ↓
2015年 5,763,340
-6.13% ↓
2014年 6,139,826
-18.14% ↓
2013年 7,500,604
-9.28% ↓
2012年 8,268,000
2.35% ↑
2011年 8,078,490
8.03% ↑
2010年 7,477,924
-9.7% ↓
2009年 8,280,780
-9.41% ↓
2008年 9,140,790
32.14% ↑
2007年 6,917,286
-15.3% ↓
2006年 8,166,480
-2.7% ↓
2005年 8,393,270
-28.12% ↓
2004年 11,677,285
11.49% ↑
2003年 10,473,451
-6.7% ↓
2002年 11,225,500
1.25% ↑
2001年 11,086,700
-5.97% ↓
2000年 11,790,680
32.3% ↑
1999年 8,912,180
-28.13% ↓
1998年 12,401,000
7.7% ↑
1997年 11,514,000
11.07% ↑
1996年 10,366,000
-0.05% ↓
1995年 10,371,000
10.68% ↑
1994年 9,370,000
-6.04% ↓
1993年 9,972,000
23.39% ↑
1992年 8,082,000
13.51% ↑
1991年 7,120,000
1.34% ↑
1990年 7,026,000
-13.45% ↓
1989年 8,118,000
4.65% ↑
1988年 7,757,000
11.1% ↑
1987年 6,982,000
2.95% ↑
1986年 6,782,000
11.27% ↑
1985年 6,095,000
-7.23% ↓
1984年 6,570,000
-23.91% ↓
1983年 8,635,000
25.24% ↑
1982年 6,895,000
-27.52% ↓
1981年 9,513,600
-11.37% ↓
1980年 10,733,810
29.17% ↑
1979年 8,309,810
-4.04% ↓
1978年 8,659,990
-9.48% ↓
1977年 9,567,170
0.51% ↑
1976年 9,519,000
2.42% ↑
1975年 9,294,059
9.15% ↑
1974年 8,514,791
-3.61% ↓
1973年 8,833,613
18.21% ↑
1972年 7,472,656
0.18% ↑
1971年 7,459,320
2.49% ↑
1970年 7,278,428
1.53% ↑
1969年 7,168,659
45.29% ↑
1968年 4,934,174
-31.38% ↓
1967年 7,190,068
31.99% ↑
1966年 5,447,640
15.93% ↑
1965年 4,698,890
32.64% ↑
1964年 3,542,530
-12.97% ↓
1963年 4,070,500
-25.72% ↓
1962年 5,480,200
19.56% ↑
1961年 4,583,450 -

アメリカ合衆国のオレンジ生産量推移を見ると、オレンジは長期間にわたり同国の農業部門で重要な役割を果たしてきたことがわかります。特に1960年代から1990年代にかけては、持続的な増加傾向が見られ、1998年には12,401,000トンを記録しました。この時期の増加は、カリフォルニアやフロリダといった主要生産地での効率的な栽培技術の発展および農業資源の集中に関連していると考えられます。

しかし、その後は長期的な減少が目立つようになります。2022年の生産量は3,148,840トンと、過去60年間で最低水準に達しました。この低下の原因には、いくつかの要因が影響している可能性があります。第一に、フロリダ州などでは、近年グリーング病(黄龍病)と呼ばれる柑橘類特有の疫病が広がり、樹木の寿命や収量を著しく減少させました。この病気により果樹の健康が損なわれ、生産効率が低下した状況が続いています。加えて、頻発するハリケーンなどの気象災害も、特に生産の中心地である南部地域に深刻な打撃を与えています。これらの災害による栽培地の破壊や長期間の停電は、生産量の大幅な減少を招きました。

また、農業労働力の不足や生産コストの増加も重要な課題です。農業従事者の高齢化に加え、移民政策の変更による労働力減少が、収穫作業の効率を大きく制約しています。さらに、気候変動の影響で雨量や気温が安定しない状況が続き、栽培環境の悪化も生産量減少の一因と考えられます。

他国との生産量比較では、アメリカはかつて世界のオレンジ生産で主要な役割を担っていましたが、現在ではブラジルや中国など他国に押され、その存在感が低下しています。たとえばブラジルは世界最大のオレンジ生産国として、多くの輸出市場を支配しています。一方、中国は国内市場向けに生産量を増やしており、地域別の需要に大きく応えています。このように、国際競争の激化もアメリカのオレンジ生産業の立場に影響を与えています。

未来に向け、アメリカ合衆国が取り組むべき課題として、まずはグリーング病を抑制するための研究開発投資の強化が挙げられます。生物学的防除法の技術開発や、病気に強い柑橘類の新種の開発の進展が期待されます。また、気候変動対策として、水資源管理や環境付加型の農業技術への転換を重視する必要があります。加えて、移民労働者の活用を進めるための政策緩和や、若者を農業分野に引き込むための教育と補助金制度の整備も重要です。

最終的に、アメリカがオレンジ生産国としての地位を維持するためには、地域間協力を促進する国際的な枠組みの構築が求められます。また、新型コロナウイルスや自然災害などの予期せぬ事態が生産に与える影響を軽減する、持続可能な供給チェーンの改善にも取り組む必要があります。これにより、アメリカ産オレンジの競争力を再び向上させることができるでしょう。