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スペインの羊の毛生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、スペインの羊の毛生産量は長い歴史を持ち、1961年以降その推移が記録されています。このデータは、国内の産業動向や羊毛市場の需要、さらに畜産業の経済的な健康状態を反映する指標として利用されます。スペインの羊毛生産量は1960年代から1990年代にかけて増減を繰り返しながら堅調に推移し、1996年に31,539トンのピークを迎えました。しかし、それ以降は全体的にやや減少傾向となり、近年は22,000トン前後で安定しています。この動向から、他国との比較や羊毛市場の変化がスペインの生産量にどう影響を与えているかを考察できます。

年度 生産量(トン) 増減率
2021年 23,168
0.2% ↑
2020年 23,121
1.46% ↑
2017年 22,789
0.29% ↑
2016年 22,724
-2.62% ↓
2015年 23,336
0.53% ↑
2014年 23,213
0.93% ↑
2013年 23,000
0.28% ↑
2012年 22,935
2.7% ↑
2011年 22,333
-1.56% ↓
2010年 22,688
-16.12% ↓
2009年 27,049
-2.37% ↓
2008年 27,705
-3.59% ↓
2007年 28,736
-5.43% ↓
2006年 30,387
-1.62% ↓
2005年 30,888
-2.86% ↓
2004年 31,797
4.8% ↑
2003年 30,341
-4.4% ↓
2002年 31,736
-0.45% ↓
2001年 31,881
-0.69% ↓
2000年 32,104
5% ↑
1999年 30,575
-1.24% ↓
1998年 30,958
-3.06% ↓
1997年 31,935
1.26% ↑
1996年 31,539
2.27% ↑
1995年 30,839
1.87% ↑
1994年 30,272
2.1% ↑
1993年 29,649
4.38% ↑
1992年 28,405
-2.15% ↓
1991年 29,029
-3.4% ↓
1990年 30,050
1.77% ↑
1989年 29,527
7.55% ↑
1988年 27,453
6.01% ↑
1987年 25,896
6.6% ↑
1986年 24,293
-1.76% ↓
1985年 24,729
2.29% ↑
1984年 24,175
1.77% ↑
1983年 23,755
4.29% ↑
1982年 22,778
8.51% ↑
1981年 20,992
-0.46% ↓
1980年 21,090
-4.88% ↓
1979年 22,172
0.95% ↑
1978年 21,963
4.35% ↑
1977年 21,048
-2.38% ↓
1976年 21,561
-2.68% ↓
1975年 22,154
-8.14% ↓
1974年 24,116
-2.59% ↓
1973年 24,756
0.33% ↑
1972年 24,674
-1.56% ↓
1971年 25,065
-6.5% ↓
1970年 26,807
1.39% ↑
1969年 26,439
-3.85% ↓
1968年 27,498
-4.64% ↓
1967年 28,835
-0.65% ↓
1966年 29,023
18.9% ↑
1965年 24,409
-17.59% ↓
1964年 29,618
-0.92% ↓
1963年 29,893
-0.12% ↓
1962年 29,929
3.2% ↑
1961年 29,002 -
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スペインは長い畜産の歴史を持つ国であり、特に羊毛は伝統産業や輸出品目として重要な役割を果たしてきました。1961年からの約60年の間で、生産量が最も高かったのは1996年の31,539トンで、この時期にはスペインは世界的に羊毛の主要生産国の一つとして位置づけられていました。これは、スペイン国内での羊産業の高度化や輸出市場の拡大が背景にあると考えられます。一方、生産量が最も低かったのは1977年の21,048トンで、この時期は国際的な経済的不安や国内情勢の影響が反映されている可能性があります。

2000年代以降は若干の増減を見せながらも、全体的には一貫して減少傾向にあります。スペインの生産量は2021年で23,168トンとなっており、1996年のピーク時に比べて約26%の減少を記録しています。これは、羊毛市場自体の需要低下に加え、合成繊維の普及や農村地域の人口減少、気候変動による牧草地の逼迫といった複合的な要因が影響していると考えられます。また、スペインの羊毛産業に従事する労働者の高齢化も大きな課題として挙げられます。

他国と比較してみると、例えばオーストラリアは羊毛の主要輸出国として常にトップクラスの生産量を維持しています。オーストラリアの生産は世界市場に依存しており、高品質の羊毛を特徴として輸出に注力しています。一方で、スペインの羊毛生産は国内需要と中小型の農家による生産が中心であり、規模の面でもオーストラリアとは大きな違いがあります。この点を踏まえると、スペインの羊毛産業は国内の需要を満たすことを主目的としながら、輸出市場でも一定の役割を果たしています。

地域課題としては、環境条件の変動が牧畜に大きな影響を与えています。地中海地域に位置するスペインは、気候変動に伴う乾燥化が牧草地に対するリスクを高めています。特に、夏季の極端な乾燥と水資源不足は羊の飼育環境に悪影響を及ぼし、長期的に生産量が抑制される可能性があります。また、経済規模の縮小が地方における若年労働者の獲得を困難にしている点も見過ごせません。

これらの課題への対策としては、まず気候変動への対応が重要です。乾燥に適応した放牧地の管理法や、人工的に水資源を利用した持続可能な牧畜方法の開発が求められます。加えて、政府や地域自治体による羊毛産業への補助金制度を強化し、若い世代が羊毛産業に参入しやすい環境を整備することが必要です。また、合成繊維と競合する中で高付加価値市場を狙った「高品質羊毛」へのブランド強化や差別化戦略も効果的と考えられます。

さらに、ヨーロッパ全体の協力体制を活用することも考えられます。EUの補助金や技術支援を活用して牧畜システムを改善し、他国との共働で国際市場に参入する戦略が有効です。これに加え、トレサビリティ(生産・流通の追跡可能性)の向上によって環境負荷を低減した製品を国際市場にアピールすることが、消費者の関心を引き寄せるための鍵となるでしょう。

スペインの羊毛生産量の減少は単なる統計データ以上に、様々な経済的・社会的要因を反映しており、未来には変革が求められる分野です。国や地域、そして国際機関の協力がこうした課題解決の鍵となるでしょう。災害や疫病の影響を最小限に抑えつつ、持続可能な羊毛生産を維持するための取り組みが必要不可欠です。

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