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スペインの馬肉生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が提供した最新データによれば、スペインの馬肉生産量(トン)は過去60年間で大きな変動を示しています。初期の1960年代から安定していた生産量は、1970年代に大幅に減少し、その後50年間にわたり一進一退の動きを見せました。特に2011年以降は大幅な増加を示した時期があるものの、2018年から再び減少傾向にあります。2020年の記録では9,601トンとなり、ピーク時の2012年(15,606トン)と比較するとかなりの減少が見られます。

年度 生産量(トン) 増減率
2020年 9,601
-0.32% ↓
2019年 9,632
-5.51% ↓
2018年 10,194
-7.62% ↓
2017年 11,034
-15.69% ↓
2016年 13,088
1.14% ↑
2015年 12,940
12.23% ↑
2014年 11,530
-1.18% ↓
2013年 11,668
-25.23% ↓
2012年 15,606
38.54% ↑
2011年 11,265
58.42% ↑
2010年 7,111
11.7% ↑
2009年 6,366
1% ↑
2008年 6,303
26.31% ↑
2007年 4,990
0.32% ↑
2006年 4,974
5.58% ↑
2005年 4,711
-5.8% ↓
2004年 5,001
4.69% ↑
2003年 4,777
-16.88% ↓
2002年 5,747
-17.95% ↓
2001年 7,004
7.34% ↑
2000年 6,525
14.37% ↑
1999年 5,705
-7.69% ↓
1998年 6,180
-18.34% ↓
1997年 7,568
26.96% ↑
1996年 5,961
2.88% ↑
1995年 5,794
-7.69% ↓
1994年 6,277
28.92% ↑
1993年 4,869
-1.24% ↓
1992年 4,930
7.9% ↑
1991年 4,569
-21.54% ↓
1990年 5,823
11.1% ↑
1989年 5,241
1.61% ↑
1988年 5,158
-3.82% ↓
1987年 5,363
11.45% ↑
1986年 4,812
-9.34% ↓
1985年 5,308
0.57% ↑
1984年 5,278
6.99% ↑
1983年 4,933
-17.18% ↓
1982年 5,956
-6.82% ↓
1981年 6,392
-0.93% ↓
1980年 6,452
11.99% ↑
1979年 5,761
-4.87% ↓
1978年 6,056
15.73% ↑
1977年 5,233
8.23% ↑
1976年 4,835
7.59% ↑
1975年 4,494
-1.25% ↓
1974年 4,551
-21.11% ↓
1973年 5,769
-11.9% ↓
1972年 6,548
-1.84% ↓
1971年 6,671
1.69% ↑
1970年 6,560
3.85% ↑
1969年 6,317
-9.89% ↓
1968年 7,010
9.38% ↑
1967年 6,409
5.78% ↑
1966年 6,059
-26.89% ↓
1965年 8,288
5.18% ↑
1964年 7,880
0.09% ↑
1963年 7,873
-1.07% ↓
1962年 7,958
7.21% ↑
1961年 7,423 -
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馬肉生産量の長期的な推移を見ると、スペインにおける畜産業の変化や農業政策、さらには社会的・経済的背景が影響を与えていることがわかります。1960年代から1970年代半ばにかけてのデータを振り返ると、スペインの馬肉生産量は安定的もしくはわずかな範囲での変動が見られる一方で、1973年以降急激に減少しました。この時期はスペイン国内での食文化の変化や経済不安定化、さらに地域間の家畜の用途シフトが主要な背景にあったと考えられます。

2000年代前半まで生産量は4,000~7,000トンの範囲内で大きな変化はありませんでしたが、2000年代後半から徐々に増加の兆候が現れました。特に2011年以降、馬肉の生産量が大幅に増加していることが特徴的です。この時期には、経済危機を経験したスペインで国内外の需要が変化し、高価格で取引される馬肉が輸出市場で注目された可能性があります。2012年には15,606トンという最大量に達しましたが、その後は再び減少傾向に転じ、2020年には9,601トンとなっています。

この減少の背景としては、国民の馬肉消費習慣が減少しつつあることや、ヨーロッパ全体での動物愛護思想の広まりが影響していると考えられます。また、2019年から広まり始めた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、輸送・流通面での困難が馬肉生産量の低下の一因となった可能性があります。

国際的な比較では、馬肉はアジア地域や中南米で依然として重要な食品源となっていますが、西ヨーロッパ諸国では需要が減少している傾向が見られます。例えば、フランスとイギリスでは、馬肉の消費量が大幅に低下しており、スペインも同様の状況に直面しています。しかしながら、一部のアフリカ諸国や東欧の市場では、まだ一定の需要があるため、輸出における競争力を維持する戦略が求められます。

課題としては、持続可能な畜産モデル構築、輸出市場の多様化、新たな用途での開発が挙げられます。具体的な対策として、畜産業のトレーサビリティ(生産履歴追跡)システムの強化や、消費者向けのプロモーションによる馬肉のイメージ改善が挙げられます。また、動物福祉の観点から、飼育環境の改善といった倫理的側面にも対応が必要です。

結論として、スペインの馬肉生産は長期的な変化の中で多くの課題に直面しています。過去の急増期や減少率から見られるように、需要変化に即座に対応できる柔軟性を持たなければ、国際的な競争力を維持することは難しいでしょう。スペイン政府や畜産業者は、国内外の市場動向を的確に分析し、輸出の多様化、新規市場への参入、そして持続可能な生産体制の確立に努めるべきです。特にEUの規制や国際的な倫理基準の枠組みを活かしながら、より持続可能で競争力のある馬肉産業の発展を目指す必要があります。

スペインの統計データ
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