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スペインのカリフラワー・ブロッコリー生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、スペインのカリフラワーとブロッコリーの生産量は、1961年の264,209トンから2023年の637,080トンへと大幅に増加しています。この間、特に1990年代後半から2000年代中頃にかけて著しい成長が見られ、2018年には725,260トンという過去最高値を記録しました。しかし、2020年以降は740,000トンを超えるような高水準を記録する一方で、2022年以降は減少傾向を示しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 637,080
-5.94% ↓
2022年 677,290
-8.14% ↓
2021年 737,340
-1.23% ↓
2020年 746,510
5.51% ↑
2019年 707,510
-2.45% ↓
2018年 725,260
5.3% ↑
2017年 688,778
7.61% ↑
2016年 640,083
5.42% ↑
2015年 607,186
1.71% ↑
2014年 596,969
10.37% ↑
2013年 540,900
6.93% ↑
2012年 505,823
-1.55% ↓
2011年 513,783
1.15% ↑
2010年 507,960
44.7% ↑
2009年 351,036
-18.89% ↓
2008年 432,786
-1.7% ↓
2007年 440,254
2.84% ↑
2006年 428,089
-3.1% ↓
2005年 441,800
-5.67% ↓
2004年 468,344
-8.15% ↓
2003年 509,911
3.48% ↑
2002年 492,778
17.95% ↑
2001年 417,783
-13.48% ↓
2000年 482,899
2.32% ↑
1999年 471,947
8.05% ↑
1998年 436,800
24.33% ↑
1997年 351,315
-1.98% ↓
1996年 358,400
25.8% ↑
1995年 284,900
-1.18% ↓
1994年 288,300
4.95% ↑
1993年 274,700
-8.95% ↓
1992年 301,700
8.37% ↑
1991年 278,400
2.5% ↑
1990年 271,600
-5.33% ↓
1989年 286,900
6.38% ↑
1988年 269,700
15.16% ↑
1987年 234,200
1.78% ↑
1986年 230,100
4.39% ↑
1985年 220,415
-2.29% ↓
1984年 225,571
-1.02% ↓
1983年 227,900
-1.43% ↓
1982年 231,200
9.06% ↑
1981年 212,000
-1.03% ↓
1980年 214,200
11.71% ↑
1979年 191,750
-6.83% ↓
1978年 205,800
4.41% ↑
1977年 197,100
2.34% ↑
1976年 192,600
-0.41% ↓
1975年 193,400
-5.75% ↓
1974年 205,200
14.89% ↑
1973年 178,600
9.84% ↑
1972年 162,600
-16.19% ↓
1971年 194,000
7.12% ↑
1970年 181,100
-24.07% ↓
1969年 238,500
-1.65% ↓
1968年 242,500
-2.3% ↓
1967年 248,200
-5.56% ↓
1966年 262,800
3.29% ↑
1965年 254,435
-5.25% ↓
1964年 268,542
2.76% ↑
1963年 261,328
3.87% ↑
1962年 251,600
-4.77% ↓
1961年 264,209 -

スペインが生産するカリフラワーとブロッコリーの量は、長期的な推移で見ると増加基調ですが、いくつかの時期において波があることが分かります。1960年代から1980年代にかけては比較的低い水準で横ばいまたは緩やかな減少傾向が見られました。この時期の農業においては、地中海地域特有の気候変動や灌漑設備の不足、また市場需要の低さなどが影響していたと考えられます。

しかし、1980年代後半から1990年代にかけては生産が徐々に増加し、特に1996年以降、急速に供給量が増加しました。この背景には、農業技術の向上に加えて、ヨーロッパ連合(EU)加盟による共同農業政策(CAP)の恩恵が大きいとされています。EUの支援により、農業従事者は多額の援助を受け、施設栽培の導入や品質改良が進み、輸出にも適した高品質の生産が可能になりました。

2020年代に入ると、スペインの気候変動がより深刻化していることが影響を及ぼしています。2020年から2021年にかけて生産量がピークに達しましたが、2022年以降、未曾有の干ばつや熱波により農作物の生産環境が悪化し、637,080トン(2023年)まで減少しました。この地域では雨量不足が深刻であり、土壌の劣化や灌漑用水の不足が課題となっています。

また、スペインはカリフラワーとブロッコリーをヨーロッパ全域に輸出する重要な供給国であるため、この生産量の減少はEU全体の食品供給や価格にも影響を与える可能性があります。他国の状況を見ると、イタリアやフランスも似たような気候問題に直面していますが、オランダやドイツはより安定した生産基盤を持ち、生産量を維持しています。このことからも、農業生産の持続可能性は一刻の猶予もなく強化が必要であることが明らかです。

スペインの気候リスクが農業に及ぼす影響を軽減するには、近代的な灌漑技術の導入や雨水の有効活用が急務です。また、高温耐性の作物の品種開発や温室栽培の拡大も有効な対策と考えられます。さらに、地域間の協力を深め、輸送コストを抑えるとともに、余剰生産物を共有する仕組みを作ることも検討するべきです。

結論として、スペインのカリフラワーとブロッコリー生産量の推移は、技術革新による成長の成果と気候変動がもたらす制約の双方を如実に示しています。今後の政策は、こうしたリスクに柔軟に対応し、農業の持続可能性を確保するとともに、ヨーロッパ全体の食料供給におけるスペインの重要な役割を強化する方向性を目指すべきです。特に国際機関やEUとの連携を強化し、資金と技術の両面から農業改革を推進することが求められます。