世界の天然蜂蜜生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国際連合食糧農業機関（FAO）のデータによると、2018年の天然蜂蜜生産量ランキングで中国が圧倒的な446,879トンで1位を占め、世界の主要生産国としての地位を示しました。2位はトルコ（107,920トン）、3位はアルゼンチン（79,468トン）でした。一方、日本は2,826トンで61位にランクインし、他のアジア諸国や主要経済国と比較して相対的に生産量が少ないことがわかりました。このランキングは各国の養蜂業の現状や、自然環境、気候、農業政策の影響を反映しています。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	中国	アジア	446,879
2	トルコ	アジア	107,920
3	アルゼンチン	南アメリカ	79,468
4	イラン（イスラム共和国）	アジア	73,286
5	ウクライナ	ヨーロッパ	71,279
6	アメリカ合衆国	北アメリカ	69,857
7	インド	アジア	65,267
8	ロシア連邦	ヨーロッパ	65,006
9	メキシコ	南アメリカ	64,253
10	エチオピア	アフリカ	58,588
11	カナダ	北アメリカ	43,089
12	ブラジル	南アメリカ	42,268
13	スペイン	ヨーロッパ	36,394
14	タンザニア連合共和国	アフリカ	30,659
15	ルーマニア	ヨーロッパ	29,162
16	ハンガリー	ヨーロッパ	29,000
17	大韓民国	アジア	27,422
18	ケニア	アフリカ	25,574
19	ポーランド	ヨーロッパ	23,472
20	アンゴラ	アフリカ	23,459
21	ギリシャ	ヨーロッパ	22,288
22	ベトナム	アジア	20,415
23	ニュージーランド	オセアニア	20,000
24	フランス	ヨーロッパ	19,469
25	中央アフリカ共和国	アフリカ	16,200
26	ウズベキスタン	アジア	12,578
27	オーストラリア	オセアニア	12,419
28	チリ	南アメリカ	12,000
29	セルビア	ヨーロッパ	11,427
30	タイ	アジア	10,369
31	ブルガリア	ヨーロッパ	10,338
32	中国、台湾 中国省	アジア	10,303
33	ポルトガル	ヨーロッパ	9,878
34	ウルグアイ	南アメリカ	9,565
35	イギリス	ヨーロッパ	9,065
36	チェコ	ヨーロッパ	8,992
37	キューバ	南アメリカ	8,800
38	クロアチア	ヨーロッパ	7,440
39	モロッコ	アフリカ	7,430
40	アルジェリア	アフリカ	7,356
41	エジプト	アフリカ	5,491
42	グアテマラ	南アメリカ	5,162
43	ルワンダ	アフリカ	5,000
44	アゼルバイジャン	アジア	4,994
45	ミャンマー	アジア	4,783
46	カメルーン	アフリカ	4,500
47	リトアニア	ヨーロッパ	4,207
48	タジキスタン	アジア	4,182
49	パキスタン	アジア	4,166
50	スイス	ヨーロッパ	4,005
51	マダガスカル	アフリカ	4,000
52	オーストリア	ヨーロッパ	4,000
53	ボスニア・ヘルツェゴビナ	ヨーロッパ	3,992
54	ネパール	アジア	3,980
55	アルバニア	ヨーロッパ	3,937
56	モルドバ共和国	ヨーロッパ	3,927
57	イスラエル	アジア	3,600
58	チュニジア	アフリカ	3,579
59	セネガル	アフリカ	3,541
60	コロンビア	南アメリカ	3,372
61	日本	アジア	2,826
62	カザフスタン	アジア	2,772
63	ベラルーシ	ヨーロッパ	2,647
64	フィンランド	ヨーロッパ	2,606
65	シリア・アラブ共和国	アジア	2,557
66	グルジア	アジア	2,500
67	イエメン	アジア	2,381
68	エルサルバドル	南アメリカ	2,361
69	アルメニア	アジア	2,200
70	ラトビア	ヨーロッパ	1,998
71	キルギスタン	アジア	1,958
72	パラグアイ	南アメリカ	1,845
73	アフガニスタン	アジア	1,799
74	スロベニア	ヨーロッパ	1,746
75	ペルー	南アメリカ	1,600
76	レバノン	アジア	1,500
77	デンマーク	ヨーロッパ	1,500
78	ノルウェー	ヨーロッパ	1,390
79	エストニア	ヨーロッパ	1,253
80	コスタリカ	南アメリカ	1,180
81	南アフリカ	アフリカ	1,083
82	ギニア	アフリカ	1,004
83	チャド	アフリカ	1,001
84	ドミニカ共和国	南アメリカ	950
85	エクアドル	南アメリカ	870
86	トルクメニスタン	アジア	850
87	ザンビア	アフリカ	815
88	リビア	アフリカ	800
89	ジャマイカ	南アメリカ	762
90	スーダン	アフリカ	740
91	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	714
92	シエラレオネ	アフリカ	709
93	モンテネグロ	ヨーロッパ	688
94	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	631
95	コートジボワール	アフリカ	610
96	ブルンジ	アフリカ	600
97	オマーン	アジア	600
98	キプロス	アジア	584
99	モザンビーク	アフリカ	581
100	東ティモール	アジア	574
101	マリ	アフリカ	572
102	北マケドニア	ヨーロッパ	475
103	パレスチナ国	アジア	400
104	ニカラグア	南アメリカ	368
105	ハイチ	南アメリカ	336
106	ヨルダン	アジア	288
107	フィジー	オセアニア	282
108	パナマ	南アメリカ	237
109	モンゴル	アジア	225
110	ニューカレドニア	オセアニア	212
111	サモア	オセアニア	194
112	ギニアビサウ	アフリカ	160
113	パプアニューギニア	オセアニア	156
114	サウジアラビア	アジア	136
115	ルクセンブルク	ヨーロッパ	132
116	ホンジュラス	南アメリカ	120
117	フランス領ポリネシア	オセアニア	117
118	イラク	アジア	103
119	ガイアナ	南アメリカ	88
120	トリニダード・トバゴ	南アメリカ	70
121	ブータン	アジア	66
122	ベリーズ	南アメリカ	54
123	プエルトリコ	南アメリカ	54
124	スリナム	南アメリカ	37
125	トンガ	オセアニア	11
126	ニウエ	オセアニア	7
127	ツバル	オセアニア	4
128	ブルキナファソ	アフリカ	1
129	クック諸島	オセアニア	1
+ すべての国を見る

2018年の天然蜂蜜生産量データから、蜂蜜の生産は地理条件や農業・養蜂の政策支援に大きく依存していることが読み取れます。特に中国は、全体の突出した生産量（446,879トン）を誇り、輸出市場でも重要な立場を持っています。その中国に続くトルコ（107,920トン）やアルゼンチン（79,468トン）は、自然環境に恵まれ、特に高品質な蜂蜜を生産することで評価されています。

日本は2,826トンで61位に位置しており、国内の蜂蜜需要を満たすには輸入に大きく依存していることを示しています。これは自然条件の制約や養蜂の規模が小さく、産業としての発展が他国に比べて遅れているためです。同じアジア地域ではインド（65,267トン）が7位、韓国（27,422トン）が17位と、いずれも日本を大きく上回っています。この違いは、政府の支援体制やマーケティング戦略の強さ、また地域の花粉源の多様性とも大きく関係しています。

アメリカ（69,857トン、6位）やドイツやフランスといった欧米諸国では、養蜂が伝統的な産業として定着している一方で、近年、気候変動や農薬の使用が蜂群（はちぐん）崩壊症候群と呼ばれる現象を引き起こし、生産に深刻な影響を及ぼしています。この現象とは、働き蜂が突然いなくなってしまうことで、蜂蜜生産の大部分を失う大きな問題です。こうしたリスクは、蜂蜜だけでなく農産物の受粉を担う蜂の活動にも影響を与え、農業生態系全体に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、地政学的なリスクも養蜂業の持続可能性に影響します。たとえば、ウクライナ（71,279トン）は世界有数の生産国ですが、地域紛争が長引けば養蜂のインフラが維持できなくなる可能性があります。同様に、イラン（73,286トン）は大きな生産量を誇っていますが、経済制裁の影響が輸出の拡大を妨げる要因となっています。

これらを踏まえた具体的な対策として、日本では自然環境を活かした持続可能な養蜂業の推進が挙げられます。地域の特性を活かした蜜源植物の植栽や、小規模農家を支える補助金制度の導入などが例として考えられます。さらに、消費者向けに「地産地消」を促進するマーケティング戦略を強化し、国内で生産された蜂蜜への需要を高める取り組みも必要です。

国際的には、各国が気候変動や農薬の影響を軽減するために環境政策を強化し、持続可能な養蜂の技術を共有するプラットフォームを作ることが重要です。また、地政学的リスクに直面する国では、養蜂業のインフラを維持するための国際的な支援枠組みの導入も考慮するべきです。

総じて、このデータは天然蜂蜜の生産が地理的条件だけでなく、政策、貿易環境、そして生態系への人間活動の影響との相互作用に左右されることを物語っています。今後は、地域特性を活かした養蜂産業の振興とともに、消費者も天然蜂蜜の価値を再認識し、生産者と連携した持続可能なモデルを構築していくことが求められます。