世界の羊肉生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国際連合食糧農業機関（FAO）の2024年7月更新のデータによると、2021年度の世界羊肉生産量ランキングで、中国が圧倒的な2,621,800トンで第1位を占めました。続いて、オーストラリアが662,973トン、ニュージーランドが441,947トンと、オセアニアの2カ国が上位を維持しています。一方、日本では211トンと生産量が非常に少なく、ランキングでは142位にとどまっています。このランキングは、農業や畜産業における各国の特徴、地政学的背景、経済発展段階、消費文化などを反映しているといえます。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	中国	アジア	2,621,800
2	オーストラリア	オセアニア	662,973
3	ニュージーランド	オセアニア	441,947
4	トルコ	アジア	385,933
5	アルジェリア	アフリカ	342,295
6	イギリス	ヨーロッパ	283,000
7	インド	アジア	278,481
8	スーダン	アフリカ	267,883
9	パキスタン	アジア	247,000
10	イラン（イスラム共和国）	アジア	238,135
11	チャド	アフリカ	206,076
12	ロシア連邦	ヨーロッパ	196,826
13	モロッコ	アフリカ	179,000
14	サウジアラビア	アジア	173,535
15	シリア・アラブ共和国	アジア	160,446
16	南アフリカ	アフリカ	156,000
17	カザフスタン	アジア	155,403
18	ウズベキスタン	アジア	153,633
19	ナイジェリア	アフリカ	148,236
20	モンゴル	アジア	143,035
21	トルクメニスタン	アジア	130,660
22	スペイン	ヨーロッパ	120,390
23	エチオピア	アフリカ	113,846
24	アフガニスタン	アジア	105,000
25	ブラジル	南アメリカ	102,060
26	アゼルバイジャン	アジア	87,647
27	フランス	ヨーロッパ	81,790
28	タジキスタン	アジア	79,246
29	キルギスタン	アジア	71,369
30	メキシコ	南アメリカ	65,845
31	アメリカ合衆国	北アメリカ	64,773
32	イエメン	アジア	63,877
33	ギリシャ	ヨーロッパ	63,780
34	アイルランド	ヨーロッパ	63,430
35	チュニジア	アフリカ	59,900
36	エジプト	アフリカ	54,000
37	ルーマニア	ヨーロッパ	53,560
38	クウェート	アジア	51,994
39	ケニア	アフリカ	50,842
40	インドネシア	アジア	50,702
41	イラク	アジア	46,893
42	アルゼンチン	南アメリカ	45,221
43	ソマリア	アフリカ	42,785
44	セネガル	アフリカ	41,402
45	イスラエル	アジア	39,374
46	モーリタニア	アフリカ	39,204
47	ドイツ	ヨーロッパ	33,360
48	ペルー	南アメリカ	33,259
49	ヨルダン	アジア	33,258
50	オマーン	アジア	32,485
51	タンザニア連合共和国	アフリカ	30,640
52	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	30,374
53	リビア	アフリカ	29,787
54	イタリア	ヨーロッパ	29,420
55	セルビア	ヨーロッパ	27,604
56	バーレーン	アジア	25,874
57	ガーナ	アフリカ	25,628
58	ベナン	アフリカ	25,437
59	ウルグアイ	南アメリカ	24,637
60	ノルウェー	ヨーロッパ	24,369
61	ブルキナファソ	アフリカ	23,279
62	ニジェール	アフリカ	18,824
63	南スーダン	アフリカ	17,824
64	カナダ	北アメリカ	16,560
65	カメルーン	アフリカ	16,432
66	キューバ	南アメリカ	16,300
67	ポルトガル	ヨーロッパ	15,930
68	アルバニア	ヨーロッパ	15,725
69	オランダ	ヨーロッパ	15,620
70	ギニア	アフリカ	11,568
71	パレスチナ国	アジア	11,437
72	アルメニア	アジア	10,800
73	コートジボワール	アフリカ	10,172
74	カタール	アジア	9,479
75	アイスランド	ヨーロッパ	9,388
76	ブルガリア	ヨーロッパ	8,690
77	チリ	南アメリカ	8,210
78	マリ	アフリカ	7,182
79	ウクライナ	ヨーロッパ	6,800
80	オーストリア	ヨーロッパ	6,750
81	エリトリア	アフリカ	6,736
82	ナミビア	アフリカ	6,654
83	エクアドル	南アメリカ	6,499
84	クロアチア	ヨーロッパ	5,610
85	ウガンダ	アフリカ	5,500
86	トーゴ	アフリカ	5,210
87	スウェーデン	ヨーロッパ	5,180
88	スイス	ヨーロッパ	5,096
89	バングラデシュ	アジア	4,885
90	アンゴラ	アフリカ	4,653
91	レバノン	アジア	4,491
92	グルジア	アジア	4,400
93	アラブ首長国連邦	アジア	4,123
94	ジンバブエ	アフリカ	3,372
95	ルワンダ	アフリカ	3,345
96	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	3,186
97	チェコ	ヨーロッパ	3,170
98	北マケドニア	ヨーロッパ	3,097
99	ネパール	アジア	2,964
100	コンゴ民主共和国	アフリカ	2,839
101	ベルギー	ヨーロッパ	2,740
102	キプロス	アジア	2,620
103	中央アフリカ共和国	アフリカ	2,532
104	ジブチ	アフリカ	2,243
105	シエラレオネ	アフリカ	2,054
106	グアテマラ	南アメリカ	2,027
107	ミャンマー	アジア	2,000
108	パラグアイ	南アメリカ	1,788
109	ハイチ	南アメリカ	1,744
110	マラウイ	アフリカ	1,707
111	マレーシア	アジア	1,566
112	スロベニア	ヨーロッパ	1,410
113	ボスニア・ヘルツェゴビナ	ヨーロッパ	1,332
114	フィンランド	ヨーロッパ	1,320
115	マダガスカル	アフリカ	1,303
116	モルドバ共和国	ヨーロッパ	1,300
117	デンマーク	ヨーロッパ	1,300
118	ハンガリー	ヨーロッパ	1,270
119	ギニアビサウ	アフリカ	1,262
120	ベラルーシ	ヨーロッパ	1,200
121	ポーランド	ヨーロッパ	1,140
122	リトアニア	ヨーロッパ	1,080
123	朝鮮民主主義人民共和国	アジア	1,030
124	ボツワナ	アフリカ	952
125	リベリア	アフリカ	937
126	モンテネグロ	ヨーロッパ	922
127	ドミニカ共和国	南アメリカ	905
128	ガボン	アフリカ	849
129	ザンビア	アフリカ	833
130	ブルンジ	アフリカ	804
131	ラトビア	ヨーロッパ	800
132	エスワティニ	アフリカ	692
133	ガンビア	アフリカ	671
134	フェロー諸島	ヨーロッパ	596
135	コロンビア	南アメリカ	572
136	ガイアナ	南アメリカ	562
137	レソト	アフリカ	504
138	モザンビーク	アフリカ	484
139	コンゴ	アフリカ	455
140	スロバキア	ヨーロッパ	360
141	エストニア	ヨーロッパ	340
142	日本	アジア	211
143	タイ	アジア	155
144	マルタ	ヨーロッパ	150
145	フィジー	オセアニア	146
146	フィリピン	アジア	117
147	グレナダ	南アメリカ	116
148	スリランカ	アジア	111
149	赤道ギニア	アフリカ	107
150	ホンジュラス	南アメリカ	101
151	セントルシア	南アメリカ	98
152	コモロ	アフリカ	98
153	トリニダード・トバゴ	南アメリカ	88
154	カーボベルデ	アフリカ	85
155	東ティモール	アジア	67
156	バルバドス	南アメリカ	65
157	ルクセンブルク	ヨーロッパ	50
158	セントビンセントおよびグレナディーン諸島	南アメリカ	48
159	ベリーズ	南アメリカ	45
160	エルサルバドル	南アメリカ	38
161	パプアニューギニア	オセアニア	32
162	ブルネイ ダルサラーム	アジア	31
163	バハマ	南アメリカ	30
164	ドミニカ	南アメリカ	26
165	ニカラグア	南アメリカ	24
166	シンガポール	アジア	23
167	モーリシャス	アフリカ	23
168	ブータン	アジア	22
169	プエルトリコ	南アメリカ	22
170	コスタリカ	南アメリカ	15
171	スリナム	南アメリカ	13
172	セントクリストファー・ネイビス	南アメリカ	10
173	ニューカレドニア	オセアニア	9
174	大韓民国	アジア	7
175	ジャマイカ	南アメリカ	5
176	アンティグア・バーブーダ	南アメリカ	4
177	サントメ・プリンシペ	アフリカ	3
178	フランス領ポリネシア	オセアニア	3
179	中国、香港特別行政区	アジア	0
+ すべての国を見る

2021年度のデータでは、中国が世界の羊肉生産の最大の生産国であることが明らかになっています。この結果は、中国の広大な国土と多様な農業気候、そして増加する人口による需要の増加が主な要因です。また、中国内陸部や北部地域では伝統的な牧畜が根強く、現地の文化的嗜好も生産拡大に影響しています。一方、オーストラリアやニュージーランドは豊富な牧草地に恵まれた地理条件を生かし、高品質な羊肉を生産しており、輸出主導型のビジネスモデルも確立されています。これらの要因が、他国との差異を生み出しています。

注目すべきは、羊肉生産上位国と消費上位国が必ずしも一致しない点です。例えば、中国は大規模な内需を満たすために自国生産を推進していますが、オセアニアの農業国では輸出が経済の主要な収入源となっています。このような違いは、各国の農業政策や国際市場への依存度から派生していると言えます。

日本の羊肉生産量は211トンで、世界全体の中でも極めて僅少です。これは、日本の国土が畜産向けに限界があること、羊肉が国内の食文化において主流でないこと、また輸入に依存している点が要因と考えられます。現在、日本の羊肉消費は増加傾向にありますが、そのほとんどがオーストラリアやニュージーランドからの輸入に頼っています。この傾向は国内自給率の向上という観点からは課題となります。

地域別に見ると、羊肉生産の多くは乾燥地帯や半乾燥地帯の国々で行われており、特にトルコ（385,933トン）やアルジェリア（342,295トン）などの中東・北アフリカ地域が上位に位置しています。この背景には、地政学的なリスクや地域紛争、そして気候変動の影響が含まれています。これらの地域では、若干の不安定要素が経済、ひいては農業活動にも波及しています。

将来的には、世界人口の増加や食生活の多様化に伴って羊肉の需要がさらに増加することが予測されますが、供給の安定性が大きな課題となるでしょう。特に、乾燥地帯を中心とした地域では、気候変動の進行が牧草地の縮小や水資源の枯渇を招く可能性があります。これに対応するためには、持続可能な畜産業の推進、技術革新、そして地元市場と国際市場のバランスの見直しが求められます。

具体的な対策として、新しい牧草の栽培方法の開発や、羊肉の生産・輸送過程におけるCO2削減技術の導入が挙げられます。また、日本においては、消費傾向に応じた国内生産の拡大を進めるとともに、これを支える農業技術の普及や若い世代への畜産投資を支援する政策が必要です。

結論として、各国が持つ地理的・文化的特性に基づいて羊肉生産を最適化しつつ、気候変動や地政学的リスクに対応するための国際的な協力体制を強化することが重要です。特に、輸出国と輸入国間での安定的な貿易ルールや資源の共有が、今後の羊肉生産と供給チェーンの安定化には鍵となるでしょう。