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スペインのジャガイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、スペインのジャガイモ生産量は長期的に減少傾向を示しています。特にピーク時である1977年の5,880,600トンから、2022年には1,881,920トンにまで減少しました。1980年代末から1990年代にかけては中程度の減少が見られましたが、2000年以降は急激な減少が顕著です。この変動には、生産環境、政策の影響、市場動向、地政学的背景などが関与していることが考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,921,850
2.12% ↑
2022年 1,881,920
-9.57% ↓
2021年 2,081,110
1.43% ↑
2020年 2,051,830
-9.18% ↓
2019年 2,259,320
12.35% ↑
2018年 2,010,930
-10.21% ↓
2017年 2,239,470
-0.3% ↓
2016年 2,246,204
-1.66% ↓
2015年 2,284,073
-10.21% ↓
2014年 2,543,930
15.65% ↑
2013年 2,199,600
0.33% ↑
2012年 2,192,284
-10.7% ↓
2011年 2,455,101
5.52% ↑
2010年 2,326,654
-14.44% ↓
2009年 2,719,291
26.76% ↑
2008年 2,145,171
-13.49% ↓
2007年 2,479,582
-1.41% ↓
2006年 2,515,001
-1.89% ↓
2005年 2,563,464
-7.58% ↓
2004年 2,773,567
4.08% ↑
2003年 2,664,955
-13.42% ↓
2002年 3,078,140
2.86% ↑
2001年 2,992,422
-2.78% ↓
2000年 3,078,059
-8.59% ↓
1999年 3,367,400
7.63% ↑
1998年 3,128,803
-3.85% ↓
1997年 3,253,937
-15.61% ↓
1996年 3,855,800
-1.48% ↓
1995年 3,913,800
1.4% ↑
1994年 3,859,660
1% ↑
1993年 3,821,365
-26.24% ↓
1992年 5,180,500
-0.03% ↓
1991年 5,182,200
-2.79% ↓
1990年 5,330,700
-0.66% ↓
1989年 5,366,000
18.46% ↑
1988年 4,529,700
-18.41% ↓
1987年 5,552,000
8.34% ↑
1986年 5,124,509
-13.54% ↓
1985年 5,926,973
-0.9% ↓
1984年 5,980,676
15.84% ↑
1983年 5,162,900
-1.13% ↓
1982年 5,221,800
-4.54% ↓
1981年 5,470,000
-4.66% ↓
1980年 5,737,400
1.77% ↑
1979年 5,637,400
5.09% ↑
1978年 5,364,300
-8.78% ↓
1977年 5,880,600
3.92% ↑
1976年 5,658,700
6.01% ↑
1975年 5,337,800
-6.24% ↓
1974年 5,693,000
2.05% ↑
1973年 5,578,700
5.75% ↑
1972年 5,275,300
8.43% ↑
1971年 4,865,000
-8.22% ↓
1970年 5,300,700
10.68% ↑
1969年 4,789,000
5.35% ↑
1968年 4,545,800
1.25% ↑
1967年 4,489,700
1.5% ↑
1966年 4,423,400
8.46% ↑
1965年 4,078,500
-4.13% ↓
1964年 4,254,300
-16.16% ↓
1963年 5,074,600
22.18% ↑
1962年 4,153,300
-15.55% ↓
1961年 4,918,300 -

スペインのジャガイモ生産の推移は、農業の技術革新と市場変動、さらには環境政策の転換を反映したものであり、独特の動向を示しています。データによると、1961年から1980年代まではおおむね4,000,000から6,000,000トンの範囲で比較的高い生産量を維持していました。しかし、その後、生産量は下降を続け、特に2000年以降は大幅な落ち込みが目立ちます。

この減少傾向には複数の要因が絡んでいます。まず考慮すべきなのは、スペイン国内の人口動態や消費パターンの変化です。食の多様化やインポート食品の増加により、国内のジャガイモ需要は一定の低迷を見せてきました。また、農業従事者の減少や農村から都市部への移住など、労働力減少も大きな要因となっています。さらに、EUの共通農業政策(CAP)の枠組みの中で、補助金の配分や輸入関税の自由化などがスペインのジャガイモ市場にも影響を与えています。

地政学的背景としては、地中海沿岸地域における気候変動が直接的な要因として挙げられます。気温の上昇や水資源の枯渇が、生産環境の変化を加速させています。また、近年の異常気象や干ばつは、ジャガイモ栽培を困難にし、生産量減少の一因となっています。これに加え、国際市場における競争激化が国内の生産コストを圧迫し、結果として農家が別の作物に転換するケースも増加しています。

一方で、新型コロナウイルスの流行も一時的に生産に影響を与えた可能性があります。労働力不足や物流の停滞が産地と市場を結ぶ供給網を混乱させ、生産量の一部を抑える要因となりました。加えて、ここ数年で頻発している欧州内の地域衝突やエネルギー価格の高騰も、農業資材の価格を押し上げる形で農家の負担を増やしています。

今後の課題としては、気候変動への適応、農業技術の革新、農業従事者支援が挙げられます。例えば、干ばつ対策としての灌漑技術の導入や、気候変動に強いジャガイモ品種の開発が必要となるでしょう。さらに、若者の農業参入を促進するための支援策や農業教育が欠かせません。

結論として、スペインはジャガイモ生産量の減少という課題に直面していますが、この問題は単なる国内問題に留まらず、地球規模の環境変化や国際市場の動向とも密接に関連しています。スペイン政府は地域社会と連携し、持続可能な農業技術の普及やエネルギー効率の改善を含む包括的な政策を推進するべきです。また、EUの枠組みの中で共同農業政策を活用し、他国とも協力しながら農業全体の再生を図ることが重要です。このような取り組みが実現すれば、スペインのジャガイモ生産は将来的に安定し、回復の兆しを見せる可能性があります。