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スペインのブルーベリー生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が公開した最新データによると、スペインにおけるブルーベリーの生産量は、1995年の約4,275トンから2022年の70,420トンに大きく増加しています。この間、特に2013年以降、生産量が急激に増加しており、近年では果実需要の拡大や輸出のための生産体制強化が影響していると考えられます。ただし、2020年には一時的に生産量が減少しており、新型コロナウイルスの影響がその一因であるとみられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 57,670
-18.11% ↓
2022年 70,420
15.01% ↑
2021年 61,230
26.2% ↑
2020年 48,520
-9.1% ↓
2019年 53,380
22.66% ↑
2018年 43,520
23.09% ↑
2017年 35,355
41.73% ↑
2016年 24,945
18.45% ↑
2015年 21,060 -
2014年 21,060
76.8% ↑
2013年 11,912
69.7% ↑
2012年 7,019
2.35% ↑
2011年 6,858
2.41% ↑
2010年 6,696
2.47% ↑
2009年 6,535
2.53% ↑
2008年 6,374
2.6% ↑
2007年 6,212
2.67% ↑
2006年 6,051
2.74% ↑
2005年 5,889
2.82% ↑
2004年 5,728
2.9% ↑
2003年 5,567
2.99% ↑
2002年 5,405
3.08% ↑
2001年 5,244
3.18% ↑
2000年 5,082
3.28% ↑
1999年 4,921
3.39% ↑
1998年 4,759
3.51% ↑
1997年 4,598
3.64% ↑
1996年 4,437
3.78% ↑
1995年 4,275 -

スペインのブルーベリー生産量は、1995年から2022年までにおよそ16倍に成長しています。特に2013年以降、急激な生産量の拡大が見られ、2013年の11,912トンから2022年には70,420トンに達しました。この現象は、ブルーベリーという果実の健康面での評価が高まったことや、それに伴う欧州市場内外での需要拡大が背景にあります。また、スペインの温暖な気候と農業技術の向上も、この生産拡大を後押ししました。地中海性気候が作物栽培に適した条件をつくりあげつつ、近年では灌漑システムの改善や、生産分野での効率化技術の導入が進んでいます。

2013年以降の急成長の一つの理由は、国内外の市場需要が著しく増加した点にあります。とくに欧州連合(EU)諸国への輸出が活発になり、中国やアメリカなどでもブルーベリーが「スーパーフード」として認識されるようになり、需要拡大が影響しました。また、地政学的に見ても、スペインはヨーロッパ市場へのアクセスが良い位置にあり、輸送インフラも整備されています。そのため、他の競合国よりも輸送コストや時間に関して有利な立場にあると言えるでしょう。

しかし、2020年には生産量が減少し、53,380トンから48,520トンとなりました。この減少は主に新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けたものと考えられます。具体的には、ロックダウン政策による物流の停滞や収穫作業時の人手不足が影響を与えた可能性があります。労働力の確保が難しくなり、通常よりも収穫率が落ちたとの報告もあります。スペインの農業は依然として季節労働者に依存する面があり、この点の改善は依然として重要な課題です。

現状の大幅な生産増加から見ると、今後の課題として持続可能性への配慮が求められるでしょう。農地の拡大や灌漑の使用が自然環境に与える影響には注意が必要です。また、輸出志向の農業が布線強化されているものの、一方で競合する国々、特にアメリカやチリとの競争も激化しています。そのため、今後の対策としては、より効率的な生産方法の導入や、農薬・肥料使用量の適正化など、環境負荷を減らしつつ生産を持続する仕組みづくりが鍵となりそうです。

さらに、将来的には多国間協力を強化し、生産過剰に陥らないための協調を図ることや、新興市場の開拓が重要です。現在、アジア市場への輸出需要は拡大の可能性を秘めており、特にインドや中国での消費拡大が期待されています。この場合、国際認証取得や品質向上を通じた信頼性確保が求められるでしょう。

以上を踏まえ、スペインが今後もブルーベリー生産国としての地位を維持・向上させるには、最新の農業技術の採用や輸出市場の多角化、労働問題の克服に向けた政策強化が不可欠です。FAOによる最新データは、こうした戦略性を考える上で重要な示唆を与えており、政策立案への貴重な基盤となるでしょう。