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ブルガリアの天然蜂蜜生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ

ブルガリアにおける天然蜂蜜の生産量は、1960年代以降、顕著な増減を繰り返しながら成長する傾向を示してきました。特に1970年代から1980年代にかけて増加率が高く、その後1990年代には一時的な減少が見られましたが、2000年代以降再び回復の兆しを見せています。2019年には11,518トンの生産量を記録しており、ピーク時(1986年)の10,557トンを上回る状況にあります。このデータは、食糧安全保障や環境保護、農業経済の観点から非常に重要な示唆をもたらしています。

年度 生産量(トン) 増減率
2019年 11,518
11.41% ↑
2018年 10,338
-12.44% ↓
2017年 11,807
15.55% ↑
2016年 10,218
-10.27% ↓
2015年 11,388
22.87% ↑
2014年 9,268
-7.92% ↓
2013年 10,065
9.57% ↑
2012年 9,186
-4.23% ↓
2011年 9,592
-9.47% ↓
2010年 10,595
11.19% ↑
2009年 9,529
-16.25% ↓
2008年 11,378
85.34% ↑
2007年 6,139
-45.18% ↓
2006年 11,199
-0.2% ↓
2005年 11,221
40.26% ↑
2004年 8,000
-5.88% ↓
2003年 8,500
57.41% ↑
2002年 5,400
9.51% ↑
2001年 4,931
-7.61% ↓
2000年 5,337
-7.12% ↓
1999年 5,746
5.16% ↑
1998年 5,464
9.11% ↑
1997年 5,008
8.68% ↑
1996年 4,608
9.66% ↑
1995年 4,202
12.08% ↑
1994年 3,749
-3.4% ↓
1993年 3,881
-34.89% ↓
1992年 5,961
-11.41% ↓
1991年 6,729
-15.05% ↓
1990年 7,921
-18.83% ↓
1989年 9,758
-7.53% ↓
1988年 10,553
0.86% ↑
1987年 10,463
-0.89% ↓
1986年 10,557
8.49% ↑
1985年 9,731
-2.98% ↓
1984年 10,030
10.54% ↑
1983年 9,074
-7.37% ↓
1982年 9,796
7.51% ↑
1981年 9,112
-7.71% ↓
1980年 9,873
9.49% ↑
1979年 9,017
2.23% ↑
1978年 8,820
-9.47% ↓
1977年 9,743
14.26% ↑
1976年 8,527
16.74% ↑
1975年 7,304
20.23% ↑
1974年 6,075
24.64% ↑
1973年 4,874
-23.11% ↓
1972年 6,339
0.99% ↑
1971年 6,277
0.64% ↑
1970年 6,237
-14.77% ↓
1969年 7,318
62.19% ↑
1968年 4,512
-11.09% ↓
1967年 5,075
48.22% ↑
1966年 3,424
12.74% ↑
1965年 3,037
56.71% ↑
1964年 1,938
-44.85% ↓
1963年 3,514
97.3% ↑
1962年 1,781
-2.09% ↓
1961年 1,819 -
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ブルガリアの天然蜂蜜生産量推移は、1961年以来長期的な視点で見ると著しい成長を遂げていることが分かります。1960年代には1,000トン台からスタートし、1970年代から1980年代には9,000~10,000トン超で安定した水準に達しました。この急成長の背景には、当時の養蜂技術の向上や農業政策の支援が影響したと考えられます。特に1986年の生産量(10,557トン)は、当時のブルガリア国内外での蜂産物需要の増加を反映しています。

しかしながら、1990年代に入ってから生産量が大幅に減少し、1994年には3,749トンと、1980年代ピーク時の約3分の1に縮小しました。この急激な減少の背景には、冷戦終結後の政治的・経済的な混乱が大きく影響したと推測されます。この時期、農業部門全体で効率低下や資材不足が発生する中、養蜂業も影響を受けた可能性があります。

2000年代に入り、ブルガリアは欧州連合(EU)加盟に向けた準備を進める中で農業の再構築を進め、蜂蜜生産量は回復基調に入りました。加盟後の2007年以降はEU市場へのアクセスや補助金制度を活用することが可能となり、2005年の11,221トンや2015年の11,388トン、2019年の11,518トンといった高水準が記録されています。これらの結果から、EUとの連携が生産活動の再建と成長を促した背景が明らかです。

一方で、近年の気候変動や農薬の使用増加、蜂群崩壊症候群(CCD)と呼ばれるミツバチの大量死問題が、世界的な養蜂業に深刻な影響を与えていることも無視できません。ブルガリアの蜂蜜生産も、不安定な気候や農業の化学集約化の影響を受ける可能性が高い状況にあります。また、こうした問題は日本や他のヨーロッパ諸国(ドイツ、フランスなど)でも共通の課題であり、国際的な対策が必要です。

ブルガリアはそれに加え、地政学的リスクやEUの農業政策への依存が益々高まる中、自国の蜂蜜需要と輸出のバランスを維持する必要があります。特に新型コロナウイルスの流行がサプライチェーンに与えた影響も依然として無視できず、地元の生産者には柔軟な対応が求められています。

未来に向けてブルガリアが取り組むべき課題は明確です。第一に、環境保全型の養蜂業を推進する政策を策定することが欠かせません。具体的には、農薬の使用抑制や多様な花粉源の保護を進め、持続可能な養蜂を支援するための補助金やプログラムを拡充する必要があります。第二に、EU諸国や周辺国との技術協力を強化し、高効率で環境負荷の低い生産方法を導入することが望まれます。さらに、地域の養蜂業者間で協力を促進するための協議体設立や、教育プログラムを通じた人材育成が重要です。

結論として、ブルガリアの天然蜂蜜生産量の推移は、多くの教訓を含んだ貴重なデータです。過去の増減の要因を理解し、さらに今後予想される環境課題や地政学的リスクを見据えた場合、このセクターが抱える問題は明確です。しかし、ブルガリアが持つ豊かな自然環境とEUという経済的枠組みをうまく活用することで、養蜂業は今後も安定的な成長が可能であると期待されます。

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