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スペインのサトウキビ生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、スペインのサトウキビ生産量は1961年の318,000トンから1970年代中頃まで一時的に増加の傾向を示しましたが、その後減少が続き、2007年にはほぼゼロに近い522トンにまで低下しました。2010年代後半にはわずかな回復が見られ、2017年には1,100トンと増加していますが、全体的には急激な衰退が特徴的です。この減少の背景には、農業構造の転換、地理的区分におけるサトウキビの競争力低下、気候変動の影響があると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2017年 1,100
129.17% ↑
2016年 480
54.29% ↑
2015年 311
20.43% ↑
2014年 258
-33.76% ↓
2013年 390
36.84% ↑
2012年 285
185% ↑
2011年 100
-54.55% ↓
2010年 220
49.37% ↑
2009年 147
-71.78% ↓
2007年 522
-96.82% ↓
2006年 16,425
-62.16% ↓
2005年 43,405
-35.03% ↓
2004年 66,810
-19.84% ↓
2003年 83,349
6.04% ↑
2002年 78,604
-8.43% ↓
2001年 85,845
-19.15% ↓
2000年 106,178
-14.37% ↓
1999年 124,000
12.21% ↑
1998年 110,505
48.03% ↑
1997年 74,650
46.01% ↑
1996年 51,125
-49.31% ↓
1995年 100,863
-27.18% ↓
1994年 138,507
-8.19% ↓
1993年 150,870
-9.88% ↓
1992年 167,418
1.41% ↑
1991年 165,087
-3.51% ↓
1990年 171,100
-3.31% ↓
1989年 176,961
-8.28% ↓
1988年 192,927
-8.77% ↓
1987年 211,469
-5.59% ↓
1986年 224,000
-14.83% ↓
1985年 263,000
9.13% ↑
1984年 241,000
0.84% ↑
1983年 239,000
-12.77% ↓
1982年 274,000
15.61% ↑
1981年 237,000
-32.29% ↓
1980年 350,000
10.41% ↑
1979年 317,000
10.45% ↑
1978年 287,000
-5.9% ↓
1977年 305,000
8.93% ↑
1976年 280,000
2.56% ↑
1975年 273,000
-14.95% ↓
1974年 321,000
-3.4% ↓
1973年 332,300
-2.98% ↓
1972年 342,500
-22.69% ↓
1971年 443,000
8.05% ↑
1970年 410,000
-10.48% ↓
1969年 458,000
12.57% ↑
1968年 406,870
-4.04% ↓
1967年 424,000
-1.62% ↓
1966年 431,000
-0.92% ↓
1965年 435,000
27.19% ↑
1964年 342,000
-0.87% ↓
1963年 345,000
2.37% ↑
1962年 337,000
5.97% ↑
1961年 318,000 -
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スペインにおけるサトウキビ生産は、1960年代と1970年代のピーク時には年間40万トンを超える生産量を記録したものの、1980年代以降、急激に減少しました。この流れは、気候条件の変化、農業従事者の高齢化、より収益性が高い作物への転換、そして国際的な砂糖市場における競争の激化によって引き起こされています。特に、欧州連合(EU)の農業政策改革もスペインにおけるサトウキビ栽培の縮小に影響を与えたと言えます。

スペインは地中海性気候が主流であり、サトウキビ栽培に最適な熱帯性気候ではありません。このため、水資源の限られた地域ではサトウキビ栽培が作物選択の一部に組み込まれにくいことが背景として挙げられます。特に南部のグラナダやマラガ地域では、かつてサトウキビが主要作物だったものの、オリーブやアーモンドといった高付加価値作物への転換が進んでいます。

さらに、気候変動も生産量減少の重要な要因です。スペインでは近年、降水量の減少と気温の上昇が観測されています。このような条件下では、サトウキビのような高い水分を必要とする作物の栽培は難しくなります。加えて、国際市場での砂糖価格の不安定さが持続的な生産を支える経済的なモチベーションを削いでいます。

政策的な観点から見ると、EUの砂糖価格保障制度(共通農業政策の一部)の改革が、2006年以降スペインのサトウキビ産業に大きな打撃を与えたと言われています。この政策改革により、サトウキビや砂糖の国内産業に対する補助金が削減されたため、スペイン国内の競争力がさらに低下しました。また、国際的に見ても、スペインのサトウキビ生産量はブラジル、インド、中国といった世界の主要生産国に比べて極めて小規模であり、競争力に大きな差があります。たとえば、ブラジルでは年間7億トン以上の生産量に達し、スペインとは桁違いの規模です。

将来の課題としては、まず気候変動への適応策を講じる必要があります。具体的には、干ばつに強い品種の導入や、効率的な灌漑技術の普及が考えられます。また、国際市場での競争力強化を目指すのであれば、生産の大規模化やサトウキビ副産物の活用(例:バイオエタノールの製造)といった新たなビジネスモデルを模索することが求められるでしょう。一方で、そもそもサトウキビという作物そのものがスペインに適していない場合は、他の高収益作物に転換することも選択肢となります。

結論として、スペインのサトウキビ生産量の推移は、同国が直面する地理的および経済的な課題を如実に反映しています。今後は、環境負荷を抑えつつ経済的持続可能性を確保する方向で政策や技術の改善を進めるべきです。国際的には、EU内部での協力や砂糖関連産業との一体的な戦略がますます重要となります。スペインにおいてサトウキビ生産を復活させる道筋を慎重に検討する一方、その資源を最大限に活用するための多角的な方向性も求められます。

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